なんちゃって書評第3弾 「サピエンス全史 上 2,3章」

前回に引き続き、サピエンス全史の2,3章の書評を書いていく。
上巻は3章までで終わりなので、次回からは下巻だ。とてつもなく面白いが、普段本を読み慣れていない私にとっては非常にボリューミーである、、(読書レベルが足りてない証拠)


第2章 農業革命


1章の認知革命とは打って変わり、2章では農業革命がテーマであった。
この章で最も重要なメッセージは、「農業革命は、より大きな社会集団の形成と引き換えに、大多数の人々に貧しさを強いた」ことだと思う。

農業革命による最も大きな変化は、「定住し、余剰生産をストックできるようになったことから、形成できる集団の数が大きくなったこと」だろう。
しかし、人数が爆発的に増えていく分一人当たりの栄養は不足していくこととなった。集団が大きくなるにつれて、エリート層が台頭し余剰生産物を管理するようになったからだ。狩猟採集時代には100人程度だった集団が、次第に村落、町、ついには都市を形成するに至った。

ここで1章の認知革命と繋がってくるのだが、より大きな集団になるにつれて強固で多くの神話が形成されたということが鍵になってくる。
例えば、法律は想像しやすいだろう。大人数がまとまるためにはルールが必要だが、法律は人間が作り出した想像上の秩序だ。

こういった神話は農業革命以降から現在の私たちの生活にも多数存在していることは自覚した方がいい。
男性同士の性交は何がダメなのだろうか?誰かに迷惑でもかけているのだろうか?生物学上可能なことは、全て「自然」なことであり、同性同士の性交といったことに少しでもアレルギー反応がある人は、神話に囚われている傾向が強いといって差し支えないように思う。


第3章 統一化される世界

この章は特に示唆深かった。
この章で重要なメッセージの一つは、「世界は帝国が主となって統一に向かっている」ということだ。
帝国の定義は、
1,それぞれが異なる文化的アイデンティティと独自の領土を持った、いくつもの別個の民族を支配しているということ
2,変更可能な境界と潜在的に無尽の欲を持ち、次から次へと異国民と異民族を呑み込んでいくこと
の2つらしい。

確かに何千と存在していたであろう民族や国家は徐々に統一化されていき、現在では200前後の国家としてまとまっている。EUも統一化の良い例だろう。ここで一つ疑問が生まれる。

「この世界はこれから一体どの程度まで統一化がなされるのだろう?」

30年後に国家の数は幾つになっているのだろう?
ロシアと中国が軍事的な結びつきを強め、強固な一つのまとまりとして振る舞うようになれば、それに呼応する形で米欧も一つにまとまろうとするかもしれない。日本もそのまとまりに所属し、最初はチームメンバーといった心算だったとしても、時が経過し世代を重ねるごとに「日本」という意識が薄れていくことは十分あり得ると思う。「日本」という神話ではなく「資本主義経済圏の一員」という神話への信仰が強くなっていくだけのことなのだ。

インドを盟主とした「グローバルサウス帝国」、中国をはじめとする「共産主義帝国」、米欧を中心とした「資本主義帝国」の三つ巴になるかもしれない。このシナリオに妙に現実味を感じるのは私の不勉強ゆえだろうか。

しかしここで強調したいのは、今息をしているこの瞬間ですら現在進行形で統一化は進んでいる。
日本という国家が本当に独立しているのなら、もっと自由に経済政策が打てるはずだ。しかし実際には他国の顔色を窺いながら脱炭素化を推進している。国家としての独立性は揺らいでおり、グローバル市場の思惑やグローバルな世論に侵食されている。日本国家の方針は、グローバル市場という神話を信仰しながら決定されているのだろう。

後から振り返って「今思えばあの時が時代の過渡期だったなあ」と思うのは簡単だが、過渡期を察知して自分なりに未来に向かって行動することには大きな意義があるはずだ。




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