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天ぷら大好き

天ぷらが好きです。サクッと揚がった衣を齧ると、絶妙な火の通り具合の中身の旨味が口に広がるあの感じ。まだ昼前なのに食べたくなってきましたね。

天ぷらが好きなのは、親譲りかもしれません。実家の母が揚げ物好きで、胆嚢を手術で摘出したあとも、喜々として「ほとんど胆嚢が機能してなかった時も食べられたから、無くても大丈夫」と、揚げ物を食べていますからね。

天ぷら屋さんで、順に揚げたてを持ってきてもらうのが、一番好きな食べ方かな。自分で揚げると、揚げたてより時間がたってしまうのと、揚げる油に酔ってしまうので、そんなに食べられないのです。

昔の方のエッセイを読むと、「この野菜は、魚の後に揚げたろう?匂いが移っている」とクレームをつける話があったりして、お客様の舌が肥えていたから、職人さんも頑張ったのだろうな、と思います。

若い料理人さんは、昔風の修業を嫌い、専門学校を出て就職するという感覚だそうです。そこで更なる技を会得して、自分の店を持つという希望のある人の方が少なくなっているとか。就職先なら、安定志向でしょうね。自分で店を出すリスクは、負いたくないということでしょうか。

他所に負けない自分の味を磨いた職人さんがいたからこそ、美味しいものを食べることができたのですが、これからどうなるのでしょうか。美味しいものを作る調理という仕事は、自分の腕で勝負の世界です。厳しいけれど、やりがいのある仕事です。先人はそうやってきたのです。

お惣菜屋さんの濡れた外套のようなべっとりとした衣を、当たり前だと思っていますか。うどんのチェーン店の天ぷらも似たり寄ったりですね。まだ、職人気質のある蕎麦屋さんの天ぷらや、本家の天ぷら屋さんのものとは、似て非なるものですよ。

コロナ渦中で、学校が休校だったころ、鎌倉の美味しい天ぷら屋さんに行きました。天ぷらが美味しかったのは、言うまでもありません。学校が休みだからと手伝わされていたのか、小学校高学年か中学生の男の子が配膳をしてくれていました。「このお店の息子さんかな、息子だったら厳しい指導も耐えて、いい跡取りに育つかも」なんて考えてほっこりしました。美味しいものは、長く続いて欲しいものですから。

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