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あの土井善晴先生もnoteレビューした料理本『スヌープ・ドッグのお料理教室』レシピを実際に作ってみたよ!感想&日本で作る際のコツ



わたくし、スヌープ・ドッグのラップなんて聞いたこと無かったのですよ…。なのに本屋さんでこの異色過ぎる料理本をパラパラめくってみたら

余りにもおいしそうなので

つい買ってしまったんです。

そしていくつか作ってみたら本当に本当にどれもおいしい!のでレビューします!

この料理本、なんとあの土井善晴先生もレビューしてます。しかもnoteで!メチャクチャ悔しげに!





ぱっと見、どのレシピ写真も、土井善晴先生が志向している『素材を活かした健康的な家庭料理』からまさに最も遠そうな『アメリカ大量消費文化』っぽい見た目。

とにかく写真がどれもこれもガリガリに焦げてるくらいの派手な焼き色がついてて、濃ゆそうなタレがギンラギラ光ってます。

ジャンクフードっぽい材料もかなり起用されてる。

だから、土井善晴先生も、きっと、はじめは、批判する気満々で作ったのかな?

で1番土井善晴的なコンセプトから遠そうな、

『アメリカンワッフルを沢山焼いて重ねて、そこに市販のバーベキュー味のポテチを砕いて衣にしたフライドチキンを載せて、そしてそこにメープルシロップを山ほどぶっかけた料理』

という


トンデモものすごジャンク料理



ってのを試作なさってるのですw

ところが!


実際に作ってみると素材を活かしたやや薄味のおいしい料理!!

お母さんの料理という感じで拍子抜けします。

土井善晴センセも当惑してる。

(後ろに私が実際に作ってみた料理の写真日本の材料で作る時のコツなどを貼ってあります!)

案外薄味の、愛に溢れた、やさしい健全な味で、土井先生、どう評価していいのか、コメントに困ってるのがヒシヒシ伝わって来ます。

おそらく、スヌープ・ドッグという人物はアメリカにおける不良のカリスマでもあるけど、それと同時にクレバーな経営者でもあり…

つまり、

アメリカ版『矢沢永吉』的な立ち位置なのかな…

だから、このスヌープおじさんの料理の本質を『アメリカの豊かな白人都会人の大量消費文化の礼讃』と考えてしまうと、この、予想外に優しい健全な味に、メチャクチャ困惑してしまうんですね。

で、土井先生も、作ってみて、その結果、驚きつつ気づいておられるのだけど

スヌープのお料理って、これ、ディープ・サウス、貧しい南部の黒人のお母さんルーツの家庭料理が基本なんですよ、そしてそういう立ち位置の貧しかった不良青年がラッパーとして裸一環で成り上がってアメリカンドリーム掴んで贅沢な物もたくさん経験して経営者とかもやって…でも俺の基本であり1番大好きなものは南部の黒人の家庭の味なのさ、だから孫に昔ながらのアップルパイを手作りで作ってやるんだ、

ってなってる事にもっと思いを馳せると、

スヌープの予想外にやさしい味付けとか、やたらと野菜を大量に食べさせようとするなど、見た目よりずっと健康志向なレシピである謎が見えてくる。

(『サンクスギビングの御馳走ってなんかオレンジとか灰色ばっかで緑が足りないよな』とかいいながら、肉に付け合わせるいんげんバターレモン炒めのレシピ出すんだけど!材料がいんげん910gって…!これは…この方は…孫に野菜食べさせたい星人であり、『おかん』ですね)

でお買い物スヌープドッグは、成り上がって、一般人が入れない超高級ホテル(アメニティが全部ヴェルサーチらしい…想像がついていきませんが凄そう)で食べた、

素晴らしく美味だったそのホテルの看板料理なロブスターの料理の再現を

『さぁ、俺からお前へのプレゼントだ、エンジョイ!』と書いたり

反対に

『俺たち黒人全員のルーツは南部と言えるだろう』と書きながら、

ミシシッピーの南部の川で釣ったナマズのフライを紹介したり、

その両方をレシピに出している。

成功した自分と、ルーツ、その両方を慈しみ、愛せる、そんな、スヌープ・ドッグ、

愛だよね。素敵だな。

と、料理を作りながら、ラップミュージックなんてほぼ聞かないのに、海の向こうのよく知らない不良おじさんスヌープ・ドッグが好きになりました。


【実際に私が作ってみた写真&日本の材料や日本のキッチンツールで作る時のコツ】

現在私が実際に作って感動したのは

★オレンジ・チキン・アンド・ホワイトライス

我が家の出来上がり写真はこちら。
これは本当においしいしだけでなく、日本人好みな味なのでイチオシです!

要するに『酢豚の鶏肉バージョンエスニック風味』なのですが、しょうゆが異国情緒を乗り越えさせてくれ、日本のお米で和食と一緒に食べても十分おいしくいけます。酢の代わりにオレンジジュースが入っていますが、カボスやゆずやレモンと同様に品の良い酸味と香り高さはむしろ酢より…イイ!

