デカダンスのうた

急に自分の今を書いておきたくなった。
今年1年聴き続けたアーティストのことにも触れたい。

よろしければ久しぶりのnoteにお付き合いください。

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2021年は何をしていただろうか。

前半までは従来のやり方に固執してあがいていた。
フードライターの仕事が減っていくことや、
その依頼が来ないことを恥じた。

案件が続いているフードライターも存在するのだろう。
時世がどうあれ、一方の自分はその程度かと嘆いたりした。

後半になるほどアルバイトに比重を移し、精を出した。
デスクワークではあったが、朝から晩まで動けることが嬉しかった。
出来高制ではなく時給制なのに、誰よりも多くこなすことに燃えた。

本音は文章を書く仕事がしたかったが、食べていかなくては。

書きたい気持ちが逆に、noteは遠ざけた。
試しに「あとは公開するだけ」というほど書き込んでみても、
結局最後は公開ボタンを押すに至れなかった。

「こんな駄文、誰の何の役に立つのか」

意味のあるような文に書き直すほど軸がブレてつまらなくなった。

常に文章を書いていた頃の感覚や公に出す時の勢いがわからなくなり、
10月のnoteにはとうとう何も投稿しなかった。

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「2021年はデカダンスだったな」

今日の夕食後、珈琲を淹れながらそんなフレーズが浮かんだら、
ふと気持ちに整理がついたのか、こうしてnoteを書くに至った。

物事は名前が付くと靄もやが晴れ、次に進めたりする。
（今日こそは勢いでアップしてしまおうと少し急いで書いている）

そう、デカダンスという言葉がなんともぴったりだ。

状況はどうしようもなくネガティブながら、
自身のあらがいは至高を願うゆえの孤高の姿とも捉え、
この境遇すら是で耽美に思え、どこか陶酔してしまう。

誰かにわかってほしいと救いを求めながらも、
気安くわかられてたまるかと棘のようにプライドを尖らせる。

躁の自分も滅入る自分もつまりは両方肯定している状態。
肯定しているのでハマり、中毒性が生じて抜け出しにくい。

厨二病のスペシャルエディションとでも言えば伝わるだろうか。

ある日は退廃的境地にロマンやノスタルジアを感じたりするが、
一つ間違うとダークサイドの淵を引きまわされる心情に陥った。

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思い返せば、20代も長い“デカダンス期”であった。

大学院まで進みながら、その道に未来が見出し切れなかった20代。
常に“不安7：希望3”くらいで生活していた20代。

「生きていくとは何か」「好きとは何か」

僕のようなタイプは行き詰まった時ほど、
哲学気取りの答えが出ない難問に足を取られる。

何かしらの答えが欲しい時はとにかくSF映画を観た。
SFは設定を架空にする分だけ心理描写や考察に繊細さが必要で、
そうしてまで生き、そうまでして愛を表現するシナリオは、
噛み砕いた哲学書のようで、悩む脳裡に沁み入った。

何かの支えや気晴らしが欲しい時は繰り返し音楽を聞いた。
憂いと希望を切なさ混じりに歌い上げるアーティストに惹かれた。
言うなれば“デカダンスのうた”だ。

どんな時も気分を落ち着かせてくれるのは、
EGO-WRAPPIN’とSalyuとハナレグミだった。

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図らずも40代中盤でまた同じようなことを考える1年を過ごした。

「それでも生きるということ」「それでも好きだと思うこと」

抑圧されると悩みが生まれるのは、形はどうあれ自然の摂理だ。

20代より少し成長したのは、やり過ごすこともできるようになった。
熟考し過ぎず、“デカダンスのうた”に気持ちを流してしまうのだ。

改めて聴き入る中で、選曲傾向を把握したSpotifyから、
『にしな』というアーティストをおすすめされた。

2月の初め頃で、『夜間飛行』という曲だった。

儚げな声と細かく震える歌い方にどっぷりとやられた。

3月に『centi』という曲のMVを観た際は、
雰囲気につられ20代の記憶までが呼び起こされてしまい、
同棲するアパートのベランダに裸足を投げ出し、
紫煙を夕日に溶け込ませるかつての彼女を思い出したりした。

あの頃は自世界への陶酔道具にしていた煙草も今は止めて久しいが、
代わりに、にしなの歌声がほどよいデカダンスを作り出した。

現時点までの約1年に亘り、何リピートも聴き続けている。
11/17に配信されたばかりの新曲『debbie』も味わい深い。

飽きもせず聴いていたくなる歌声の持ち主は、
どんな時も僕の気分を落ち着かせてくれる4人目の歌い手となった。

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行き詰まり、悩んだ挙句の退廃的デカダンスか。
自己陶酔を望んだがゆえの耽美なデカダンスか。

デカダンスゆえ導かれてきたにしなか。
にしなゆえに助長されたデカダンスか。

▼ 上記3曲のMVをご紹介までに（nishina_official ♪/ YouTube よりリンク）