出産レポート(長篇)

10/28
出産予定日より5日経過、入院となる。

9:00 来院
入院バッグを受付に預け、病院の玄関で夫と別れる…が、ドクターから説明があるらしく呼び戻す。
しかし電話に出ない夫。かけ続け、5分後に出た。「音切ってたわ~すぐ戻る」

9:30 診察
外来診察室で子宮口の開き具合を確認、相変わらず指1本分。(出産時には全開で10cmまで開く)
夫同席でドクターより陣痛誘発の説明を受ける。
バルーンを挿入し子宮口を開き、陣痛促進剤の点滴で陣痛を誘発するとのこと。早ければお昼には子宮口が開き、バルーンが抜ける。この時点で4cm程の予定。その後は点滴で誘発を続ける。陣痛があっても今日中に産まれないこともあるし、特に初産婦は時間がかかるのでわからないと。
「じゃあこれから処置しますね」
って、え?まだ入院していないのに外来でバルーン入れるんかい!
夫はここで帰される。
処置はめちゃくちゃ痛かったが、想像よりは痛くなかったような。というか何をされているかいつ終わるか全くわからない恐怖感が強かった。

10:00 入院
処置が終わり病室へ案内される。
出産着に着替え、ベッドで胎児の心拍と子宮収縮を測るモニター(NST)を腹部に付けられる。
陣痛促進剤の点滴も入れられる。バルーンを入れたおまたに違和感。重い痛みもある。

10:30 陣痛
5分間隔で下腹部が痛くなってきたので陣痛の間隔を記録するアプリをやってみる。
でもまだこれくらいなら、切迫の頃の強い痛みと同じくらい。

12:00 昼食
超豪華なご馳走をいただく。入院食が魅力的なのがこの産院の特徴で、わたしが楽しみにしていたものだ。
食事中も痛いけど、こんなにおいしいごはんがあるならがんばれる…量は多かったが完食!

12:50 休憩
アマプラで映画でも観る。
ごはんおいしかったなーという余韻に浸っていたのも束の間…

13:00 診察
ドクターと助産師さんが病室へ来た。バルーン抜去、内診。
子宮口は4cm。外来でのドクターの内診刺激はいつもそれ程痛くなかったのに今回は子宮口を広げられてめちゃくちゃ痛かった。思わず、痛い痛い!と騒いで助産師さんの手を掴む。超冷え性の方で「手、冷たっ」と笑ってしまった。
それにしてもこんなに痛め付けられるとは思わず驚き、放心…
冷や汗ぐっしょり。その後ずっとおなかは痛いし、足腰が砕け散るかと思うくらい下半身が痛い。

だんだんと間隔が短く、痛みが酷くなる陣痛でもはや映画鑑賞どころではない。

14:30 診察
痛みに耐えていると再びドクターの内診。痛すぎる…
子宮口5cm。あまり進まない。子宮の出口を柔らかくする筋肉注射を腕に打たれる。

2分半間隔の痛みが1分持続する。
痛みの波が来たら、唸りながら楽な体勢を求め動くがどれも痛みを逃がせられない。
痛みは、腹部より腰~おしりの奥に強く感じる。下痢を我慢している痛みに似ている。

15:00 おやつ
おやつとホットティーが出た。
「食べられるときはちゃんとカロリーを摂ってね、良い陣痛に繋がるよ」と云われる。
痛みの波の合間に慌てて食べるが、おいしいはずなのに何が何だか味がわからない。

16:00
2分間隔の陣痛。痛みのピークが始まる。
常に痛むので耐えられなくなってきた。
あまりに騒ぐので再び内診。胎児は降りてきているが、子宮口の開きは6cmと進まない…
しかしここで陣痛促進剤の点滴は落としきったのでまた明日挑戦と告げられる。
ドクターには「もしこれが自然陣痛に繋がればあるいは今日の夜とかに産まれることもあるけど…」「初産婦は促進剤使って24時間後に出産ってこともあるからね」と云われ、今日のところは終了。
こんなに…痛みに耐えたのに……と心が砕けた音がした。足腰ももう痛みで砕け散っている。
助産師さんに「点滴のお薬なくなったらだんだん痛みがひいてくるかもね。でも今日は必要なことだったから、よくがんばったね」と励まされる…

17:00
陣痛の間隔も痛みは変わらず。途中間隔が遠退いたりしたけどその分なんだか痛みが増してきたり。もう何も考えられず、意識が朦朧としてくる。

18:00 夕食
豪華なご馳走!食べたい…でもまず椅子に移動するのも大変。なんとか座れたが痛みが酷く、波の合間に食べようとするが食べ進められない。悔しい。食事中も痛みでのたうちまわり、座り続けるのが難しく半分残してしまった…

19:00
痛みのピークの中にいる。
自暴自棄になり、痛みに耐える意味もわからず「もういやだ」「やめたい」「しにたい」とネガティブ発言を繰り返し泣き喚く。
助産師さんに「痛みに耐えられない、もう無理、帝王切開で取り出してほしい」と懇願するが「赤ちゃん元気だと適応にならないの、帝王切開も簡単にはできないから…がんばって」と優しく励まされる。

記録する余裕がなかったので記憶が曖昧だが確かこのあたりで、子宮の出口を柔らかくする筋肉注射をもう一度打たれた。

19:40 破水?
内診からずっと出血が続いていたのでわからなかったが、助産師さんの内診で破水しているかもと云われる。
「頭もうすぐそこ!破水してると開きやすくなって一気に進むこともあるよ!がんばっていきみ逃して!」と励まされるがもう全然がんばれないわたしは唸るだけ…

