短編小説#5 ホワイトデーのお返しは毒入りマシュマロでした
リビングのテーブルに置かれていたのは抱えきれないくらい沢山の薔薇の花束と真四角の木箱だった。二つ折りにした手紙も添えてある。それらは夫からのホワイトデーのお返しなのだとすぐに分かった。私は嬉しくなって仕事着のまま手紙を開いた。
『これは毒入りマシュマロです。召し上がってください』
空白に綴られた一行の文章。残酷な一文字が目に入り、頭が真っ白になた。紙袋が手からすり抜け、買ったばかりの花瓶が無残に割れる音がした。 もしかすると私のハートが砕けた音だったかもしれない。私は