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『推しが武道館行ってくれたら死ぬ』が最高であった件

『推しが武道館行ってくれたら死ぬ』を全巻読んでいた。いま1巻無料なので試し読みにおすすめですよ! 岡山県で活動するアイドルグループと、彼女たちを応援するオタクの物語。

岡山っていうのが絶妙でさあ……いいよね……。彼女たちが「岡山って何があるの?」と聞かれて「……ももたろう……?」って答えるシーンめちゃ好き。


NMB48の龍本弥生さん(可愛い)が朝日新聞で紹介していたのをきっかけに、読み返したいな〜と思ったら、ちょうどDMMで電子書籍が安くなってるじゃないですか。買っちゃったよ。

実は1〜3巻あたりは昔読んだことがあったのだが、そこで止まっていたのだ。だがしかしこの漫画、4巻以降もっと面白くなりますね!! ドラマ化アニメ化されるのもよくわかる!! もし私と同じように止まっている人がいたらぜひ4巻以降も読んでほしい。

ぶっちゃけ1巻だけ読むと「最近の『推し』ブームに則った漫画かな」と思ってしまうかもしれないが、いや、そんなことはないのです。いやもちろんそれもあるけど!! あるけどそれ以上に!! 漫画として良いのですよ!!!

1.部活漫画としてのRoad to 武道館

この漫画には二つの軸があり、一つめの軸が「アイドルたちによるroad to 武道館のビルディングスロマン」、そして二つめの軸が「アイドルとオタクそれぞれの関係性萌えエピソード」なんですね。この二つが掛け合わせてあるのがうまいなあ、と思っていて。

一つめのの軸である「アイドルたちによるroad to 武道館のビルディングスロマン」、これ、そのまんまジャパニーズコミックの伝家の宝刀・部活漫画とまったく同じフォーマットなんですよ。

スラムダンクを筆頭として、ハイキューやらテニスの王子様やらちはやふるやら青空エールやら、名作を数々生み出した王道漫画ジャンル、それが「部活」。部活漫画の特徴は何かというと「部活及び主人公が目指すゴールがはっきりしていること」「ゴールを目指す過程で群像劇が描かれること」。要は、みんなで何かを目指して努力しましょ~! というのが部活漫画の基本。

そしてこの縛りがあるからこそ、「そもそも全国を目指す必要ってあるの?」「部活なんて遊びなのに、ここまで全力かける意味ある?」みたいな疑問はつきものになってくる。しかしそこを克服しつつ皆でゴールを目指す、その過程を描くのが部活漫画の醍醐味なのです。

部活漫画の変化球としては、私は『のだめカンタービレ』があると思っていて。『のだめ』も、特に大学生篇までは、オーケストラなりコンクールなりを描くことで、のだめが「私はただ楽しくピアノを弾いていたいだけなのに、なんでコンクールで『上』を目指さなくちゃいけないんでしょう!? 変ですよね!?」みたいなことを言うんですよね。あれ、完全に部活フォーマットなんですよ。だからあの質問に答えるのは、先生=指導者じゃなくて、オケの仲間=黒木くんなんですよ。でも『のだめ』は、部活からプロに物語の舞台を移動させることになる。だから部活フォーマットを抜け出して、ゴールの見えない道にのだめは迷い込むのでした……。

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