猫カフェに行って元気になった話


今日、私は会社を休んだ。

仕事でうまくいかないことが続いている。

不器用で臆病な新入りの私と、教えるのが雑かつ言葉がきつい職場の先輩の相性は最悪で、とにかくずっと落ち込む事ばかりだった。


今日ついに心が限界を迎え、会社に行かないことにした。

心の底から仕事したくない、と思ったのは何回もあるが、仮病で休んだのは久しぶりだ。


午前中はずっと布団にくるまって死んだ目でパズルゲームをしていたのだが、どんどん仕事をさぼったことへの自己嫌悪がこみあげてきて、「このままだと私の精神が荒廃する」と思い、思い切って外に出ることにした。


しかし一体どこへ行こう。今の精神状態で狭いワンルームに一人でいるのは気が狂いそうだったので、とにかく別の生き物のぬくもりを感じたい。

しかし知り合いの人間達はみんなこの時間勉学や労働に勤しんでいるので会えない。そうだ、猫だ。猫カフェに行こう。


今までずっと気になっていた、要町にある猫カフェに行くいい機会だ。猫をひたすら触って、精神を落ち着けよう。


14時半。目的地の猫カフェがオープンする時間に合わせて玄関から飛び出た。すでに日が傾いていて、もの悲しい気持ちになる。もう一日が終わるのがこんなに早くなったのか。

池袋駅から10分ほどで、要町の猫カフェにたどり着いた。

味のある古民家風の佇まいで、2階入り口の細い階段を上がると、実家にあるようなガラスドアがあった。


ドアを開けるとそこは楽園があった。猫ちゃん達の。

猫圧でどうにかなるかと思うくらい、沢山の猫に囲まれた。

今まで何軒もの猫カフェを訪れたが、ここが一番猫が人懐っこいと思った。撫でてほしいのか、頭突きをしてきたり私の膝に座ってきたり、警戒心を微塵も感じさせない子たちしか居ない。

猫じゃらしを一振りしただけで、何匹もの猫が一気に反応して飛びついてくる。中にはお気に入りのおもちゃを咥えて、遊んでといわんばかりに私の目の前に置いてくる子もいた。なんて愛らしいんだ。

猫カフェの店員さんが、メンバー猫の話を沢山してくれた。

この子は暗い部屋でずっと過ごしていた、あの子はボロボロの野良猫だった、その子は親子でコインロッカーに捨てられていた…。その場にいる子たちは例外なく、皆人の愛に飢えていた。

店員さんの飼い猫(スタッフ猫と呼んでいるらしい)を除いて、みんないずれも里親を募集していた。

話を聞いて、「将来絶対にここの保護猫カフェで猫を引き取りたい」と思った。気づいたら私は猫をひたすら触りながら、将来猫を飼うぞ!という気持ちでいっぱいになっていた。


朝からずっと私の頭を支配していた職場での悩みは、いつの間にか消えていた。代わりに頭が猫でいっぱいになった。


久しぶりに明るい将来のことを考えた気がする。

つらかった過去ばかりにとらわれて、先の楽しいことを全く考えられなくなっていた自分の状態異常にようやく気付けたのだった。


保護猫カフェで「いつかここに居る子を引き取りたい」と思ったおかげで、私自身がマイナスの渦から抜け出せた。


つらい状況から脱するのに必要だったのは、猫との素敵な未来を描くことだった。

猫に感謝。いつか絶対迎えに行く。


まずは猫OKのマンションに引越すためにも、明日から仕事をがんばろう。


にゃんきお


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