WPC選抜大会2019

続いて、WPC選抜大会の振り返りです。

○事前準備
WSCの代表を取れなかったので、WSPCに行くためにはWPC選抜大会で代表を取ることが不可欠。

今年に入ってからは、以前に比べると競技パズル熱自体は落ちていて、オンライン大会もGP以外はあまり参加していない。世界大会にはやっぱり行きたいと思うんだけど、世界大会に行く目的も、競技そのものよりも、パズルイベントとして行きたいって部分が正直強い。
去年はA代表を目指したものの、代表選抜で思うように行かずにA代表を逃がし、WSCの代表が取れたり、途中まで無理だと思っていたPGPFinalに参加出来たりはしたけれど、最後まで消化不良感が残った気がする。それに比べると今年は大分気楽で、とにかく行ければOK、もしA代表が取れたらラッキー、ぐらいで選抜大会に臨もうと思っていました。

とはいえ、今年は上位層は、にしなんとか氏以外はフルメンバーで参加するようだったので、層はかなり厚そう。
WSCと異なり、地力としては6位以内に入っていると思っているものの、最近は練習量が少なく、大会もあまり参加していなければ、直前期の24HPC合宿にも上位層の大部分が参加する中で参加していないので、どうしても不安は残る。何よりも、WSC代表選抜のように大崩れしたら、と悪いことが頭をよぎってしまう。大崩れとまでは行かなくても、不調ぐらいに崩れれば、6位に入れない可能性は十分にありそうなぐらいには、周囲の層が厚い。

目標はとにかく確実に6位に入ること。
どうしたら守り切れるか、特に失敗をしたと思うWPC選抜大会2018とWSC選抜大会2019を踏まえつつ、基本方針は以下の感じで考えていました。

・飛ばさない、無理をしない
地力は足りているはずなので、飛ばし気味にやる必要はなく、それよりも、ハタンさせない、下らないミスをしないことを優先する。これに尽きる。

・粘着しない
・一方で、取ると決めたら狙いを絞って取りに行く
WPC選抜2018では、後半に入って、スネーク、サムクロス、数字つなぎ、ABCプレース1、ビルディング1あたりが、手をつけるもどれも解けないみたいな時間帯があって、それが敗着だったと思う(スネーク1かABCプレース1が解けていればA代表だった)。色々手を出すもどれも解けないのは非常に効率が悪くて、それよりは多少時間をかけてもいいので取るものを決めた方が良い。去年で言えば、比較的得意だった、スネークか逆テトロミノ2あたりに絞るべきだったのだろう。
一方で、WSC選抜2019のように、手を付けて出来ない場合に粘着すると、最悪の場合、15分ぐらいかけて解けないリスクがある。これは何としても避けたい。問題数は多いので、動きそうもなければさっさと見切りを付けて次の問題に移ってしまった方が良さそう。このバランスが難しいのだが。

・高得点は捨て気味
解けないリスクを考えると、当然低得点優先。ただ、スケルトンとCaveは得意ジャンルなので、取れると楽にはなりそう、ということでこの2ジャンルは優先的に対策していました。ビル2はまず捨て。サムクロス2も例題の難しさを考えると捨ての優先度高目。

・ジャンル
ジャンルについては、黒マス系が得意、ラテンがやや苦手だけどそこまで差はないので、捨てると決めていたのはビル2のみ。ただ、マイナージャンルは対策で配点をカバーしやすいので、エンドサム、ペグオミノ、Make a Mazeは優先度高目のイメージ。特にMake a Maze。出題例がなかったので自分で作って研究していたけど、特に1番はこれが活きたと思う。

・得点
難易度にもよるけど、6~7割は欲しいところ。ビル2とサムクロス2を捨てると7~8割は必要なので、一通り全部の問題に目を通して、確実に積んで行く方針にしたいところ。


○本番
問題のあとのカッコは、その問題にかけた時間と分速。

(2:00 印刷)
(4:00 エンドサム1)

印刷中に紙に写して解いてたけど、動かなかったので2分で切り上げて、ヤジリンから順番に解く方向に変更。

8:29 ループであろー①(4:29、5.4)
11:28 ループであろー②(2:59、10.7)

ヤジリンは去年の問題が配点以上に難しく感じていたのだが、今年も①は難しかった。最初から不安がよぎったが②で取り返せたか。ここで少し余裕が出来た。

14:32 ?入りナンバーエリア①(3:12、8.8)
(16:32 ?入りナンバーエリア②)

