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自作キーボードを作る備忘録。 番外編 配列と学習コスト(格子型ってどうなん?)

はたまた番外編です。今日は自作キーボードのレイアウトと学習コストについて。あえて自作キーボードをやろうとしたあなたはきっと他の人に見せびらかせるような珍しくて、かっこいいキーボードが作りたいはずです。ですが、珍しいキーボードは大抵分割で、キー数が少ないことが多い。普段の打鍵に影響が出ないかどうか憂慮している。そして、その移行コストについてあまり述べられているものはない。そこで、最近ようやく3年前のGBで手に入れたキーボードを完成させ、絶賛使用中の僕が移行コストについて詳細に述べようというのがこの記事の目的です。

でもその前に、キーボードにどんな物理配列が存在するのか紹介しています。本編へ飛びたい人は目次から飛んでください。

キーレイアウト

配列とか、キーレイアウトとか言います。なんでこんなに色々言うかと言うと、ひとえに配列と言っても

・QWERTY配列や、Dvorak配列といった、英字の論理配列

・JIS配列やUS配列といった、英語の部分以外に関わる論理配列

・104キーとか言った物理配列

などなど、キーボードは沼なので、イジれる部分が沢山あります。まぁ大体の人がQWERTY配列を使うでしょうし、JIS配列かUS配列かは個人によって決まっているのでさほど問題にならない気がします。(キーキャップの選択肢がJIS配列ではほとんどないという問題はありますが。僕はキーキャップがないなら、無地で暗記するか、昇華印刷してしまえという立場です。どうせすぐ覚えます。多分しらんけど)

今回焦点を当てるのは物理配列です。キー数や、並べ方など、様々な形を取り得る自作キーボードでまず差別化出来るとしたら(というか、設計段階でまず決めるのが)ここでしょう。

設計から自分でするのか、あるいはキットを購入するのか、は人それぞれですが、物理配列は(特にこれまで市販のキーボードを使ってきたがために、特殊な配列への学習コストを憂慮するような初心者にとっては)大きな問題となり得ます。

一般的に挙げられる物理配列を以下に示します。

100%キーボード

大体108キーくらいの所謂フルキーボード。ファンクションキー(f1とか)から、いつ使うかわからないようなScroll Lockなどといった様々なキーが全載せのキーボードがこれです。

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テンキーレスキーボード(80%くらい?)

フルキーボードから、テンキーをなくしただけのキーボードです。フルキーボードと合わせて自作する人はそんないないイメージ。

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75%キーボード

ハイエンドキーボードに多そうなイメージを勝手に持っているが実際のところはどうなんでしょうね。テンキーレスからさらに矢印キーなどを圧縮した感じのキーボードです。

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65%キーボード

自作キーボード初心者がまず目をつけるのがこれか次の60%でしょう。ファンクションキーをなくし、数字キーは残したり、まぁ確かに移行コストは小さくなりそうなイメージ。

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60%キーボード

自作キーボード初心者が選ぶ率No.1だった時代があったと思います。(今は知らん)理由はキットが今みたいに国内で容易に入手出来ない頃から、Aliexpressで比較的安価なキットが多くあったから。(その前にPokerという60%キーボードが開発されて、そのケースの構造が良かったという歴史もあります。)そして、今でもその名残でケースの入手性が非常に良いので、ケース互換のキーボードが多く開発されてたりします。(Poker互換で調べてみると良いかも)

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50%キーボード

実は60%キーボードとキー数自体に大きな差は無いのだが、1uのキーのみで構成され、配列が特殊になりがちなことから、別分類されている。(多分)

今回僕が移行コストについて調べたのもこれに近いので、50%ってことにしてます。(Helix)

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40%キーボード

数字キーすら要らないという人向けのコンパクトなキーボードです。Plancが創始者と勝手に思っている。

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30%キーボード

何がどうなっているのか僕には理解できないが、これを使いこなしている人が世の中にはいるらしい。意味がわからない。

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配列移行時の問題点

問題点は主に以下のような内容でしょう。

・物理配列(格子型だったり、そうじゃなかったり)が変わったときに、英字を打つ感覚が変わって、タイポが増えないだろうか

・分割キーボードで本当に問題ないだろうか

・レイヤー機能を使った記号を打つことに慣れるのにはどれくらいかかるのだろうか

そして、これらについての学習コストについて、正確に述べられているような記事はあまりありません。ネット上にいる自作キーボード愛好家といった感じの人のほとんどが、すでに格子配列や、分割、50%, 40%キーボードなどに慣れてしまっていて、一体全体初心者が移行する時にどんなトラブルを抱えうるのか、といったことについては解説されていないことが多かったり...逆に、そういった学習コストを憂慮する初心者向けにアピールしている商品もあります。(まぁ学習コストは無いに越したことはないっちゃないのである意味でそれが最も理にかなってます。)

