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性別とトレーニングコーチの役割

先日、寝る前にベッドでゴロゴロしながらclubhouseで興味のあるルームでお話を聞いていたのですが、話の流れからスピーカーの指名を受け、あわてて起きました。clubhouseはzoomと違って顔を出さなくていいのが助かりますね(さすがに自宅で緩みきっている顔は見せられない)。

話題はスポーツ現場で活躍されている女性トレーニングコーチの現状とやりがいや悩みについて。その中でも女性が同性のチームを担当するとき、異性のチームを担当するときといったことをスピーカーの方が話されていたのですが、そういえばニャロメさんは異性のチームを担当されていますよね、という話で。

話をすればするほどトレーナー、トレーニングコーチとしてのキャリアを積むことのむずかしさというか、戸惑いなんかも改めて考えさせられたりします。女性、男性と二分するつもりはないのですが、一応今のところ生物学的には二択になっているので、便宜上性別を考慮して感じたことなどをつらつらと書き残しておきます。

一歩を踏み出す行動力

お話をされていたトレーニングコーチの方は、20代ながらもトップチームのトレーニングコーチとして活躍されています。そのきっかけを作ったのは自らの行動力。自分から「この人の下で学びたい」と意を決して、セミナー後に話をしに行ったというところからも、真剣さが伝わってきます。その後、必要な知識や技術を学び、今のチームで活動するチャンスをつかんだとのこと。この業界は誰かの紹介で仕事を得ることも多いため、人脈をひろげることに躍起になってしまいがちですが、自分からアクションを起こすことと活動に必要なものを学び続けることが結果的に道を開くことになるのではないかと思いました。

ワタシも比較的、自分から行動することが多いのですが、改めてお話を聞いてみると「若いのにすごいなぁ~」と感心してしまいました(この語彙力のなさ…)。「地球は行動の星」と言ったのは斎藤一人さんですが、行動するということに性別は関係なさそうです。

ちなみにトレーニングコーチの代表的な資格としては、NSCA(National Strength and Conditioning Association)認定のCSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)が挙げられます。現在、日本には約1800名ほどの資格保持者がいると言われていますが女性の割合は非常に低く、ワタシが取得した当時でも1割程度だったと記憶しています。現在はもう少し増えていると思われますが、それでも女性のトレーニングコーチは、さながら珍獣がごとく貴重な存在であるともいえます。

体力面での限界をどうする

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女性としてスポーツ現場で指導するときに、体力面では男性にかなわないという側面があります。ホルモンによる影響もあり、筋肉量がそもそも違いますので男性と同じように活動するというのはむずかしい。特にウエイトトレーニングの指導場面で同じ重量を挙げるなんて考えたこともないし、ウォームアップでのデモンストレーション(略してデモ:見本を行うこと)などでも、体のキレやスピードが指導する男性選手よりも劣ることは認めざるを得ないところです。

ここでワタシが思い出したのは「中学や高校では、女性の体育の先生ってごく当たり前にいたよな」ということ。スポーツ現場での女性トレーニングコーチは珍しい存在なのかもしれませんが、体育の先生だと考えれば何の違和感もありません。そこで基本的なフォームを示し、選手や学生コーチ、学生トレーナーなどをうまく巻き込んでデモをしてもらうことにしました。実際にデモをやってもらう際は「この選手のここをしっかり見てね」と伝えておくと、ポイントがわかりやすいですし、デモを担当した選手もちょっと誇らしげだったりします(ワタシはその表情を見逃しませんよ!)。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

かの有名な山本五十六(やまもといそろく)の言葉です。「やってみせ」というのをどう解釈して、自分の活動に活かすのか。「やってみせ」るために選手たちの動きを把握し、ここを意識して欲しいという的確なアドバイスと姿勢が選手たちへと伝われば、実際に「やってみせ」なくてもその先に進めるのではないかと思います。

また男性、女性に限らず加齢とともに体力面では年々厳しくなることも覚えておく必要があります。もちろん鍛え続けることで体力面での衰えというのはある程度抑えられると思いますが、これもなかなか厳しい問題ですよね…。年齢を重ねてもトレーナー、トレーニングコーチとして活動するのであれば、自分自身の体力を維持することは必須じゃないかなと思います(軟弱なワタシが言うことでもないですが)。

いろんなSCの形があっていい

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ワタシがお話をした後に、旧知の友人でもある男性のトレーニングコーチがスピーカーとしてお話をされていました。その中に「いろんなSC(ストレングス&コンディショニングコーチ)の形があっていい」という話があり、大いにうなずきました。思わずスピーカーに戻ろうかと思ったくらい(自重したw)。

もちろんトレーニングのデモで見せられる(魅せられる)コーチは素晴らしい。いろんな方のトレーニング指導現場を見る機会がありますが、「これはかなわないな」と思うこともしょっちゅうです。それと同時に科学的なアプローチに基づいたプログラムデザインであるとか、体を動かすときの感覚を言語化するための表現であったり、その選手に必要なものを見抜く洞察力であったり、さまざまな側面からトレーニングを指導することも可能であると改めて思わされました。もともと運動が得意ではなく(体育学専攻なのに体育ではなく、一人だけ英語の教員免許をとった)何となく引け目を感じるところもあったのですが、ワタシはワタシらしいトレーナー、トレーニングコーチであればいいのかなと。

階段を一段飛ばしで駆け上っていく

以前に比べたら世界の情報量は比較にならないほど増え、玉石混交のインターネットでは情報を精査する能力や、判断する能力が求められるようになりました。ワタシよりも若い年代の人は専門知識や技術などをあっという間に取得できる環境になりましたし、人脈をひろげるという点でもSNSによって爆発的に増やすことが可能です。さながらワタシたちが通ってきた道を「階段を一つ飛ばしで駆け上っていく」ようなイメージがあり、だからこそ後進の人たちからさまざまなことを学びたいと思います。

ワタシがトレーナーとして活動を始めた当初から比べると隔世の感がありますが(笑)、これからもトレーニングコーチやトレーナーという職業は性別にかかわらず、誰にでもチャレンジできるものであって欲しいと思います。ワタシは後ろから追い抜かされてもしぶとくついて行きますよ〜!!

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