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仮想通貨バブル崩壊がはじまる 第5回テザーの疑惑

こんにちは。

この記事はこれから仮想通貨投資を考えている方だけでなく、現在仮想通貨投資を行っている方全員にぴったりの記事です。

ステーブルコインは安定した価格を実現するように設計された仮想通貨です。テザーはその中でも取引量と流動性が世界最大のステーブルコインとされています。

しかしテザー社は時価総額が700億ドルを超える企業ですがいまだかつて適切な監査を受けたことが一度もありません。

テザーに関わる疑惑に迫ります。

テザーはステーブルコイン発行量と同等額の米ドルを保有していると長年説明してきましたが、NY州司法当局およびCFTCから虚偽説明を行ったとして罰金を課せられ現在米規制当局の監視下に置かれています。

ビットフィニックスはテザーの関係会社でありビットコインの取引量が世界屈指、200種類以上の仮想通貨を取り扱う仮想通貨取引所です。

テザーについての疑惑シリーズは長くなるので数回に分けてお伝えします。今回はテザーとは何か、テザーの疑惑とは何か、結局何が問題になるのかなどを中心にお伝えします。

テザーとは何か

テザー(USDT)はTether Limited社が運営するステーブルコインであり、1テザーが1米ドルの裏付けを持つとされています。

テザー社は仮想通貨を投資したい人からドルを受け取り、デジタルウォレットに同額のテザーを送ります。テザーを手に入れた人はそのテザーを仮想通貨取引所に送り、ビットコインやイーサリムなどその他多数のコインを手に入れることができます。

ビットコイン等は変動が激しい仮想通貨ですが、1テザーは1ドルに裏付けされているので比較的安定しているため人気があります。他の通貨で出た利益をとりあえずテザーにしておくという使い方もされています。

そしてテザー社がドルを保持しているので投資家はテザーにトークンを送ればドルを受け取ることもできるとされています。

世界最大のステーブルコインであり、第4位の仮想通貨であるテザー社の時価総額は700億ドルを超えています。

テザーの疑惑とは何か

このテザーが本当に1対1でドルに裏付けにされているのか、という疑いです。

本当に1ドルの裏付けがあるのかについての疑惑は以前からあったようですが、そのことに対する公的機関による厳しい強制的な監査はなく、先ほど書いたとおり巨額の罰金程度でした。

しかし米政府はステーブルコインはマネーマーケットファンドに似ている、マネーロンダリングの温床になっているので規制されるべきだとOCC(米通貨監督庁)やSEC(米証券取引委員会)などの規制管轄下になるべきではと今年初めごろから検討が始まりました。

ステーブルコインとDeFi(分散型金融市場)などについても、仮想通貨を明らかに投資を目的するならば証券等と同じくその企業は投資家や消費者に必要な情報を与え、仮想通貨のプラットフォームの関係者及び参加者は信頼と透明性を向上させるために義務と責任を果たすべきだと米政府は方向性を徐々に伝えていて、11月に正式にその旨を表明しました。

日本の金融庁による見解

金融庁はこのテザーの問題をどのように認識しているのでしょうか。現在テザーは国内取引所では使用できません。ただし海外の取引所で利用できるので使っている方も多いようです。

10月の金融審議会議事録から紹介します。

スクリーンショット2

文字が小さいので抜粋します。

ステーブルコインにつては、マネーロンダリングに使用されるリスクが高く、現在広く使われているものについても償還可能性への疑義が指摘される状況にあります。現状において、普及が図られるべき条件は整っていないと考えられます。

金融庁はテザーと名指しこそしていませんが、償還可能性への疑義、つまり1対1でドルの裏付けがされていない可能性、ステーブルコインがマネーロンダリングに使われていることを認識しています。別の金融調査会議事録によるとテザーによる情報開示が十分できていないことも把握し公開しています。

次にテザーの保有資産についても11月金融審議会総会の説明資料から確認できました。

スクリーンショット (8)

テザー 準備金内訳 CP49%、国債25%、預金10%、社債等8%、貸付金4%等(2021年6月30日時点) 

