見出し画像

Jetblackの4日間限定ポップアップショップ

今日は、知り合いの経営コンサルタントの方に教えていただいた、ウォルマートが取り組む「Jetblack」という会話型コマース(チャットコマース)サービスと、JetblackがNYのSOHO地区に、5/19から4日間限定でオープンしたポップアップショップについてご紹介します。

Jetblackとは?

ウォルマートのテックインキュベーション「Store No.8」発の第一号スタートアップが、昨年5月にローンチしたサービスです。Store No.8は、小売の未来を飛躍的に変える可能性を秘めた企業の育成を目的に作られたものです。日本語で書かれたDigidayの記事がありました。

Jetblackのサービス内容については後述しますが、顧客が専用の番号宛にSMSを送ると、スタッフが要望に合わせて商品をセレクトし、送ってくれるという会話型のコマースサービスです。月額50ドルの会員制で、現在のところNYの一部のエリア&招待客のみで展開しています。

会社の代表を務めるのは、Rent the Runwayというハイファッションブランドのレンタルサービスの共同創業者でもある女性起業家のJenny Fleissさん。

彼女がジョインするまで、ジョインしてから、サービスローンチまでといった一連の流れについては、Store No.8のサイトに書かれています。サービスが形になる前の構想のようなものは2016年末にでき、その後Jennyさんがジョインしてからわずか14ヶ月でローンチされたとのことです。

週に平均300ドルが費やされているという衝撃

さてここからは、Jetblackのサービス内容について。Jetblackが取り組んでいるチャットコマースというアイディア自体は、特別新しいものではありません。私も2015年にOperatorというUberの共同創業者が始めたサービスについて記事にしています。

ではJetblackは何が新しく、すごいのか。そしてウォルマートがそこに取り組む理由って?  というところを見ていきたいと思います。サービス体験については私はまだWaitinglistに登録し順番待ちをしているところなので、会員になれたら改めて更新したいと思います。

まず、簡単にJetbackの特徴をまとめます。

・月額50ドルの会員制(つまり年会費は600ドル…!)
・送料無料
・テキストで「オムツを買いたい」と依頼して手配してもらうことも、「もうすぐ2歳の娘の誕生日なんだけど、何かいいプレゼントはないかしら? 彼女はユニコーンがスキなの」というざっくりしたお願いでも対応可能。「こんな商品どうでしょう?」と提案をもらえる
・商品の提案はAIと人間の混合。簡単なものはAIが、複雑なものは人力で対応
・画像を送って商品を手配してもらうことも可能
・ウォルマートで扱っている商品はもちろん、ウォルマートで扱っていない商品でも対応可(対象ブランドに制限があるのかは不明なので、実際に試したら改めてご報告します!)
・現在のところ、生鮮食品、アルコール、CBD製品、大型の家具、処方薬の取り扱いはなし
・現在のところ、NY(マンハッタンとブルックリンの一部)のみがサービス対象
・ギフトなどで自宅以外に送る場合は、米国内(ハワイとアラスカ以外)の他の地域へも発送可能
・基本は翌日配送だが、同日配送にも対応(その日の午後1時までに注文し、"rush”と入れる必要あり)
・1回ごとの最低利用料なし(いくらからでもOK!)
・返品も無料(返品したいとテキストし、専用のステッカーを荷物に貼りアパートのドアマンに預けておけば、Jetblackのスタッフが回収してくれる)

アメリカのAmazon Prime Nowは年会費119ドルなので、それと比較しても、年間600ドルというのは、めちゃくちゃ高いです。Jetblackは多忙なワーキングマザーをメインターゲットにしているので、この強気な価格設定でも機能しているようです。

知り合いの経営コンサルタントの方からJetblackの話を聞いたときに私が興味を持ったのは、一人あたりの平均利用額が、なんと週300ドルという点でした。つまり、1ヶ月で1,200ドル(約13万円)使っていることになります。マジかよ…と思って調べると確かにBussiness Insiderの記事に書いてありました。サービスが始まって3ヶ月後の昨年9月の時点で、一人あたりの平均利用額は週300ドル以上、購入数は10点以上。

まだ実際に試していないので、そこまでJetblackでお金を使う理由は見いだせていないのですが、確かに「◯◯買っておいて」の具体的な依頼はもちろん、「もうすぐ友達の誕生日なんだけど、いいアイディアない? 予算はこのくらいで、彼女は◯◯がスキで・・・」と伝えて、「それでしたらこういうのはどうでしょう?」と提案もらえて、さらにはオーダーの代行、ギフトラッピングまでした状態で即日配送されるというのは、忙しくて買い物に行っている時間がなかなか取れない人にとって、ありがたいことは間違いないですね。

ウォルマートは、メンズファッションのD2C「Bonobos」やJet.comなど、富裕層をターゲットにしている企業を次々と傘下におさめていることからも分かるとおり、富裕層の獲得を試みていることは明らかです。以前この記事のなかでも、ウォルマートについて書いているので、よかったら読んでみて下さい。

