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だんちゃん

札幌・すすきのにある刺身居酒屋だんちゃん(札幌市中央区)が2024年3月30日をもって閉店するみたいです。

※自身のX(旧Twitter)では最終営業日が3月29日になっているが、3月30日の誤りです。

北海道最大の歓楽街と言われるすすきので44年間続いているアットホームな居酒屋で地元の常連客に評判がよく繁盛していました。しかし、2020年から始まったコロナ禍で客足が途絶えるなど深刻な被害を受けただけでなく、精神的に追い詰められました。

そんな中、たまたま女将がTwitter(現X)上で投稿された新型コロナ陰謀論を見つけたのをきっかけに居酒屋の夫婦は反コロナ・反マスクに染まりました。そこで、感染対策を放棄するとともにノーマスクの客しか店に入れない方針にしたところ、新型コロナによる行動制限や自粛要請に不満を持っている人たちの間でノーマスクOKの居酒屋として知れ渡り、全国各地から客が来るようになり再び繁盛するようになったとみられます。

とはいえ、これらは客に対して感染リスクを増大しかねない行為であり、2021年6月に反ワクチン・反マスク団体が北海道庁や札幌市役所に押しかけた際にこの居酒屋でオフ会が開かれ参加した反ワクチン・反マスク団体の人だけでなく、女将までもが発熱する事態に陥りました。それでも、この当時は多くの飲食店が自治体からの時短要請で苦戦している一方で反ワクや反マスク派の客で連日満席になるほど大繁盛していました。

その一方で路線変更に対して快く思っていなかったかつての常連客は離れてしまったどころか公衆衛生に対する意識を持っている人たちもこの居酒屋に行くのを敬遠するようになったとみられます。それでも、女将はそんなことはお構いなしに彼らをコロナ脳と揶揄したりと昔からのお客さんを大切にしていない印象でした。

しかし、この状態は長く続かず、2023年に新型コロナが5類扱いとなりマスク着用が自由になってからは一変し、2023年10月末ごろになんとこの居酒屋に来る客がいない日が連続するほど閑古鳥が鳴き、昼間別のところでバイトしなければならないぐらい経営不振に陥りました。というのも、この頃になると病院などの一部の施設を除いてマスクを着用しなくてもお咎めなしで入れたりと2020年以降この居酒屋の売りであった「ノーマスク憩いの場」も意味をなさなくなったとみられます。

それなのに店の入り口には「マスク着用での入店はかたくお断り申し上げます」と掲示するなどあくまで入店の際にはノーマスクを強制する姿勢を貫いていました。確かにマスクを着用するかしないかは個人の自由だし、お店のルールで強制するのはよろしくないと思うが、感染防止の観点からこれまでマスク着用を求めていただけに過ぎなかったと思います。とはいえ、感染対策を放棄しているうえに『楽食』のポスターをはじめとした反ワクチン・反マスクを主張する張り紙を店のあちらこちらに貼っていることから店子たなこたちからこの居酒屋に対して苦情があったとみられます。

結局のところ、複数の要因が重なって閉店を決断したとみられます。ただ、本人は閉店の理由を客の減少に加えて、価格高騰や高齢などを挙げているが、自分は既存客を切り捨ててまでノーマスクの方針へ舵を切り、それにこだわったが故の結果だと思います。確かに感染対策が求められた当時はこういった飲食店は反マスクや陰謀論者の間で重宝されていたが、今となってはどこの飲食店でもマスク着用は自由となっています。

そうなると味で勝負するしかないわけだが、この店の名物である一本釣り天然ものホッケフライも実は養殖サイトから仕入れであったりとメニューに偽りがあるだけでなく、刺身などの魚介類が売りなのにザンギやクリームシチューなどといった魚介類と関係のないメニューがあったりと大衆食堂っぽい感じが否めないと思います。

とはいえ、アットホームな場所だったということもあり、夫婦が親身になって話してくれるといった理由でこの居酒屋の常連客になった人もいたりと結局のところ、人柄がこの居酒屋の売りだったと思います。したがって、この居酒屋は「食事とおしゃべりを楽しむところ」というコンセプトを持っており、このことは「黙食」と相容れないものだったと推測されます。

そのため、「食事とおしゃべりを楽しむところ」にいち早く戻そうとこれまでの常連客を犠牲にしてまで新型コロナ否認主義に沿った方針に転換したといえます。とはいえ、常連客を大切にしなかったことが閉店に至った最大の要因だったといえます。


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