パズルと著作権の話

本記事は ペンシルパズルI Advent Calendar 2020 5日目の記事です。

こんにちは。パズル作家のにょろっぴぃです。
以前にtwitterなどでパズルと著作権の話題が出ることが何度かあったため、これを機に、パズルにかかわる著作権について解説を試みたいと思います。内容はいわゆるペンシルパズルを対象としていますが、パズルの周辺分野ともいえる謎解きやボードゲームについても、そのまま当てはまる話が多いかと思います(記事の性質上、ペンシルパズルの基本的な用語や各サイトなどは説明を省略します)。
なお、筆者は法律関係の仕事をしていますが、日頃の業務で著作権を扱う機会は全くなく専門外の分野であること、立場上書けないことがあること(*0)を予めご了承下さい。


はじめに

著作権とは何かを一言でいえば、「著作者が著作物に対し、排他的にコントロールできる権利」です。同じく知的財産に含まれる特許や商標は申請が必要なのに対し、著作権は著作物を作ればそれだけで、何もしなくても権利が生じます。著作物に自動的に権利を与えることで、著作物や著作者を保護しようというわけです。
一方で、著作者に無制限に権利を認めてしまうと、著作物を利用する人の権利を不当に制限しかねません。そこで、著作者と利用者の権利をどのように調整するかという問題が出てきます。

ちょっと硬い話になりました。
本記事ではまず、著作権が発生する条件である「著作物」について解説し、次に「著作者」について簡単に解説します。そのあと、「著作権」とは具体的にどのような権利で何ができるのかについて解説します。

著作物

著作権が発生するには、対象物が「著作物」であることが必要です。著作物に該当しない場合、そもそも著作権が生じないため、著作権法上の問題は何も生じません。
著作権法にはこの「著作物」の定義が書かれていますので、まずは条文を見てみましょう(以下、条文を明記する場合はいずれも著作権法です)。

・著作権法第2条1項1号
著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」

これだけだと抽象的で分かりにくいため、著作権法は例示として美術、音楽、映画などを挙げています(10条)。もっとも、これらは例示なので「著作物」に該当するかは2条の定義を満たせばよく、例示のどれかに該当する必要はありません。実際、パズルの分類は難しく、言葉系であれば「言語の著作物」、図形パズルであれば「図形の著作物」に該当しそうですし、一義的ではありません(後述のパズル裁判でも、例示のどれに該当するかという議論はされていません)。

前置きが長くなりましたが、要約すると「著作物」の主な要件は①思想又は感情②表現であること③創作性です。このうち、①や③は実際にはかなり広く解されていて、何らかの考えや創作性が出ていれば足りるとされています。結論としては、パズルはほぼ「著作物」に該当するといって問題ありません。
作者の想いだけで1記事が書けるような渾身の一作ならともかく、筆者のようにいい加減なパズル作家だと、いざニコリに掲載された問題を見ても、その問題を作ったことすら覚えていない問題とかがざらにありますし、よく投稿しているセレクトワーズでうっかり、内容がほぼ重複していた、5文字の鳥のセレクトワーズを2回投稿したことがあります(笑)これらの問題に、思想や創作性といった大それたことを聞かれても困るわけですが、それでも制作時は何か考えて作ったオリジナル問であるとして、著作物に該当するものと思われます。さすがに、1マスの問題や、3×3の部屋が1つと数字の4が入っただけのへやわけになると、著作物にはならないでしょう(*1)。
以下、「著作物」性が問題となるものをいくつか取り上げます。

・コンピューターの自動生成パズル
①の「思想又は感情」の要件を満たさない数少ない例で、著作物には該当しません。問題を人間が作成していないため、思想又は感情が入っていないとされるわけです。
もっとも、自動生成であっても、自動生成のプログラム自体には著作権が及びますし、ナンプレ系に多い、自動生成の問題を集めた冊子であれば、編集著作物(編集物で素材の選択または配列によって創作性を有するものをいう。12条)などとして、個別に著作権が発生します。