Jetblackを通じてさらにミレニアル世代の富裕層ファミリーを獲得し、ここで溜めた知見を今後ウォルマートの本業に活かしていくのでしょう。

Jet.comの創業者で、ウォルマートに買収された後にウォルマートUSのEC事業の代表を務めているMarc Lore氏は、次のように語っています。ウォルマートのテクノロジー面における未来志向が感じられる、興味深いセリフだと思います。

“Through Store No 8 and Jetblack, we’re able to build and test technology that can lay the foundation for capabilities we believe will have a profound impact on how customers may shop five years from now. "

Store No 8とJetblackを通じて、私たちは今から5年後の買い物の仕方に大きな影響を与えると確信している機能の基盤を築けるであろうテクノロジーを構築し、テストできるようになります。

予約制のポップアップショップ

ポップアップショップは、5/19〜5/22の4日間限定で、NYのSOHO地区でオープンしていました。SOHOはD2C関連の店舗&ポップアップショップが多数出店される場所です。私はWaitinglistに登録してあるので、「お待たせしてごめんなさい。お店でJetblackのキュレーション、テキスト注文を体験していただければと思います」という内容の招待状が送られてきていたので、すぐに予約し行ってきました。

予約当日の朝、私の電話番号にテキスト(SMS)が送られてきました。クレジットカード情報を登録しておいてね、と。その後お店に着き準備が整ったらReady to Shopと送ります。受付で、買い物してもその場で持ち帰ることはできないけど、後からFedEXで送るよ! と伝えられました。

店内はこんな感じで、テーマごとに厳選された商品が置かれています。

店内にレジはないので、欲しい商品があったら商品タグにかかれている番号と、サイズなどをテキストします。

私は日焼け止めを買ってみました。番号を送り、店を出てから数分すると購入代金に関するテキストが送られてきました。

驚いたのが店で扱っているブランド。子供服のRockets of AwesomePink Chicken、アイスクリームのDOなど、NYベースの人気ブランドに始まり、ダラスに住む難民女性を雇用などで支援するGAIAなど。私もここで初めて知ったのですが、GAIAはハンドメイドバッグやアクセサリーなどを販売しているそうです。

取り扱いの広さと、ええええ、あのブランドJetblackを通じて買えるの? という意外性は、潜在的なJetblackの顧客にアピールするにはバッチリだったと思います。また、テーマに合わせたキュレーションのなかで並んでいる、これも欲しい、あれも欲しいと思わせる素敵な商品の数々は、Jetblackの会員になったらセンスの良い商品を提案してくれそうだ、という期待につながります。

しかも予約制をとっているので、一度に入店している人数が少なくくつろぎながら買い物できるところも、その後オンラインでも同じようにリッチな体験ができるんだろうなと思わせてくれます。気になることがあれば近くの店員に質問することもできます。

私がお店を訪れた時は、近くにいた女性が「子供服どれがいいかしら?」とお店の方に尋ねていたのですが、その時の会話がまさにJetblackを通じて展開されるんだろうなぁと思わせる素晴らしい内容でした。

「お子さんはおいくつですか? 性別は?」
「実はまだ生まれて10日しか経っていないの、男の子よ」
「えええ、とても10日目のママには思えないほどスタイル抜群ですね。びっくり。私もまだ小さな子供を育てている身だから、子育ての大変さはとてもよく分かります。そうですね、このお洋服はどうでしょう?」

冒頭で紹介した動画のなかでも、注文が済んだら「さあ、あとはお子さんと遊んで!」とJetblackのコンシェルジュが送っていますが、こういう人の温かさが感じられるところが受けているのかもしれないですね。

Jetblackのサイト上でも、下記のようにあります。

Jetblack’s picks are powered by our members— busy moms and parents, just like you, who know their stuff inside and out. Best part: all of our picks are curated with NYC families in mind.

商品をピックしているのは、皆さんと同じように何が必要か、そうじゃないか分かっている忙しいママや両親です。最もすばらしい点は、私たちが選ぶすべてのものは、NYCの家族を念頭においてキュレートされていることです。

そのエリアに住む忙しいママ・パパの間でどのようなニーズがあるのかを理解しそれに応えますよということで、本当にそのとおりのサービスなのだとしたらそれはすごいことです。間違いなくJetblackから離れられなくなりますよね。実際に試してみないとそれ以上のことはお伝えできないので、改めて会員になれたらサービス体験記ご紹介しますね。

買い物後にこのようなテキストが来ていたので、近く会員になれる資格を得られるはず…!

早く使ってみたい!

商品は、買い物から2日後にJetblackのオリジナルダンボールに入り届きました。しかもなぜか2個…!現在Jetblackに2個届いたよーと問い合わせ中です。

=====

【お知らせ】
このD2C/サブスクリプションサービスを紹介して! というリクエストがありましたら、リサーチしてお返事いたしますので、下記からお気軽にお問い合わせください。


いいなと思ったら応援しよう!

公文紫都 @shidu
NYからホットなニュースをたくさんお届けしていきますので、応援いただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!