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他人の日記が好きである 『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』(山本文緒)

他人のブログを読むのが好きである。

海外にもこういう文化ってまだあるのかなあ? 日本のアラサーアラフォーの女性たちの日常ブログをずっとフォローして読んでいる。いまだに良いブログを見つけると嬉しくなるし、ブログを読んでいるとその人のことが愛おしくて仕方なくなる。赤の他人に対して「愛おしい」という表現は適切じゃないかもしれないけれど、それでも私が日常で感じるもっとも「愛おしい」感情は、ブログで他人の日常に触れたときのものだ。その日常が、葛藤が、苦しさが、愉しさが愛おしんだよ!! きみがきみであるだけで人生はすばらしい!! みたいな、ミュージカルの歌詞か? というような大仰な想いで胸がいっぱいになってしまうのだ……。

昔から好きなブログはいろいろあるのだが、最近だとこのあたりの方々のブログが好きすぎる。

もう最後のお姉さん(いや自分より年下の方かもしれんけどお姉さんって呼びたくなるんだよなインターネットの女性陣)なんて、PCを前にして「あああ~~レッスンがんばれ~~~」って呟いてしまった……。他人の人生が垣間見れるインターネット、プライスレス。

これが最近流行りのyoutubeになるとちょっと違うんよなという気がしてしまう。やっぱり私が文字が好きで、他人のなんでもない文章が好きなのだ。あとyoutube、再生回数が自他ともに目に触れる仕様なのが「バズこそ正義」みたいな空気に加担してる気がしてどうなんだという気になってしまう。バズる文章教室なんて本を出しといてアレだが、私がインターネットのブログが好きなのは本当に他人の言葉が読めるからなのだ。ベストセラーだけが小説じゃないように、バズだけがインターネットではない……のだが、それはそれで難しい話ですね。でも私は「記事」よりも「日記」が好きなので、みんな日常を書く日記を書いてほしいよ。

昨日読んだ本は、そういう意味ですごく私の好きな「ブログ」に近しい本だった。山本文緒さんの『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』。山本さんの癌が発症してから、亡くなるまでの日記だ。

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