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メリトクラシー

大学で勉強することにした。この歳で学生になるとは思わなかったが、社会人でも継続教育は当たり前だし、授業はすべてオンラインだから職探しをしながら空いている時間を勉強に充てられる。教育は大切だよな。学歴がすべてじゃないけどあっても邪魔にはならない。なにより楽しそうだ。学びたい科目がたくさんある。

大学の名前はCANNABIS TRAINING UNIVERSITY。認可大学ではないから事実上は専門学校だが、医学、法律、園芸学からバッズテンダーになるための職業訓練まで幅広い分野をカバーする。登録を済ませ(18歳以上なら誰でも入学できる)、さっそくバッズテンダー認定証をもらうためのコースを始める。

教育ビデオの1つでは「バッズテンダーの仕事」と称してコロラドのディスペンサーで働くコンサルタントを紹介している。坊主頭にゴーティという風貌の気さくな青年が初めて来た客にカナビスの説明をする といった設定。商品について丁寧に解説している姿は、一見 電化製品を売る店員とまったく変わらない。でも話している内容は、「簡単に言えばサティーバはハイになって、インディカはまったりする」とか、プリロールを引っ張り出してきて「このジョイントには1グラムのフラワーが詰まっている。ボクはいけるほうだけど、さすがに1人では吸えない。友達数人とシェアしたほうがいいよ」とか。けっこう笑える。「1日中カナビスの話ができて楽しいが仕事は仕事。規制が厳しいから、毎日の在庫と売上を綿密に記録して州の管理局に報告しなければならない」動画の最後に青年はこう付け加えた。

今やカナビスの首都はアムステルダムではなくデンバーらしい(「マイル・ハイ・シティ」とはよくいったもんだ)。フラワーだけでは飽き足らず、ハッシュやワックスまで売っているのかよ。店の品揃えには圧倒されてしまう(「唖然」と言ったほうが正しいかもしれない)。なんだかすごいことになっているな。バッズ欲しさに夜中 何度もガラの悪い公園へ足を運んだ経験を思い起こすとちょっと複雑な心境だが、とにかく一生懸命勉強しなきゃ。

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