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【J2リーグ】その男、大西遼太郎につき【第11節 ロアッソ熊本対ジェフ千葉】

こんにちは、今回もロアッソ熊本の試合レビューを少しだけ書いていきたいと思います。

今回は前節、9試合ぶりの勝利を挙げて意気込むジェフ千葉と、2試合連続の引き分けと勝ちきれていないロアッソ熊本の対戦となりました。
ボトムハーフ同士の対戦ではありますが、勝ちを渇望する者同士の対決です。

両チームのスタメンとシステム、得点者は以下の通り。

40分 西久保 駿介(千葉)
60分 椿 直起(千葉)
69分 江﨑 巧朗(熊本)
97分 粟飯原 尚平(熊本)

落ち着いた両チーム

勝ち点3が欲しい、前節の勢いを持って挑みたい千葉とハイプレスからのショートカウンターを狙いたい熊本の噛み合わせにも関わらず、試合の入りは静かなスタートでした。

4-2-3-1のシステムでセットして、前線も守備的プレスにとどめる、ブロックを作りゾーンで対応する千葉。
最終ラインでのビルドアップもそこそこに、最前線のブワニカ啓太に長いボールを蹴ってくる程度で、そこまで怖い攻撃が出来ているとは言えませんでした。

対する熊本も、ハイプレスを実行する前に前に長いボールを蹴られてはいたものの、ブワニカ啓太が競ったセカンドボールを回収→最終ラインで回す、といった静かなものでした。

ロングボールで前進を図る千葉

セカンドボールは江﨑や上村が回収し、黒木や藤田、島村といった右サイドの面々へと繋ぐ形が多かったです。
右サイドで作る、という形はこのシーズン多い形であり、ここから左に展開して刺す、というパターンが多いのですが、この試合においてはこの右サイドの作りすらギクシャクしていました。

何故かというと、下がってくる島村に対して左サイドハーフの椿が徹底してマークをし、かいくぐられたとしてもSBの日高のマークと椿のプレスバックで対処してしまいます。
この深い守備によって、通常よりも崩しに手間が掛かることとなり熊本のパスワークを徐々に乱していくことになります。
プレスが激しい訳ではないのですが、上手く深みを持ったブロックを構築していくことで熊本のパスワークを地味に、ではありますが乱すことに成功していました。

右サイドを封鎖した千葉

主導権とゴールを奪った千葉

右サイドでプレーメークが出来なくなった熊本は、前線の石川や平川がひとつラインを下げてボールをもらいに来る場面が目立つようになります。

ボールをもらいに来るのはいいのですが、そこから前進出来なければ意味はありません。
マークを受け渡してゾーンでプレスを掛けてくる千葉の守備に負けてレイオフのパスを繰り返すばかりで、ボールが中盤と最終ラインを行き来するだけになっていました。

たまに縦パスを刺すこともありましたが、ほとんどのパスは深みを作る千葉の最終ラインに余裕を持ってカットされていましたし、そこからカウンターを浴びてしまう始末。
ここから徐々に、パスはそんなに繋ぎはしませんが千葉が試合の主導権を握るようになっていきます。

仕掛けのパスを狙って引っ掛けられるようになった千葉は右サイド(田中和樹と西久保駿介のサイド)から攻勢を強め、先制点を奪取します。
前半40分に田口泰士の左CKからファー寄りで待っていた西久保の打点の高いヘディングでゴール、リードを奪います。

リードを奪われた熊本は攻撃に出ますが、千葉としては今までの守備がハマってのリードの状態だったので自信をもって4-2-3-1のブロックを敷いて待ち受けます。
前半は千葉の守備に苦戦したままタイムアップ、苦しい状態でハーフタイムに入ることとなりました。

ボールを持ち、シュートも撃ちながら攻めあぐねる熊本、カウンターで効率的にゴールに迫る千葉、というのがよく分かるスタッツとなりました。

後半も攻めあぐね…そして転機が来る

後半に入ってもボールを持ちながら攻めあぐねる熊本、カウンターからのサイド攻撃でゴールに迫る千葉、という状況は変わらず。

ギリギリでゴールを守っていた熊本でしたが遂に決壊してしまいます。
左サイドハーフの椿のドリブルでの仕掛けをスタートとして、中央→右サイドの田中へと渡り、マイナスのクロスを椿に送ると正確にゴールを射貫きます。
60分までで2点差となり、熊本としてはホームでかなり苦しい状態となりました。

ここで熊本がテコ入れとして2枚代えの交代を行います。
石川↔大崎、相澤↔大西の2枚代えです。
前線の石川はともかく、最終ラインを代えるのは何故??と思いましたが、これが結果として逆襲を呼び込むこととなります。

大西は元々中盤の選手であり、最終ラインもこなせるポリバレントな能力の持ち主。
積極的に偽CBとしてアンカーの上村の脇を使い、パスや運ぶドリブルを行っていました。
そのお陰か、左サイドが主に活性化→右サイドへのサイドチェンジも多くなります。
また、アンカーの脇にまで進出することで中盤のマークをずらすことにも成功し、元々高かったボール保持率を持って逆襲に出ます。

また前線も動きを見せます。
左サイドが数的優位になったことでウイングがSBを釣り出せるようになり、裏のスペースを使えるようになりました。
石川は最終ラインとの駆け引きで深みを作ってくれますが、サイドへ流れてのチャンスメークは不得手です。
そこへ代えての大崎、得点感覚は石川に劣るもののサイドに流れてのチャンスメークは大崎に分があると感じます。
松岡が作ったスペースを使って、そこに大西からの縦パスが刺さるようになり前進のパターンが増えた熊本は一気にゴールへ迫るようになります。

大西を入れてポゼッション強化した熊本

昨年まで在籍し、左CBとしてポゼッション強化、運ぶドリブルに一役買っていたイヨハ理ヘンリーの代役としては最高の人材となりました。

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