・パズルのルール
②より、著作物は、個別具体的に何らかの形で表現されていることが必要とされています。逆に、表現されていない思想又は感情それ自体は著作物として保護されません。これを「表現・アイデア二分論」といいます。アイデアだけだとそもそも著作物にあたらないわけです。
パズルのルール自体は具体的に表現されたものではないため、「著作物」には該当しません。例えば、学研のパズル誌などにはスリザーリンク(数独、カックロはニコリ発祥ではありません)と同ルールのパズルが別名で掲載されていますが、このこと自体で著作権上の問題は生じません。同じような理由で,例えばへやわけでブームになっている「川」や,固有名詞のついた美術館の手筋である「アスピリンBOX」,数独における「三国同盟」などの手筋についても,著作物には該当しません。

・パズルのルール文やパズル名
ルールと異なり、ルール文自体は「表現」に該当するため、②は問題ないのですが、一方で①や③(特に③)が問題になります。
上記の通り、創作性はかなり緩やかに解されているのですが、創作性が否定されるものに「ありふれた表現」というものがあります。著作者が独自に作ってはいるものの、だれが作っても同じような表現になる場合には、著作者の個性がなく創作性がないものとして著作権性が否定されます。代表例は、メールや挨拶に出てくる、定型文にあたる部分です(*2)。

パズルのルール文についても、この「ありふれた表現」に該当するかが問題となり、最終的には個別判断となります。よりルール文が問題になりそうなボードゲームを含めても、日本では裁判例がないようで、具体的な分水嶺はよくわかりません。もっとも、すでに決まっているルールを表現にするという性質上、誰が書いても同じような表現になりやすく、一般の文章に比べると、著作権が及ぶ範囲はかなり限定されると言えるでしょう。
例えば、ニコリがWEBニコリに公開している各パズルのルールのうち、ぬりかべなどに見られる「盤面のいくつかのマスを黒く塗りましょう。」といった部分であれば創作性は否定されると思われます。逆に、ヘルゴルフやペンシルズであれば、「ホール・池・OB」「軸・芯・線」といった概念自体が独自性が強いため、創作性が認められてもおかしくないのではと思います。

パズル名についても基本的には同様ですが、文章以前に単語だけのことが多いため、ぬりかべや波及効果といった一般名詞はもちろん、固有名詞であっても基本的には創作性は否定されるでしょう。もし可能性があるとすれば、「数字は独身に限る」を略した数独あたりでしょうか。
パズル名についてはいくつかが商標登録されており、実際には著作権よりも商標権の問題になります(*3)。マイナーな気がするナンスケが登録されているのは謎です。

・パズル裁判
全文はこちら(但し,図は出ていません)

パズルの著作権性が問題になった,おそらく日本で唯一の裁判です(*4)。パズルと言ってもペンシルパズルではなく,いわゆる古典的な数学パズルに関する事件です。
原告であるパズル作家が,別の本に載っていた問題が盗作であるとして,パズル作家に損害賠償請求をした事件です。権利としては複製または翻案権と,著作者人格権(著作権の項目で後述)侵害を主張し,12個中3個のパズルで著作権侵害が認められました。

判決文が長いため,詳細は全文に委ねますが,ポイントは判決文の37ページあたりで,著作権侵害の前提として,そもそも各パズルには著作権が認められるかが問題となりました。具体的には以下のように判示されています。上記の「創作性」がまさに問題になった事件です。

「数学の代数や幾何あるいは物理のアイデア等を利用した問題と解答であっても,何らかの個性が創作的に表現された問題と解答である場合には,著作物としてこれを保護すべき場合が生じ得るし,これらのアイデアを,ありふれた一般的な形で表現したにすぎない場合は,何らかの個性が創作的に表現されたものではないから,これを著作物として保護することはできないというべきである。」

その後,この基準に基づいて12個のパズルについて個別に検討がされています。ここまで詳細に判示するのかというぐらい詳細な検討が行われているので,興味ある方は読んでみてください。もっとも,結論についてはなぜ分かれたのかが良く分からない部分もあり,結局は個別判断に尽きるのかなという感想です(*5)。

