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一口エッセイ:喫茶店でのあれこれ

 毎日のルーティン(人の多い土日を除く)が、中野ブロードウェイ散歩→喫茶店で読書なので、週に3〜5回は喫茶店へ通っています。
 喫茶店は、大勢の「他人」が集まって同じ時間を過ごす特異な場所です。今回は、そんな喫茶店にまつわる小話をするぜ。
 今日も米青ネ申禾斗の帰りに喫茶店へ寄り、プロデューサーがオススメした『遊びと人間』なる本を読んでいました。「遊び」の概念について解説している一冊で、とあるゲーム会社は必ず社員に読ませるらしい。冒頭で「遊びとは社会と正反対の行為であり〜」のような文章が飛び出し、遊ぶたびに「これは社会と正反対の行為だ」と意識する人生いやだなと思ったりした。

 その時、目の前の男性のスマホが鳴り出し、なんとスピーカーを通して大声で話し始めた。それだけならともかく、「女の子の管理が〜」と言い争いをしているので、どう考えても「夜」の話であるのが丸わかり。
 別にイヤホンするのでどうでもいいのですが、喫茶店のど真ん中で「夜」の話を大声でできる胆力凄いなぁとびっくり。その後に男が退店する際、丁寧に「ご馳走様でした!」と店員に伝えていたので、これは体育会系の教えなんだろうなぁと感心。たしかに最後に「礼儀」を発揮したことで、どうでもよかった男への好悪が若干プラスになったのですから。
 この前は、目の前に男2女1の3名が座り、男性二人が「次はYMOみたいな曲でいこう!」と盛り上がり始めたので、ああこの人たちはバンドか作曲家で、このおじさん二人が曲を演奏するなり提供をし、地下アイドルっぽい派手めな女の子がボーカルなんだなと理解したことがありました。
 おじさん二人がYMO談義に盛り上がり、クラフトワークの名前もちょいちょい出る会話が気になりすぎて、「間に挟まってテクノの話してぇ〜……」と聞く耳立てていると、なんと女の子は会話そっちのけでスマホに夢中なのである。
 いや、おっさんのYMOトークに興味ないのは仕方ないけど、歌うのは(恐らく)自分なんだから真剣に聞かないとダメじゃない!? と思いつつも、無関係なのでもちろん黙って陰でもぞもぞしていた。でも、意外とこれくらいの関係の方が名曲を生み出すのかもしれないですよね。
 その前は、相変わらず一人で本を読んでいたら、隣の男性二人組から「ニディガが〜、にゃるらが〜」と聴こえてきたので、流石に集中して聞いていたら、どうやら業界人っぽいので話しかけてみると、なんと大手アニメ会社の取締役とアニメ監督だったのです。
 しかも、アニメ監督の方は前田地生という方で、僕が好きな女児アニメの監督を担当したり、というかニディガのMVを作ってくれた方でした。もう本当にビックリ。どうやら二人でニディガの感想を語り合いながらのんびりしていたようで、そこにまさかの本人登場である。それから3人でアニメの話をして盛り上がって帰りました。これが仕事に結び付いたら運命ですね。
 『銀と金』では、個性的な街の喫茶店に一日張り付いて会話を聞くことで思わぬ情報を仕入れて儲ける回がありましたが、あれは実際にできると感じる。中野は面白い街だ。喫茶店に入ると、クリエイターなりサブカル人間たちが必ず変な会話を繰り広げている。ネームに悩む漫画家と編集なんて何度見かけたか分からない。
 皆さんも一度くらい、一日中変な街の喫茶店で変な客の会話を聴くだけの体験をしてみてください。これがわりと閃きに繋がることもあるのだから、世の中は不思議でいっぱいなのです。


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