Approaches to Soloing Over Difficult Changes by Tory Slusher

1980年代終盤のスタンリー・ジョーダン以来ほぼ初のタッピング(ライト・ハンド奏法)メインのギタリスト。最初に見たのは数年前、これだけの技持ってたらすぐ有名になるだろうなーと思ってたらなかなかオモテに出てこないという謎の人。

日本語表記だと「トリ・スラッシャー」なのか「トリー・スラッシャー」なのか「トリィ・スラッシャー」になるのかそれさえも不明ってか、いずれでも検索にひっかかってこない。。。なんでだ?

メジャー契約してないのかわざとそういうの避けて自由にYoutuberやギター講師としての道を選んだのか・・・。まあ今は後者でも贅沢をしなきゃ十分生活費や音楽活動費を稼げる時代だってことなんだろうか。

メインはジャズだけど世代的に当然のようにロック・メタル系のタッピングの名手からも影響をうけてるらすい。

ジェニファー・バトゥンがベックのバンドで演ってたとき「うげ!ついにMIDIギター使ってキーボードみたいなことする人が出てきたか!」と結構ショックだったけど、このTory Slusherはそのジェニファー・バトゥンやスタンリー・ジョーダン系だけに収まらず、魅せ技というかアクセント的にタッピング使うメタル系ギタリストの技まで含めた総まとめのようなことやってる。

フル・アルバムみたいなのちゃんと大きなプラットホームで出せばいいのにと思う反面、先人のスタンリー・ジョーダンのように一瞬だけ注目されてあとは
尻窄みみたいなこと避けるために今のままのほうがいいのかなーと思ったり。

ロックではボーカルと並んで主役のギターって、正直ジャズではおミソ扱いなんですよ。立場的にはビブラホンとかくらい?ジャズの主役はあくまで管楽器、ピアノ、あるいはドラム。ギターは管楽器のように豊かなアクセントつけられないしピアノほど幅広い和音を構築できないんでし。

そういった弱点を親指弾きとオクターブ奏法で補い、おっされーなフレーズのあとにずっこけるほど泥臭いブルージーなラインつなげるという個性的な音使いに最終的に注目させることに成功したのがウエス・モンゴメリーだと思うのでし。

その後電化楽器の特性を活かしてジャズの世界でのギターの地位をあげたのが、パット・メセニー、ジョン・スコフィールド、マイク・スターン。ジョン・。アバークロンビーあたりというのがワイの持論。もちろんマクラフリンなんかがその先達としているんだけどマクラフリンは電化ジャズ(あるいはフュージョン・クロスオーバー)やるとき明らかにフレージング変えてるでしょ?

世間一般で「ジャズ」扱いされるアラン・ホールズワースやアル・ディ・メオラなんかは本人たちの意識としてジャズ演ってるとは思ってないと思うし。ってかホールズワースなんかどっっかのインタビューで「そもそも IIーV 嫌いなんだwwww」って言ってたもんなー。

話ずれますがワイはこの二人の伸びやかに歪んだ音こそエレキギターの音色の最高峰だと思ってたりしますwハーネスと呼んでたラック一式込みで「ワイの音はこれや!」と通したホールズワースもすごいけど、もともとPAF乗ったオールドのレスポールをわざわざディマジオのピックアップとかに乗っけかえて、「トラ目のオールドを持ち歩いて毎晩使うとか許されることなのか」という周囲の雑音がうぜえという理由でブラックに塗り替え、自分の好みの歪みとサスティンを得るためにステージ上でアンプの思いっきりあげまくったあげく、あまりに音でかいし、難聴の危険もあるからと防音アクリル板でアンプ囲ってたというアル・ディ・メオラ。漢だなあw。自分が納得する音追求するためには一切の妥協がないwwww。

「歴史的銘機?知るか。ワイがほしい音出すために買ったんじゃ。使い倒す・いじりたおしてどこが悪い!」

話をもとのToryとタッピングに戻して・・・Youtubeとかに上がってる動画はほぼレクチャーみたいなもんだから割とラフな演奏が多く、ミス音もまんま残したりしてるけど、スタンリー・ジョーダンに比べジャズ度はかなり高めのフレージング。まあスタンリー・ジョーダンのストリート・ミュージシャン時代よく見てたし話もしてたという人によると、彼は別にジャズ・ミュージシャンてわけではなかったそうですが。メジャーデビューが新生ブルーノートからだったからということだってだけと伺っております。実際最初はビジュアル的な物珍しさと繊細な音色で注目されたものの、次第にジャズ的にはフレーズが凡庸と指摘され一時ズドーンと低迷しましたしね。

タッピングだと繊細さは出るけど管楽器に対抗できるような力強さ出せないのがねえ。ロックの「マーシャルをフル10でどっかーん」同様ジャズも音のでかさのハッタリって重要なんですよ。そのハッタリがすごいだけでなくテクニカルな音の連結で人気だったのがTpのフレディ・ハバードだったり。マイルス亡き後のジャズの世界を牽引してきたウイントン・マルサリスだって、ここ一番じゃ得意の高速・広域グリッサンドでまわりビビらかしにかかりますよ。マジすげえタイミングでやってくるからなあ、あの人。

Tory Slusherは単に「二代目スタンリー・ジョーダン」みたいな小さいポジションに収まらずジャズ・ギターの新たな地平を切り開いていただきたいものです。つかフルアルバムはよ出せw

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