小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」読書感想
初版 2011年7月 文春文庫
少年がデパートの屋上に取り残された象に心を寄せるところから始まります。その象インディラは、子象の時に屋上遊園地に見世物として運び込まれ、大きくなったら屋上から降ろせなくなって、そのまま屋上で孤独に生涯を閉じました。
インディラの錆びた足輪の記念碑と、おそらく長年そこにいた事でできた窪みの水溜りに心を寄せて、少年は想像のなかでインディラを友達にしています。
また、自宅と隣の家の細すぎる隙間に、挟まったまま誰にも気づかれず死んでいった・・・かもし