日本語配列を希望する人にはJISplit89があるし、US配列を希望する人には既製品含め、もっと多くの選択肢が存在します。(それでもファンクションキーは省かれてることが多かったりしますが。)

でもやっぱり、他の人に見せびらかすならちょっと変わったやつを作りたいと思うのがオタクの性、ということで、今回はこの移行コストについて詳細に述べていきたいと思います。

今回使用するキーボード(ここから本編)

2017年末のGBで購入していたHelixです。実に3年もの時を経てようやく日の目を浴びています。(画像は遊舎工房より)

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50%キーボード分割型と言えばいいのかな。1uキーしか使っていないことや、分割型であること、格子型配列であることなどが特徴です。

キー配列

レイヤー数は3ですが、基本的には英字レイヤーともう一つのレイヤーで事足りています。(キートップの画像がちょいちょいJISと違いますが、僕はJISキーボードとして使っています。)

基本レイヤー

基本的に普段使ってるキーボードからなるべく変えないようにしています。バックスペースとか、デリートキーが普段と違う位置にあるかな?あとescキーを入れています。(YouTube見るときとかに使うので。)

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左親指を押すと移行するレイヤー(記号を打つ時に主に使用します。)

基本的には、1番上にファンクションキーを並べて、その下に数字キーの記号を並べ、右側に入り切らなかった記号を適宜入れていく方式です。

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右親指を押すと移行するレイヤー(多分デフォルトからいじってない)

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ということで、有識者の皆さんからすれば、むしろ普通のキーボードの部類だろと突っ込みたくなるかもしれませんが、これでも初心者にとっては躊躇するもの、実際のところはどうなのかしっかり見ていきます。

英字のタイピング移行(分割への移行)

まず、基本となる英字のタイピングですが、使い始めて2時間程度はたまにキーがずれる感覚がありましたが、特に大きな問題はなく移行が終わりました。通常のキーボードとの行き来もさほど苦ではないです。ただ、使用頻度が少ないキー(特にzやx)についてはたまにミスります。これは格子配列じゃなくてそもそも僕の問題であることは否定できないですが。

分割であるという点についても、タッチタイピングがしっかり身についている人はさほど苦労せず移行できると思います。僕は分割に際して不便に思ったことは1つもありません。

記号の移行(英字レイヤーに存在するもの)

1番左の列にある、変換キー、Tabキー等については、既存のキーボードから配列を変更していないため、スムーズに移行出来ました。また、スペースキーについても、1uですが、普段自分が押す箇所を通常のキーボードで確かめてから配置を決めたため、特に問題は生じていません。(つまりスペースキーはでかすぎ。)Ctrl, Winキーについても同様です。句読点も変更していないため、問題は生じていません。矢印キーは最初戸惑いました。特に右キーなどを押してから左に戻るときにいつもどおりだと下キーを押してしまうので、これについてはちょっと時間がかかるかなという印象です。現時点で移行から2日目ですが、徐々になれてきたかな程度です。

記号の移行(記号レイヤーに存在するもの)

1番気になるのがここだと思います。結論から言えばよく使うもの(僕で言えばーや~は)すでにある程度覚えています。一方で、使用頻度が比較的少ないもの(¥@「;:」)は未だにどこに何があるのかよくわかっていません。またそれにともなって、それに付随するキー |`{+*}もよくわかっていないです。一応、既存のキーボードに習った規則的な配置にはしているのですが...そもそも通常キーボードでも場所を覚えていなかったようです。

僕は一般理系大学生なのでLaTeXを使用したりすることが通常の授業期間だとそこそこあります(今は夏休み)。なので、そういう期間に使用していれば「\」、「+」や「*」は使用頻度が増えるはずなので、徐々に慣れていくと考えています。(最初は全然思い通りに出てこないのでめっちゃいらつくと思いますが。)

ただ、@キーに関しては、仕事でSlackを使う手前上、スムーズに出てほしいので、Bの隣に配置することである程度解決しています。また、Nの隣にカギカッコの左側を置いているので、予測変換でこれを押せば全部出るようにすればほぼ困ることはないです。

結論

移行コストはちょっとかかるし、多少のストレスはたまります。ですが、大体は数時間から1日程度で収まりますし、自分でキー配置を工夫するなどすれば、ミスは減り、あとは慣れてしまえばどうってことはない(通常キーボードでミスることはなぜかない)です。勿論、今でもタイポは通常よりやや多かったりするのでまだまだ発展途上だなぁという気がしますが。

ちょっとの苦労でかっこいいキーボードを使いこなせるなら勇気を出して、使ってみてください。きっとキーボードはあなたに馴染みます。

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