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本棚を買った。現品限りで4500円。組み立て済みの代物だった。 店員に「これください」と頼み込む。 「ただいまご用意いたしますのでそちらでお待ちください」と言われて、近くのソファに座った。 なんとなく、サービスカウンターに目をやる。そこでは新人研修が行われていた。先輩店員が新人にレジ操作を教える、ごく普通の研修だ。 「私もそんな時代があったなぁ」と微笑ましく見ていた。でも、既視感があったのはそれだけじゃなかった。 研修担当の先輩店員、よーく見たら知ってる顔じゃん… 同
そのお店は赤坂にあった。 絨毯が敷かれており、歩いても音が立つことはない。白い円卓は、隣が気にならない距離感で、卒なく配置されている。 耳をすませば、僅かばかりに話し声が聞こえ、目を凝らせばようやく、隣の円卓で何を食べているかがわかる。 隣は何を食う人ぞ。 気にはなるが、間違っても目を凝らしてはならない。ここは言わずと知れた高級中華のお店なのだ。 円卓の上には、海老のチリソースが盛られた白い皿が置かれている。 これは私が望んで注文した一皿だ。その様子は、こ