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一口エッセイ:人生の攻略法「良いヤツ化」と薄い生き方の罪
人生の攻略法の一つとして、「良いヤツとして生きる」があると思う。ここで言う「良いヤツ」とは、他者の悪口なども言わず、正直な発言をこころがけ、噂話も避ける。後は、約束を守るとかですかね。これだけでも、「話し易いヤツ」として認識され、一定のポジションができるのではないか。
秘すれば花、沈黙は金。口が硬いだけでも立派な価値がある。余計なことを言わないのは美徳で、とは言え、ハメを外すべき場面でおとなしいのは「つまらない」と思われる。それでも黙っているくらいの方が、確実に信頼はされるでしょう。が、「つまらなんヤツ」とも思われているのだから、やはり友情や仕事にも弊害がある。刺激が薄い分、他人から激しく好かれることも少ない筈。それでも、その口の硬さへの信頼から、「良いヤツ」としての需要を求めた一部の人間から可愛がられる立ち位置に。
「良いヤツ」であるのだから、責められることも少ない。グイグイいかないので頼りにされることも少ないかもですが、それくらい穏やかな方が性に合う人間もいる。社会に疲れて自分のポジションに悩んだら、ぐっと力を抜いて、「友達に一人は居る根が良いヤツ」を目指すのはいかがでしょう?
とはいえ、それは自衛手段であり、一時の箸休めであるべき。『キッズ・リターン』の登場人物に、極めて自己主張の薄い男が出てくるのですが、死にました。北野武の感性からすれば、本性を隠して欲を捨てて謙虚に生きる"フリ"をする、自我のない人生も「罪」なのです。生きるためのバランスは難しい。ただ、生き方に迷った際の方向性に、しばらく「良いヤツ化」する選択肢もあるよとは思う。
毎日のエッセイをまとめた同人誌をboothにて販売中。僕の駄文が、読者の人生のなんらかの役に立てれば幸いです。
若い頃の文章をまとめた、商業エッセイ集もよろしくお願いします。欲望塗れの罪な人生でした。
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