酢豚が食べれるお父さんなら『おっ、むしろ酢豚より旨いね!』ってなるはず。

卵と片栗粉をからませてよーーく揉み込むとあら不思議鶏肉の周りがメッチャパリッパリで感動!出来立てのチキンナゲットの表面のようなカリっと感です。レシピの皮なしの胸肉でも表面カリカリ感が最高だし、しかもそうやってカリカリ衣で肉汁を内側に閉じ込めてあるから胸肉なのに中がジューシー。日本では嫌われがちな鶏むね肉の救済レシピでもありますね!

そして日本風に皮付きの胸肉やもも肉で作っても最高です。皮がついている部分だけでなくついてない部分までカリカリになりますので。

そ、そうか。。。片栗粉と 卵 を し っ か り 揉 み こ んだうえで揚げるとこんなカリサクな表面が産まれるんだ・・・!


★ヤーディ・ヤードバード

これも最高に美味しかった。

ジャマイカ風チキン。ジャークチキン。ジャマイカ料理?初めて食べたけど…何かに似てると思ったらライムの香りをガツンと効かせたグリーンカレータイカレーとちょっと似たスパイス。

アフリカ料理のレモンと唐辛子でマリネした鶏肉にも似てる。

パーティに誰が見ても納得な映える本格エスニックを作って自慢したい!料理した事ほぼないレベルに腕はないし、めんどいことは一切したくないし、美味しくないといやだけど!みたいなシーンにぴったりです。

★ラグス・トゥ・リッチーズ・アップルパイ

出来たものはこちら。
これも100人中99.5人は大絶賛するおいしさだと思う!

練りパイ生地まで手作りだけど難しくなくサックサク!

半分バター、半分をショートニングで作るパイで、産まれて初めて『ショートニング(トランス脂肪酸なし)』を買いましたが、サクサクです!本当にサクサク!サクサクですよ…なんてすばらしいパイ生地・・・練りパイ生地はもう一生スヌープ式で行こうと思えるサクサク感・・・💕

パイ生地だけどフードプロセッサースイッチポンで簡単に作ります。

ここでコツですが、日本のフードプロセッサーなら生地は半量くらい、つまり2回に分けてフードプロセッサーに掛けた方が失敗がないかな。でも大丈夫、『2回に分ける』なんて言っても、ただ半分回したら、ざっと取り出して、まだ洗ってないフードプロセッサーに残りを放り込むだけなのでてまではありません。

写真は一回目なので怖くて分厚く作ってしまいましたが二回目からはもっと薄く延ばしてます、嗚呼、ますますサクサク・・・

シナモンがガッツリ効いた甘さ控えめのりんごがガッツリ入ってるのも最高です。

スヌープは生のリンゴをガンガン入れて焼きながら水分を飛ばしてますが、

アメリカのこのレシピのリンゴ=グラニースミス(日本で入手するのはほぼ不可能かと)は日本のリンゴよりも水分少なく酸っぱいリンゴなので、

対処法A
日本のふじリンゴなど水分多く甘いリンゴで作るときはレモン汁を足してあらかじめチンして炒めて水分を飛ばしたり

対処法B
パイのお皿部分をあらかじめ空焼きして置くとか

対処法C
生のリンゴで焼くならば下にパン粉を敷いてリンゴから滲み出た美味しいジュースを吸わせる

などするとますますサックサクになり本場のスヌープ味に近づくはず。

私はサックサクが良かったのでAとBあたりの工夫を足して焼きました。

半分くらい生のりんごの刻みをトッピング的に足してもいいでしょう。

あと使用する林檎ですが、グラニースミスはシャリっと感のある酸味のある林檎です。しかもスヌープは生で使えと書いてある。つまりシャキシャキ感のある林檎がいっぱい入ったアップルパイを目指していると思われます。そこでいわゆる日本ではアップルパイ向けと言われている紅玉では煮崩れしやすくシャキシャキ感が出にくいので(香りと酸味は最高なんですけどね)、むしろフジや青リンゴ系のとにかく『シャリ感に定評のある』林檎にしっかりとレモンなどの酸味を足した方がスヌープの味に近づくかも。

★OGチキン・アンド・ワッフルズ

土井先生も試作したこれも最高においしかったです。唐揚げの衣としてスヌープが大好きなアメリカの有名なスパーシーなポテチを砕いたものを混ぜるのですが、そのメーカーのポテチが日本では入手しづらいのでつまり日本に昔からある自分が大好きなポテチをまぶしたらいいじゃないか、ってことで湖池屋カラムーチョをまぶしましたがものすごくあってたと思います!バターミルクは無理せずヨーグルトで代用したり、牛乳で代用したりしましたが大丈夫でした。

★スパゲティ・デ・ラ・フッド

カリオストロの城的なミートボールスパゲティです。
日本のミートボールと違い甘さのない大人のミートボールなのが渋い!


↓ウッカリ音楽まで聞いてみて、素敵だなって思った曲。

ピーチ・アンド・クリーム。


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