読書感想「海峡」伊集院静
───少年にとって、父はそびえる山だった。母は豊かな海だった。
土木工事や飲食店、旅館などで働く50人余りの人々が大家族のように寄り添って暮らす「高木の家」。その家長の長男として生まれた英雄は、かけがえのない人との出会いと別れを通して、幼い心に生きる喜びと悲しみを刻んでゆく。瀬戸内海の小さな港町で過ごした著者の懐かしい幼少時代を抒情豊かに描いた自伝的長編小説。
「海峡」「春雷」「岬へ」と続く3部作の第1部───
大人になるにつれて、時間がたつのが早く感じるという話をよく聞き