著作者

原則として、著作物を実際に創作した人が著作者とされます。個々のパズルであれば、当然その作者です。また、共同作業の場合、デザインをしたり、インストラクションを作成した人なども著作者になりますが、テスターは創作的行為をしていないとされるため、著作者にはなりません。

特殊なものとして、①共同著作物②職務著作があります(2条1項12号、15条)。
①は共同作業で著作物を作ったときに、一定の条件を満たすと全員の共有になるというもので、合作などが該当します。パズルだと同人誌なども該当し得るのですが、この条件に「各人の寄与を分離」できないことが含まれています。そのため「トケタ」などの場合、個々の問題や文章は担当者が明記されていることから、実際に共有になる部分は多くはありません。
②は従業員が創作した著作物の著作権が最初から法人に帰属するというもので、例えばニコリが最初から「制作:ニコリ」として発表するパズルなどが該当します。逆に、ニコリの投稿作はもちろん、一般誌でも作者名が明記されているパズルが多いですが、これらの場合、出版社と作者との間には、業務委託はあっても雇用契約は通常ないため、職務著作には該当しません。

著作権


概要


ある創作物が「著作物」に該当すると、「著作者」に「著作権」が当然に生じます。著作権は例えば、複製権、公衆送信権、譲渡権等、様々な権利を含んでいます。パズルの作者は、第三者がパズルを無断でコピーして発表したり、youtubeで配信したりすることを禁止する権利を持っているわけです。もっとも、これだけだと、第三者は著作物を自由に利用できなくなってしまうため、著作権法は、一定の場合に、第三者が例外的に利用できる場合(権利制限)を規定しています。代表的な例としては、私的使用のための複製(録画など)や、後述の引用などがあります。

この権利制限ですが、著作権法上は、限定列挙とされています。つまり、具体的な規定のどれかに該当しない限り、利用は認められないわけです。日本法では「公正な利用を認める(フェアユース)」といった、あいまいな条項がないため、権利制限の範囲は広くありません。
もっとも、実際に著作権法を理由に、刑事罰が課せられたり、損害賠償や差し止めといった裁判が行われることはほとんどありません。というのも、著作権法では基本的に「親告罪」とされていて、どうするかは著作権者に委ねられているからです。違法とされる範囲をかなり広くする代わりに、最終的には著作権者の自由にすることで、バランスを取っています。刑事罰が規定されているとはいえ、ここら辺は通常の刑法などとは大きく異なります。

・著作者人格権(2022/3/11加筆修正)

著作者に認められる権利は様々な権利を含んでいるのですが、実は、「著作権」と「著作者人格権」で大きく2つに分かれます。
「著作権」は上記の通り、コピー、配信、改変などを禁止する権利なのですが、これらの権利は、著作権者の財産的利益を保護するための権利とされています。これに対して、「著作者人格権」は著作権者の精神的な利益を保護するための権利で、氏名表示権、同一性保持権といった権利が含まれています。上記のパズル裁判でも両者が出てきているのですが、ひとまずは金銭的損害と慰謝料と言い換えると分かりやすいかと思います。

「著作権」は財産に対する権利なので、基本的に自由に譲渡ができます。これに対して、「著作者人格権」は譲渡ができません(59・61条)。
そのため,創作物に関する契約書では,著作権の譲渡とあわせて,著作者人格権の不行使条項という形で規定されることがあります。譲渡が出来ないため,代わりに不行使を約束させるわけです。パズル(おそらく謎も)の場合,通常は買取りな上に,コンテンツの継続性が薄いため問題点はなさそうですが,漫画などになると,同条項の影響が大きくなります。