テントはアンサーキーが難しそうなので後回し。①は?の和が6で、それぞれ1~3と分かるところから。②も同様に計算してみると?の和が3つで22とそれなりに大きいので、そこから動くかなと思ったけどどうも引けない。配点とサイズ的に引きゲーっぽかったので、一旦飛ばす。

19:20 マグネット①(2:48、13.2)
27:16 マグネット②(7:56、6.6)

ここら辺は比較的得意な定番ジャンルが続くので、確実に解いていく。①は方針がすぐに見え、②も初手はすぐに分かったのだが、中央で勘違いをして全消しをしてしまった。しかし、全消し時には勘違いの原因が分かっていたので、もう一度落ち着いて解き直す。2分ぐらいロスはあったが、52点をここで確実に取れたのは悪くない流れ。

32:33 シームレスウォールロジック①(5:17、6.4)
(38:33 シームレスウォールロジック②)

ウォールロジックも比較的得意なのだが、シームレスなのでとにかくハタンしやすそうで、慎重になってしまった。②は半分以上埋まっていたところでハタンしてしまい、全消し。6分ロスは痛いが、マグネット②と異なり、見落としの原因が分かっていないため粘着はせずに一旦飛ばす。

43:34 スケルトン①(5:01、7.6)
(45:04 スケルトン②)

①は確実に。②は眺めたが初手が全く見えずに飛ばすことにした。これが取れるかどうかは大きかったのだが、結局最後までほとんど見ることなく終わってしまった。終わってから解き直したら初手はすぐに見えて7分ぐらいで解けたし、僕以外の上位層はほぼ全員解いていたので、高配点は捨て気味にするとは言え、これは見切りが早すぎた気がする。

47:12 ペグオミノ①(2:08、11.3)
56:24 ペグオミノ②(9:12、6.2)

①は問題なく解けたが、②がかなり難しかった。中央の仮定もなかなか引けなかったし、最初右下で解なしと思ってしまった。

58:58 LITSO①(2:34、7.0)
61:38 LITSO②(2:40、10.0)

①はパッと見理詰めと思ったのに理詰めじゃなかった。作者を見て納得。逆に②は最初からガンガン引きに行って適当に引いた。

68:20 似て非なるループメーカー①(6:42、5.5)
74:11 似て非なるループメーカー②(5:51、10.0)

①はこれも途中でハタンして1度全消しするも、もう一度解いて正解。最初の方が仮定だった。逆に②は解き筋がすんなり見えた気がする。慎重に解くので、全マスに数字は書いて、チェックしながら解いてた。

76:15 ノータッチ覆面分割①(2:04、8.2)
(77:15 ノータッチ覆面分割②)

②は未だに方針が分かっていない。すぐに捨ててしまったが、これは正解だったと思う。あと、結果を見るとA代表の人はこれが解けず、逆にB代表を含む以下10人ぐらいは全員解いているのだが、その理由も謎である。

79:23 バトルシップ①(2:08、8.0)
②は見た瞬間に闇の匂いを感じ取ったので、一瞬で捨てた。たぶんこの判断は間違っていなかったと思う。

83:07 エンドサム①(5:44、4.4)
(84:07 エンドサム②)

最初の2分を含む。1番に苦戦したので、とりあえず2番は1分考えて飛ばす。

88:30 内外不明のCave①(4:23 8.0)
タイム的には早い方だが、①でもかなり難しく感じた。この時点で既に約90分。②の入り口がパッと見て見えなかったのと、とりあえず最後まで早めに見ておいた方が良いと思って②はすぐに飛ばす。このまま高得点上から4つ捨てるとキツイな…と不安になる。

92:32 Make a Maze①(4:02、9.4)
101:34 Make a Maze②(9:02、7.0)

ビルはひとまず飛ばす。上記の通り、①は事前対策が効いたと思う。②も大きく手が止まることはなかったのだが、下の方でハタンしてしまい、下半分位を全消ししてしまった。しかし、上半分は出来ていたのと、これ以上飛ばすと高得点飛ばし過ぎな気がしたので、飛ばさずに解き切ることに。

105:58 ペントミノプレース(4:24、9.1)
110:49 ペントミノエリア(4:51、6.6)

