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#100文字の世界

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2021/3/22〜4/5で集めた100文字ぴったりの投稿と、ニャークスのヤマダが作る #100文字の世界 掲載マガジン。https://note.com/nyarks/n/n6…
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2020年11月の記事一覧

100文字ノスタルジア / 名前

誕生日だね。家族に迎えることを決めた日、音の響きで名付けたけど、あとから食べ物の名が幸せになると聞いて、2人で慌てて調べたんだよ。南の島の料理に見つけた時は、健康が約束されたようで心底ほっとしたんだ。

100文字ノスタルジア / 焼き芋

叱られている時に限って、悪い子を連れ去るピーのおじちゃんが近付いてくる。音が大きくなりもう駄目だと思う頃、母は「許してもらえるか聞いてくる」と家を出る。もうしないと反省するとなぜか母は焼き芋をくれた。

100文字ノスタルジア / ボタン

憧れの美女に呼び出され、「ある子に頼まれた」と第二ボタンをねだられた。「ある子じゃあげられない」と僕はその場で断った。君だったら良かったのにな。後日、ある子はその子本人だと知った。神様っているみたい。

100文字ノスタルジア / 涙味

5歳の夕食時、よりによって大好物の日にこっぴどく叱られ、ベランダに出された。謝りながら泣いていたら鍵を開けてくれた。40歳を超えた今も時々、涙味で格別に美味しかったハンバーグと母のあの笑顔を思い出す。

100文字ノスタルジア / 自転車

地方大学への入学式に遠路遥々父親が出席してくれた。帰りの新幹線までの間、駅前のヨーカドーに寄ろうと言われ、黄色の自転車を買ってくれた。「一人の帰り道が楽しくなるだろ」と言われた。漕ぎながら少し泣いた。

100文字ノスタルジア / 車

おじいちゃん家に行くと、すぐベッドに向かう。目覚まし時計は計器、枕で挟んだ太鼓はハンドル、脇にレバーのバットを差して車を作る。部屋が紅く染まるまで僕のドライブは続く。二世帯住宅ができて車はなくなった。