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一口エッセイ:毎日少しずつかわいくなれば、あらゆることが解決していく

 アー写を撮ってもらいました。アーティスト写真。これから何かのメディアに載る際に使用する写真です。

 自分で好みのスタジオを探し、カメラマンは以前に自著でインタビューを行ったるとんさんに依頼しました。こういう形で再び会うことになるとは。人と人の縁とは不思議なものですね。
 さて、何故このタイミングかと言いますと、単に誕生日が近かったからです。せっかくなので、誕生日付近に「なにこれ?」となる写真を貼りたいなーって理由。もちろん宣材としても今後利用させてもらいますけど。そして、20代の自分の姿をきちんと残しておこうと思ったから。


 結果的には大満足。プロのカメラマンはすごい。照明の当たり方から被写体のポーズまで、撮影時間内でありとあらゆる試行錯誤を行う。撮影は数だ。とにかくたくさん撮って、その人が最も素敵に見える瞬間を探りだす。例えば僕の場合、るとんさん曰く「鼻の形がいいのでそれを見せるようちょっと横から撮ると良い感じです」と撮影途中に発見した。自分の鼻の形が良いなんて考えたこともなかったため、そんな写真映えする方法があったのかと感動……。いつも自分で撮る時は正面だし。出来上がった写真に「これが……あたし!?」とビックリ。軽く目元にメイクをしてもらったことも相まり、見たことない自分の姿にただただ感動。

 ここ数年は、特にファッションへ力を入れました。眉とか髪型とか。洋服や靴もいっぱい買った。楽しいから……。単純に身なりを整えることに何の損もないし。何故そういった意識が生まれたかですが、これは完全に超てんちゃんのせい!
 数年前、ニディガの企画を立ち上げて以降、毎日毎日超てんちゃん・あめちゃんの発言内容を考え、彼女の感情に質感を持たせる日々。なにか作品や物体を見るたび、自分と超てんちゃんとあめちゃんの3人分の思考を持つようにしました。こんなこと続けてたら気が狂うぜ。そうなると必然的に、「なにが可愛いか/綺麗か」という年頃の女の子らしい評価軸も生まれてくる。
 あとはもう自動操縦で、頭の中の超てんちゃんの声に従い、新宿で仕事があるたび伊勢丹に寄ったり、インスタで好みのファッションを掘ってみたり、今までの自分になかったルーティンが生活に追加される。オシャレのためなら変化も必要だと長年伸ばしてきたロン毛も切った。もはやアイデンティティですらあったけど、脳内に棲む少女に認めてもらうにはそうする他ない。
 最終的に、体型すら気になった。僕は元から平均体重を超えたことがない。しかし、歳が歳なわけですから、運動不足のため食後はお腹が出る。それがもうあり得ないくらい醜く感じたんですね。自分のお腹が年相応にでるくらいのことで大騒ぎ。これはもう自分の中の大きな変化だ。完全に思考が塗り替えられている。トドメはキタニタツヤからの指摘で、二人でご飯を食べていた際、「食べたらお腹でるね〜」と言われて、「やはりそうか……」と確信。今をときめくトップアーティストから「お腹でてる」と指摘してもらったのですから、これは矯正しないと人間が腐ってしまう。そして、その頃の僕には別の問題もあった。
 実は、僕がゲームを製作したストレスでうつ病と診断されたことが、中国のSNSでニュースとなったんです。中国人は僕のことが好きすぎる(ありがたい)。僕の発言を中国のファンやゲームメディアが翻訳し、向こうのSNSで記事になったりする。「超てんちゃんの作者がこう言っているぞ!」と。すごい領域に突入してしまったな。見てくれてありがとね。


 で、まぁ好きなゲームの作者が精神を病んでいるのだから、みんな素直に心配してくれるわけです。もちろん批判的なコメントもある。となると、もう改善しないと示しがつかない。食生活と運動を見直そう。蔵馬だって、適度な睡眠と食事と運動だけでトレーニングさせた。それがこの世界の全てでしかない。



 という理由で『あすけん』を導入。数ヶ月、健康的な食事と運動を試してみた結果、痩せぎすな体型がさらに絞られた。あと筋肉がつき始めた。睡眠は改善できなかったけれど、顔つきは少し良くなったと思う。これには頭の中の超てんちゃんもニッコリ。いろんなことが絶妙に噛み合った。
 なので、いろんな要因があって、僕は20代終盤となって人生で最もスタイルが小綺麗になりました。じゃあ……記念に撮るだろ、その瞬間に僕が存在した証、アーティスト写真! と言った葛藤や経緯があったのです。ありがとうございます。こうして僕はまた一つ歳をとりました。毎日少しずつかわいくなれば、あらゆることが解決していく。そう信じて生きていきます。


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