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サンライズ瀬戸に乗ってみた(B寝台個室ソロ)- 四国旅行2021 #0

突然寝台特急に乗りたくなったので、サンライズ瀬戸に乗ってみた。計画から実行まで一週間の驚異のスピード感。

「サンライズ瀬戸・出雲」は、今でも定期運行されている唯一の寝台特急である。

新幹線の開通や、格安の夜行バスが誕生するにつれ、寝台特急はその需要が減り、次々廃止されていった。また、コロナ禍で夜行快速のムーンライトながらも廃止されてしまい、定期運行される夜行列車はほとんどなくなってしまった。
かつての寝台特急カシオペアなども、今ではツアー専用の臨時列車が運行されるのみになっている。時代が進むにつれ、交通機関としての鉄道の在り方は変わってきたのだろう。

というわけで、生き残りの寝台特急に乗ってみたレポ。

サンライズには瀬戸と出雲があり、瀬戸は香川県の高松駅、出雲は島根県の出雲市駅まで運行する。東京から岡山までは2つの編成がくっついた形で運行され、岡山駅で切り離しが行われる。

今回は四国旅行が目的なので瀬戸を利用。大学があったので、東京ではなく横浜からのスタートとなる。こうやって何か用事を済ませた後に乗り、翌朝には目的地に到着できるのが寝台列車の良いところ。しかもしっかり寝ることができる。

小田原行、平塚行…の次に突然高松行が来るのが面白い

東海道本線のホームから乗車する。22:10発で、高松に到着するのは翌日07:27。

285系 SUNRISE EXPRESS

通勤列車が行き交う中、明らかに雰囲気の違う特急列車が静かに入線する。平日だったことと、横浜という中途半端な乗車駅だったこともあり、ホームには人はあまりいなかった。

ワクワクの高松行

乗車してまずすることはシャワーカードの確保なのだが、今回は横浜乗車だったこともあってか売り切れてしまっていた。

列車は当然ながら利用できる水の量が限られているため、あらかじめカードは販売枚数が決まっている。
気を取り直して個室へ。

通路の左右に個室がずらっと並んでいる。どちらを選ぶかによって山が見えるか海が見えるかが変わってくる。下り線なら進行方向向かって左側が海となる。
流石に空きが目立つが、利用されている部屋もきちんとあり、平日でもきちんと利用者がいるんだなあという感覚。

個室には暗証番号でロックできるドアがついていて、防犯面も安心。ソーシャルディスタンスもバッチリ。

サンライズの乗車券は6種類あるが、今回は寝台の中で最も安いB寝台個室ソロを利用した。

値段順に記載
サンライズツインの一人当たり料金はシングルと同じ
シングルツインは2人で利用するとシングルより僅かに安い

シングルとソロはどちらも一人用の部屋だが、ソロの車両には床下にモーターがあるため、シングルより狭く、ちょっとうるさかったり。

ちなみにノビノビ座席は絨毯敷きの寝台料金がかからない指定席である。フェリーの雑魚寝できる2等室のような感じ。サンライズに乗るならこれが一番安い。

入り口から

サンライズのソロはダブルデッカー(二階建て)ではないが、部屋は上段と下段に分かれている。部屋だけ二階建てで、同じ通路からそれぞれ上下の部屋に入ることができるようになっている。
今回は上段を利用。上段の方がモーターや線路のジョイント音が静かで、下段の方が酔いにくいと言われる。
ソロの客室はパズルのようにうまいこと組み合わさっていて、無駄なくスペースを活かしている感じがある。

狭く急な階段

ソロは流石に一番安いだけあって所々の窮屈さは否めないが、むしろこれが秘密基地感があって良い。

窓にちょっとした小物置きスペースあり
お酒を置いて晩酌する…にはちょっと心許ないかも

ベッドはそれなりの広さ。私は平均より小柄なのもあって、全く問題なく休むことができた。
ちなみに、車内放送は奥のスピーカーから流れる。ラジオのような感じで、これもまた寝台の特別感がある。

枕元のスイッチ類

各種照明は枕元のスイッチで操作できる。さながら走るホテルのような感じ。ラジオサービスは残念ながら終了していて聞くことはできない。
写真には撮らなかったが、空調の調整も可能。

試しに電気を消してみると夜景がよく見える。通常の電車では、車内が消灯されることはないから、ガラスの猛反射で夜景はイマイチ見にくいことが多いが、寝台特急は消灯できるから存分に楽しむことができる。

車両にはデッキがあり、寝るまではここでゆったり食事をしたり、晩酌したりできる。

触れて開けるタイプのドア
寝台特急ならではの注意書き

都市を抜けて、街灯の少ない場所を走っていると、星空が見えてくる。
上段だと窓が天井の方まで伸びているから、横になれば空が見えるのだった。

寝る

街灯が眩しくて眠れない場合はカーテンを下ろせば遮光できる。
多少は揺れるものの、設計がやはり寝台車だから通常の列車より遥かに乗り心地は良い。むしろ揺れが心地よく眠気を誘うのも、これまた寝台特急ならでは。
一晩中景色を眺めていたい気持ちもあったが、翌日から3日間にわたる四国旅行が始まるから、きちんと寝ておくことにした。


目を覚ますと見慣れないオレンジ色の列車が横にいた。

キハ40?

場所はすでに岡山。駅メモというゲームをやっていたため、ギリギリ岐阜付近までは起きていたのだが、関西を通り過ぎる頃にはもう意識はなかった。
ここで出雲と切り離しを行い、瀬戸は瀬戸大橋を通って四国に上陸する。

おはよう中国・四国
色づく朝焼け
瀬戸大橋を渡る
サンライズ
ようこそ四国へ
車窓から望む飯野山

本四備讃線から予讃線に入り、終点の高松駅まであと少し。

横浜から高松まで776kmほど

列車は定刻通りに高松駅に到着した。目覚めは良好。岐阜まで耐えたせいで若干睡眠不足感は否めないが、寝心地は非常に良かった。


実は寝台列車より新幹線+在来線特急を使った方が安く目的地に到着できる。確かに需要が低下するのも仕方がない感覚もある。
もともと「夜に運行することで、比較的廉価に早く目的地に移動する」という利点あって運行されていた寝台特急は、高速交通の発展・廉価化により日本が狭くなった今の時代、その使命を終えたと言っても過言ではないだろう。
しかしながら、そんな時代に、こうして一晩使ってゆっくり移動する特別さが寝台特急にはある。加えて、夜発で朝に到着し、疲れ少なくそのまま行動できるのは、実は結構便利だったりするのだ。夜行バスじゃ横にはなれないし。

サンライズは他のツアー専用寝台列車などよりはるかにリーズナブルで、大学生でも手が届くほど。私としては、ずっと残っていて欲しいものだが、すでに現在走っている車両も製造から20年が経っており、更新されるかどうかは定かではない。

次回は四国観光編その1。初日から高知を目指しますのよ


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