メルト・ニク・ウマシ
口の中で「溶ける」焼肉っていうじゃぁないですか。食べたことありますか?…もちろん一端の大学生がそんな肉食えるわけもなく、焼肉カルビとか、焼肉キングとか、だいたい2980円食べ放題コースが定番だと思うのです。
しかしながら、過酷な長時間労働と引き換えに手にした諭吉じいちゃんの翼、それなりの贅沢はできるようになったので、いい感じのところに行ってみようかと。
以前友人の誕生日に、食べ放題5000円の焼肉に行ったのですが、正直なところ、もっと安い有名チェーンでいいかなぁというのが所感。
粛々と開かれるメニュー表、そそくさと出てきたのは「人気No.1!定番焼肉五種盛」、6,500円。
早速一品目で食べ放題料金を超えてきまして、ウキウキしながら注文。
相見えたのは丁寧に盛られた五種類のお肉。
テーブルの中央には贅沢にも大きな七輪が鎮座し、第一走者の厚切り上タンが赫赫と燃ゆる炭火の紅の上で踊ります。
「厚切り」の言葉に辟易一線、口に入れたその瞬間、初手の咀嚼で肉が二つに断たれるこの快感、流石。
ロースは溢れる肉汁と共に口内で溶解し、ハラミはこれぞ焼肉、深い旨みに目が開く。固いイメージのカルビは臆することなく喉を通り、薄切りの希少部位イチボは贅沢にも一口で頂き、叫ぶ気持ちをグッと堪えて静かに舌鼓を打ちました。
続きまして「炙りトロユッケ」。初めてユッケに手を出したのは昨年12月、魚が苦手な自分にとっては、なんだか刺身っぽくて敬遠していましたが、案外いけるとわかってからは必ず頼む一品。
少し厚切りの噛みごたえのある食感でしたが、個人的には細切れの喉をすっと通るタイプが好きで、前回訪れた「犇屋 豊中店」がまさにそれで値段もほぼ半額だったことを考えると、必ずしも値段の高さが美味しさに結びつくわけではないことを教えてくれました。
もし食べ放題ならこれからアゲていく量でしたが、案外お腹の満足度は大きく、お肉も定番は一通りカバーできたので、ここで鶏ももとミノを投入。
噛みきれない肉は苦手なので、さればホルモンもおしなべなく…と思いつつ、「絶対食べれるから!」と友人の勧めで食べてみると、いける。うまい。
ただやっぱりビジュアルが若干グロテスクなせいで唾液がすーっと引いてしまったんですが、鶏ももはガチうまで炭火のポテンシャルここにありでした。
最後に忘れかけていた薄切りのタンを賞味。ここまできたら大きな感動もないけども、やっぱり深く息を吸って「うまい」と言葉が唇を割いてこぼれます。
賑やかだった店内は静かさを取り戻し、見渡すと自分たちだけが呑気に飲酒タイムに入っていました。ビールは苦手なのでカクテルか梅酒を選ぶのが定石です。
果実酒のカテゴリに目を移し、「おばあちゃんの梅酒」「ゆず酒」をロックで注文。果実酒は水割りだとどうしても味気ない鼻通りになってしまうので、アルコールを感じられるロックが決まりです。
友人は初果実酒とのことで若干緊張していましたが、ゆず酒は気に入ったようですぐにおかわり。(梅酒はまずかったらしい)
閉店が近づく中わがままで居候し、テーブルには酒盃だけが跋扈して、友人は果肉たっぷりのパインアップル酒が大変気に入った様子でした。
二人とも酔いを経験したことがなく、酔えたらいいねと退店まで際限なく飲み語った結果、お勘定の際に店員さんからジュースのように呑みますねと苦笑いを喰らいました。
後日、良い脂のせいでニキビが大量発生したと友人から被害届が来ましたが、ここはご愛嬌。
つい一年前は昼ごはんも食べずに糊口を凌いでいたのに、学生の財布では辟易してしまうお店も友達を連れて楽しむことができるようになったのは大きな一歩かなと。
最終的に、一周回って「安くて美味い店」に行き着くのがオチだと思っていますが、次は叙々苑かなぁ。