ニコリの投稿の手引きには「②原則として、掲載作品のすべての権利は当社に帰属するものとします。掲載の際にこちらで手をくわえることもあります。」と書かれています。この第1文は「著作権」をニコリ社に譲渡することを意味しています。投稿は職務著作ではないので、この規定を入れておかないと、ニコリがパズルを出版(=複製)したり、修正(=翻案)したりすることが、法律上は著作権侵害になってしまうわけです(*6)。
一方で,上記の通り「著作者人格権」は譲渡できません。そのため,第2文は,著作者人格権のうち,同一性保持権の不行使に同意する効果を持つ文になるものと思われます。二コリが手をくわえることに同意すると言っても,例えば筆者の問題が,ニコリ社員である「作:ももてれう」として発表されれば,氏名表示権の侵害になります。また,クロスワードなどのパズルでは,実際に内容が変わることがありますが,「ダサク」というカギで「この問題の作者の問題は,ほとんどが〇〇〇でボツになっている」というカギを二コリが勝手に書けば,これは同意の範囲には入らず,権利侵害の可能性が出てきます(もちろん,実際にこれらのことがあったわけではありません笑)

・二次創作

パズルの本は基本的にパズルが載っているだけなので、あまりケースは多くないのですが、二次創作は、この著作権と権利制限にかかわる問題です(なお、厳密には「二次創作」と著作権法上の「二次的著作物」は別の用語なのですが、ここでは区別せずに用いることにします)。
あるキャラクターを元に同人誌を作った場合、これはパズルの修正と同様、「翻案」にあたることが多いです。著作権者はこの翻案権(27条)を有していますが、同人誌の作成は、日本法では非営利であっても権利制限には該当しないため、著作権法上は違法です(艦これなど、一般的な同人活動の範囲では,公に使用を認めている場合を除く)。もっとも、概要で書いた通り、違法なもの(侵害行為)をどうするかは著作権者に委ねられています。ほとんどの著作権者は、二次創作は黙認か、むしろ歓迎という立場を取っているため、実際に法的紛争になることはほとんどありません。

パズルで二次創作に該当しそうなものとしては、7638パズル本など、「成宮由愛」というキャラクター関連(同人誌)と、②お絵描きロジックなどのキャラクターもの(商用誌)が挙げられます。

①ですが、一般的にキャラクターそれ自体は著作物に該当しません。該当するのはあくまでキャラクターを元にしたイラストなどだけです。同様に、キャラクター名も著作物に該当しないため、「成宮由愛」やそれを元にした「7638」をパズルに用いたところで、著作権の問題はそもそも生じません。ハバネロが大好きとかスケッチブックから闇のパズルが放たれるといった設定を勝手に加えても著作権の問題は生じませんので,成宮由愛をどんどん闇落ちさせていきましょう
一方の②ですが、こちらはキャラクターのイラストをお絵描きロジックにしたものであるため、翻案にあたるケースです。同人誌ではなく商用誌なのと、様々なキャラクターが載っているため問題になり得るのですが、少なくとも実際に紛争になっているケースは見たことがありません(謎解きのコラボ物であれば,個別に承諾を取っているはずですが,1キャラで1問しか出ないようなお絵描きロジックの場合,いちいち承諾を取っていないような気もします。ここら辺の運用を知っている方がいましたら,教えて下さい)。

・私的使用のための複製

権利制限の代表例で、「個人的な使用、または家庭内その他これに準ずる範囲内における使用」をいいます(30条1項)。パズルの本を個人がコピーしたりスキャンしたりする行為が該当します。
「その他これに準ずる範囲内」の意味が問題となりますが、個人・家庭と同様レベルの、限られた私的範囲を指します。筆者は高校時代、ニコリのページのコピーを友人数人に配って数学の授業中に解いていましたが、これぐらいが上限ではと思います。サークル全体に配るレベルになると該当しないので、同好会でやる場合には、ニコリなどは1人1冊以上購入するように推奨するか、同好会でまとめて購入しましょう。

・引用

著作権法は、一定の場合に引用による利用(32条)を認めています。
この引用の条件なのですが、条文が分かりにくい上、条文に書かれていない最高裁判例があるため(*7)、分かりにくいです。

