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記憶と食べ物と

姉から礼状が届きました。バレンタインにチョコレートを作って送ったからです。

葉書にびっくり。昔、姉に頼まれて買った「星の王子様」のもの。当時、地域限定販売だったようで、いくつかまとめて送った記憶があります。(私の分は、もったいなくて、保存中)まだ、持っていたのと、私が大好きな話なのを覚えていてくれたのに、驚いたのです。Σ(・□・;)

姉の手紙によると、チョコレートに同封した葉書に、固まってしまったとのこと。昔の建物の絵のついた葉書で、切って折ると、立体的になるものでした。姉が上京した折に、東京ミッドタウンで見つけて買ったのと同じものだったのだそうです。立体のオブジェにして、一年位飾っておく位氣に入っていたものだそうです。「なんで、これを!!」と向こうも驚いたわけです。

兄弟姉妹は、成長期を一緒に子供目線で様々な体験をしているから、相手の好みがわかるのかしら。もう、離れて暮らした年月の方が長いのに、不思議ですね。

ホワイトチョコを食べると、姉の好物だったなと思い出し、シャコエビを食べると、二人で食べた後に、しっぽを指に挿して遊んだな、とか色々思い出すわけです。二人とも元氣ですし、両親も健在ですからから、そんなにしんみりはしませんが。

「クマのプーさん」の作者であるA.A.ミルンは、郷愁的に食事をする人だったそうです。子供時代に兄のケンと食べたものを好み、当時を思い返しながら、静かに食事をしていたとか。ミルンは三人兄弟の末っ子でした。真ん中の兄が、兄弟でもあり、最大の遊び相手だったのです。ウマがあったのでしょうね。

ごく普通の食べ物でも、思い出が加わると、掛替えのない味になります。楽しい時間を、悲しい時間を記憶にとどめる味に。その味で、昔の情景が思い描けるような食べ物になります。

一人でTVやパソコンに向かいながら食べたものを、覚えていますか。味も、噛み応えも、よほどまずいか、固くとかいう以外は、覚えてはいないと思います。ひょっとしたら、何を食べたかも思い出せないかもしれません。

一人で食べる時も、皆で食卓を囲む時も食事をして欲しいと思います。体も心も満たす食べ物を、味わって食べる時間をつくるのです。栄養価やカロリーだけを考えて、他の作業をしながら食べるのは、エサです。食事ではありません。

エサは心の栄養にも、思い出にもつながりません。日々の食事や、毎日の暮らしを大切にすることが、自分と家族を大切にすることになります。贅沢なものを食べたりすることでは、ないのです。ごく普通の食事でも、家族と会話を楽しんだりすることが、思い出につながるのです。一人なら、ちょっとでも時間をかけて、食事だけの時間を作りましょう。


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