映画「ルックバック」の感想

藤本タツキ先生原作の「ルックバック」を映画館に見に行きました。もともと原作が大好きなので、映画化がとてもうれしい反面、漫画の良さがなくなっていないかという不安も抱えてみてきましたので、感想を書きます。
結論としては、とっても良かったです!

~あらすじ~
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられる…。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が…。胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる

まず大前提として、絵がとてもきれいでした!
藤本先生の絵のタッチがそのまま動いている感じがありました。チェンソーマンのアニメも大好きだったんですが、私には絵柄とか線の入り方がアニメ使用に変更されているように見えていたのですが、今回の映画は漫画に色がついて動いている!というような印象を受けました。

声優さんも私の脳内イメージと相違がなく、すごく腑に落ちた感じがありました。藤野の声が高くて女の子らしい感じとか、京本のおぼつかない、なまった発音とか。
繊細な音楽がとてもよかったです。ルックバックという作品に限らずですが音楽によって感動が助長されるような、心震える~!という感覚がより引き立って感じました。
とにかく映画館で見れてよかった!という気持ちになりましたね。

物語の中身について。
何かを一生懸命頑張る、努力する、夢中になるっていう経験をした人には刺さるものが絶対ある、と思うんです。絵がうまくなりたい、書けるようになりたい、漫画が描きたい。そういう気持ちを「気持ち」としておいておかずに、努力できることってかっこいいです。
綺麗な音楽と一緒に流れる、藤野が絵を描くことに努力を重ねているシーンや、藤野と京本が漫画を始めて描くシーン。すごいまぶしくて、かっこよくて好きなシーンです。

私がこの物語がすごく好きな理由の1つが、藤野の心理描写がリアルかつ鮮明に見えることなんです。例えば、藤野が漫画が小学4年生で京本という自分より絵の上手い不登校の子の存在を知ったあとの「4年生で私より絵がうまいやつがいるなんて絶対に許せない!」というセリフ、わかる~!ってなります。小学校という狭い空間の中で、私が一番○○だ!という自信(しかもなぜか上級生は自分を比較する対象にはならない)が崩れる瞬間ってあると思うんです。私はありました。今まで築いたアイデンティティの崩壊が表現されるのリアルだなと思います。
6年生になって藤野が京本の画力と自分の画力を見て、絵をあきらめるシーン。別に1番じゃないといけないわけじゃないけど、自分より上手な人がいるとやる気をなくしちゃう感覚っていうのが共感できます。

というか、藤野の不器用でかわいくないようでかわいいキャラクターも好きです。田んぼ道で全力スキップしたりダッシュしたりするの、周りにはあんなに大人ぶった態度をとっている。その不器用さが、かわいいです。

藤野が京本というかけがえのない友達(?親友?アシスタント?戦友?)と出会い、別れ、そして次に踏み出すというストーリーが、本当に本当に美しいなと思います。見ているほうもなんだか前に進もうと思えるような。
原作から大きな改変もなく、そのままに映画化されていることが本当にうれしかったです。





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