ずっと下痢が出そうな痛みだったが「便じゃなくて赤ちゃんの頭が降りて来てるからね。いきむと出口が浮腫んじゃうから、がんばっていきまないようにしてね」と云われていたが破水をしたあたりから?、身体が勝手にいきんでしまうようになった。
2分間隔で勝手に身体は強張り、尿も勝手に漏れるが、いきむと楽なんだ…と気付く。いや、あくまで勝手に、いきんでしまうから仕方ないのだ。
助産師さんには「無理ない程度に我慢して、なってしまうのは仕方ないから…けどめっちゃいきむやん!」と笑われてしまった。

20:00
ドクターが夫に状況説明の電話をかけた。でも先生が最後に診たのって夕方だし…助産師さんが破水したと報告しても「う~ん」と云っていたらしいし、なんと説明したか気になった。
が、実際は痛みが強すぎて何もかもどうでも良かった…

20:30 内診
「破水したから進んだかもね」と助産師さんの内診。
内診中はいきんで良いと云われ、痛みの波に合わせていきむ。広げられているのがわかる、めちゃくちゃ痛い。
「すごい!これ赤ちゃんの頭、触ってるのわかる?進んでる進んでる、そろそろ全開!もういけるか?いけるね、あと少しがんばろうか。ご主人呼んでくれる?」
となんだか急展開。
もう少しってことは…もういきんで良いのか?と身体が勝手にいきむ力を利用して痛みに耐える。

21:15 分娩
分娩室へ。久しぶりに歩いたが、足腰が痛すぎて一歩一歩がつらい。
分娩台に乗り、助産師さんが管で尿を抜いてくれた。それからいきみ方を教わる。
合図で何度かいきむと「上手上手!パパ間に合うかな?」と、褒めてくれた。
もう間に合わなくて良いからわたしはさっさと産んでこの痛みから解放されたいよ…と痛みの波に合わせていきみ続ける。
いきんでいるとやっぱり楽だ、今までずっと痛みを逃がせられず我慢して泣き喚いていただけだもんな…

21:30
夫、到着。泣きそうな顔をしながら、わたしの頭を撫でまわす。わたしはとにかく痛みの波が来る度いきみ続ける。夫と助産師さん達から「がんばれがんばれ!」と声援を受ける。

21:41 出産
あとどれくらいいきむのだろうか…おまたに違和感が出てきたけどこれはちゃんと降りて来ているのだろうか…赤ちゃんは苦しくないだろうか…とぼんやり考えながら必死にいきんでいると、助産師さんに「合図でバーから手を離して胸に置いて、その後しっかり息を吐きながらいきんでね!」と云われる。うーんよくわからんと思っていると、おまたに何か挟まった感覚がはっきりとわかった。
「ほら!頭出て来たよ!見て!」と声をかけられ下を見ると確かに頭が…!?そして合図を出される。
ずるっ!と身体まで出て来た。身体から一気に力が抜け、おお…ほんとに居たのか……となんだか変なことを思った。夫はずっと涙目で興奮している。


「へその緒は誰が切る?」と、産まれた赤ちゃんを泣かせながら助産師さんに聞かれる。わたしはもうくたくたで力が入らないし「やってみて」と夫を促す。ビビりながらへその緒を切る夫。

そして赤ちゃんを胸に抱かせてもらい、ご対面。
なんか全身青いな…と云うと首にへその緒を巻いていたからだそうな。安定期頃からずっと取れなくて、出産のとき心配だったけど問題なかったようだ。(3人に1人は巻いて産まれてくるらしい、しかしその内危険な状態で緊急帝王切開になるのはたったの4%)
あとから夫に聞いたが、実はあの助産師さんの最後の合図のとき、首に巻かれたへその緒を引っ張って外したらしい。そのときわたしは「いたたた!」と云ったらしいが記憶にない…

産まれたばかりの我が子はあまり泣かない。目もすぐに開いて、あたりをキョロキョロしている。
再び赤ちゃんを助産師さんに受け渡し、体重測定や色々な記録を取ってくれている間、わたしは夜勤の見知らぬドクターに胎盤を出されたりおまたを縫われたりした。
陣痛が痛すぎたので、麻酔をしておまたを縫われるくらい今更なんともない…

助産師さんが「パパ間に合ってよかったね~」と云うと夫が「先生が電話で『今日の点滴は終わったけど子宮がなかなか開かないので、もしお産になったとしてもあと6時間くらいはかかる見込みです。夜中になるので今のうちにお風呂入ったり仮眠取ると良いですよ。』って云われてたからさっき連絡入ったときは慌てて飛び出て来ました!」って、確かにその電話からわずか40分後に「産まれるかも、病院来て」とわたしから連絡が入ってさぞ驚いただろう。

翌朝、担当ドクターが「おめでとうございます!昨夜ごめんね、ご主人さんにまだ6時間はかかるなんて云っちゃって‥まさかあんなに早く進むとは…」とばつが悪そうに挨拶に来てくれて笑っちゃった。お産に何があるか、やっぱりドクターにもわからないんだね。

そんなこんなで母子共に無事に出産を終えた。
長かったようで早かった妊婦生活、これからは腹の外で育てていく。
つわりから始まり、副鼻腔炎、切迫早産…と調子の良い日は数える程もなかったつらい生活だったが、よくがんばった。

『妊娠~出産で一番つらかったことは?』という質問をツイッターのタグで見かけたことがあるが、わたしは断トツ【陣痛】だな。
予定日までずっと吐いていたしつわりもつらかったが、陣痛の痛みが酷すぎた。
元々2人目は予定にないけど、つわりのときも切迫のときも「2人目は無理」と云っていたが陣痛を経験し、いやまじで絶対に無理だなと改めて確信した。
※個人差はあると思うのであくまでわたしの感想です


ひたすら痛いだけの出産エピソード、ご清覧ありがとうございました。


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