サムクロスは迷わず飛ばす。ペントミノプレースは途中で、もしかしてXが決まるとかないかなと思って見たら予想的中ですんなり。逆にペントミノエリアは左上で少しハタン。

一通り最後まで解いたところで残り40分。時間をかけて解けていないのはウォールロジック②ぐらいなので事故はないが、特にスケルトン②とCave②を飛ばしているので伸びてもいない印象(実際、この時点ではまだ717点で、1000点行かないペースだった)。
方針として、スケルトン②Cave②を狙いに行くか、捨てて残りを取りに行くかの選択を迫られる場面だったが、ここは当初の方針通り、後者の方針を取ることで迷わなかった。高得点4つを捨てればその時点で2割以上を落とすことになるが、それよりも手を止めずに取り続けた方が、6位ラインを守れそうと思ったからだ。あと、時間をかけたウォールロジックを解くかは迷ったけど、何となく出来る気がしたので、これはもう一度解くことにした。結果論ではあるけど、ここでぶれずに舵を切れたのが特に大きかったと思う。

114:44 ベストテントサイト②(3:55、8.7)
118:58 ?入りナンバーエリア②(6:14、6.6)

テントはアンサーキーが大変で、ラインマーカーで引きながら数えた。
?入りナンバーエリアはなかなか引けず、パスも考え出したタイミングで左下がうまく当たって解けた。中央が数字少なめできつそう、ぐらいの雰囲気しか中々見えなかったな…

123:07 シームレスウォールロジック②(10:09、4.6)
もう一度ハタンしたらパスしようと決めていたが、特に手が止まることもなく、すんなりと解けた。結局どこでハタンしたのかは不明。これもアンサーキーが間違えやすそうだったので、ラインマーカーで引いて数えた。ナンバーエリア②と合わせて、この2問が時間をかけずに解けたのは大きい。

(125:07 アンサーキー入力)
131:24 エンドサム②(7:17、7.8)
2、3回ハタンさせている。残り時間が減ってくる中で高得点だったのでプレッシャーはあったのだが、絶対に取るって言い聞かせていた。

135:59 中庭ビルディング①(4:35 7.9)
137:18 大中小サムクロス①(1:19、10.6)

残り約20分なので、ここからは手を付けていない低得点を確実に積んで行く作戦。ビルはとにかくハタンさせないように落ち着いて。サムクロスは予想以上に早くて、②も解けばよかったのではと一瞬思ってしまった。実際、終わってから②を解いたら約9分(分速9.4)だった。

138:21 ベストテントサイト①(1:03、14.3)
140:09 吉例クロスマッス①(1:48、16.1)
141:26 吉例クロスマッス②(1:17、25.0)

競技パズルをしていると時々、何か良く分からないものが降りてくる時がある。2017WPCのスネークラウンドで、後半で65点と35点の問題(満点は1分10点計算)をどっちも2分ぐらいで解いてラウンド1位を取ったことがあって、この時はスネークの神でも降りてきてるんじゃないかと正直思った。
クロスマッスはどちらもほぼ1発で引いている(消しゴムの痕跡が②の1マスしかない)のだが、それこそ西尾先生が降りてきていたのではないだろうかと思うぐらいには、神がかった引きである。あるいは、ビルあたりから全体的に早かったので、トランス状態になっていたか。

145:42 アローメイズ②(4:16、6.6)
147:01 アローメイズ①(1:19、7.6)

クロスマッスが予想以上に早く、時間がまだあったので、残り時間を使い切るつもりでこの2問を解いた。残り3分。残りを見たら最低でも42点で解けるものはなさそうだったので、アンサーキーの見直しをしたら、バトルシップ①のミスに気づいて修正して終了。

○結果
1077点で3位でした。終わった直後の感触では、特に終盤戦の立ち回りがうまく行ったのと、大きくハマった問題はなかったので、さすがに6位以内は大丈夫と思っていて、あとはおそらく5人しかいない1000点越えの中で何位になるか、と思っていました。下2人よりも解いた量は少なかったのだが誤答ゼロが効いた結果で、ミスしないプレイングに徹したら、結果としてA代表が付いてきました。去年はA代表を狙ったら誤答してA代表を逃し、今年は真逆の結果になったので、勝負とは不思議なものです。
リスク回避に徹した結果だけど、結果的に高効率のスケルトン②とサムクロス②を逃しているのと、誤答ゼロにしている一方でスピードは落ちているのは間違いないので、どうバランスを取っていくのかが、WPCに向けた課題だろうと思います。あとは、圏内ギリギリっぽいPGPをどう耐えるか…

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