きちんと条件を整理すると、条文と判例を合わせて5要件ほどとするケースが多いようですが、ここでは簡潔に、①明瞭区別性②主従関係③出典の明記の3要件としておきます(①②は最高裁、③は48条)。
ブログなどで他の人のパズルを紹介する場合、出典を明記しつつ、引用部分が引用と分かるようにしておけば、①③は満たすでしょう。紹介という形であれば,おそらく②も満たすと思います。引用の条件を満たす場合、著作権者の許可は不要です。

もっとも、上記の通り、引用の条件を厳密に満たしていなかったとしても、あとは著作権者に委ねられています。ペンシルパズルぐらいの狭いコミュニティであれば、引用元の作者と面識があるようなケースも多いので、引用の形式を守って紹介記事の雰囲気が固くなるぐらいであれば、ひとまず作者を明記して、自作でないことが分かるようにするぐらいでも足りるのではないでしょうか。というか,他の人の記事で紹介されたらうれしい人がほとんどでしょうし。

・janko.at(ページはこちら
引用に関連して、最近話題に上がった海外のパズルサイトです。オーストリアのサイトのため、日本法とは異なる可能性がありますが、オーストリア著作権法はわからないため、ここでは日本法とします(少なくとも、無断転載が認められないのは世界共通なため、引用類似のルールはあるでしょう)。

このサイトにはパズルが大量に載っているのですが、特に最近、日本のパズル作家がpuzzlinkを利用してtwitterなどに挙げた問題が、いつの間にか載っているケースが増えています(自作があればそのページを例に挙げようと思ったのですが、どうやらないようです)。
各ページには作者名と出典が明記されているため、③は問題ありません。若干あいまいですが、①も一応は問題ないでしょう。しかし、各パズルのページでは、パズルを取り上げた上で、Web上で解けるようにしているもので、パズルそのものは明らかに主役です。したがって②は満たさないでしょう。なお、同ページではCopyrightらしきものが記載されていますが、引用された問題については、それだけでは著作権はもちろん譲渡されません。


おわりに

以上、パズルに関連しそうな分野について、著作権法の解説をしてみました。著作権の「概要」の項目にも書きましたが、著作権の問題は、最終的には主には作者である著作権者と、その利用者の権利をいかにバランスをとるかという問題に帰着するのではと思います。ルールはルールとして踏まえつつ、お互いにとってより良いルール(マナーと言ってもいいかもしれません)を構築するために、本記事が役に立てば幸いです。


(*0)仮に「違法だけど気にせずやりましょう」とか思っていたとしても、記事として残す以上は書けません。

(*1)マリオのスーパーピクロスというゲームに、10×10マスのうち1マスだけを塗った「むじんとう」という問題がありました。1マス塗るだけの問題ならおそらく非該当ですが、そのあと色がつくことと「むじんとう」と言い切ったところを理由に、著作物性が認められるのだろうと思います。

(*2)ラストメッセージin最終号事件など

(*3)同ページには「パズルのルールの著作権はニコリに帰属します。」と記載されていますが、本文の通り、日本ではルール自体には著作権は及ばないため、この表現もルール文を指すものと思われます。本文の通り、ルールには著作権が生じないものも多いのですが、出版社の立場であればとりあえずこう書いておくのでしょう。

(*4)「パズル 裁判」あたりで検索すると,平等院がやのまんのジグソーパズルを訴えた事件がまず出てきますが,この事件は歴史的建造物である平等院自体に著作権性がないことを前提とした事件であり,著作権の事件ではありません。

(*5)この裁判の裁判官の1人が,筆者の研修時の指導教官でした。判決文を書くのに非常に苦労しそうな事件なのですが,飲み会の席ででも,この事件の事を聞いてみたかった…

(*6)細かい話なのですが、「翻案(=パズルの修正)権につき、譲渡の目的として特掲されていないときは、譲渡人に留保されたものとする」という推定規定があるため(61条2項)、特に手を加えることについては具体的な明記が必要になります。

(*7)パロディ・モンタージュ事件など。著作権法上、パロディ自体についての規定はないため「引用」に当たるかどうか、およびその条件が問題となりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?