テザーの準備金の第三者監査結果を不定期公表とあります。実はテザーの最新の監査結果の報告もまだされていません。現金の確認はできません。預金は10%とあります。

コマーシャルペーパーは短期で資金調達するために利用する一年未満の無担保の約束手形のことです。大変リスクが高いのですが準備金のうち49%とあります。

これらが実はテザーの自己申告によるものであり、適切な監査を受けたものではないのです。もっと実態とは違う可能性もあります。

総合的に考えるとテザーはテザー1対ドル1で償還できないのではないでしょうか。

このテザーのリスクとそのことによる仮想通貨全体に与える影響の大きさを有識者と金融庁はしっかりと把握していることがわかりました。

日本の仮想通貨界隈においてはなぜかテザーの疑惑はトンデモ情報扱いで取り上げられることはありません。

また海外のDeFiではプラットフォームの創業者、所有者、運営者等の情報がまったく掲載されていないものがあります。

例えばグーグルでPolkaEx CEOと検索するとAstar CEOが一番はじめに出てきます。CEO、CTO、CFOどなたの名前も経歴もわからず写真も動画も見つけることができませんでした。

アプリを入れない状態で話を進めます。アプリに十分な情報があるのかもしれませんのでその点ご了承ください。

上記サイトは分散化金融の普通なのかはわかりませんが証券等投資運用に比べると明らかに何かが不足している気がします。アプリを入れる前のDeFiビギナーにとっては詐欺サイトか疑うレベルとも言えます。

このPolkaExがどこの国の法人なのか登録されているのか、法人でないのかもわかりませんでした。現在問い合わせ中です。契約面での情報提供もほぼない状態です。

やはり分散化金融といえども投資運用の最低限の情報提供はプラットフォーム側から必要な気がします。トラブルがあった場合責任者が誰かもわからないのは問題ではないでしょうか。

仮想通貨は投資目的として利用している国民がほぼ100%でしょうから金融庁が国民の資産保全のために、正確な情報を集め慎重に検討し必要な警告を出し世界的協調のもと必要な規制をしていくのは監督庁として当然の務めだと考えます。

アメリカも野放しだったDeFiを証券等同等になるようSEC規制下に置くという声明が11月に出されました。

上記ブログによるとSECはDeFiの偽名を問題にしており、この証券等同等の規制下になった場合ほとんどのDeFiが事実上違法とされるのではないかと著者は考えているそうです。

別の言い方をしますと、まともに運営されているところは少なくポンジスキームのようなところが多そうだ、テクノロジーや分散化を言い訳に適当な技術や監査がされているところが多そうだということです。

ポンジというのは先行者は多くの利益を得ることができますがその後ステークホルダー全員がベネフィットを得ることはできません。必ず犠牲になる後方者が必要なしくみをいいます。

SECはDeFiをつぶすわけではなく、発展させるために必要な規制をしていくと考えているそうです。ですので健全な運営ができているDeFiは今までどおりに運用が続けられると思います。

上記の状況を考えても金融庁が海外取引について慎重な方向性を示したことは国民の資産保全の観点からも当然であり、日本のテクノロジー、イノベーション、分散化、Web3および国民の資産形成を妨害する意図はありません。これらのネガティブの部分にも目を向けると新しい進展があるのかもしれません。

なお、申告分離課税への移行についても、仮想通貨の7割が相場操縦(下過去記事)、上記ステーブルコインや高金利DeFiのリスク、監査等の情報開示の不十分な状況を考えると他金融商品と比べてまだ同等というのは難しいのかもしれません。

米上院がテザー社の準備金やその他事業内容について12月3日までに回答を求める手紙を送ったことは前回記事に書きました。

この手紙は他のステーブルコインの発行者であるCoinbase、Gemini、Circle、Paxos、TrustToken、CentreおよびBinance USにも送られたそうです。

12月3日までの回答をもってその後公聴会など開かれるのかもしれません。下に上院からのUSDCというステーブルコインに出された手紙を要約します。

1. 顧客が米ドルと交換できるUSDCを入手するための基本的な購入、交換、または鋳造のプロセスを説明してください。顧客が米ドルでUSDCを取得するための基本的な購入・交換・鋳造プロセスを説明してください。
 2. USDCを換金して米ドルを受け取るためのプロセスを詳しく教えてください。最低換金額、待機期間、資格などの要件や制限があれば教えてくださ
 3.USDCの設立以来、何枚のUSDCトークンが発行され、何枚が償還されましたか?過去12ヶ月間で、週の初めに流通しているUSDCの最大の割合はどのくらいですか?暦週の初めに発行されたUSDCのうち、その後の7日間で償還された割合はどのくらいですか?
4. USDCを購入したり、換金したりすることを妨げるような市場や運営上の条件を簡潔に示してください。USDCを米ドルまたは他のデジタル資産で購入または償還することを妨げる市場または運営上の条件を簡潔に示してください。
5. 強化された機能、特権、または USDC、日本市場に関する特別な取り決めがある取引プラット フォームを特定してください。
6. 特定のレベルの償還がどのように行われるかについて、貴社が実施した内部検討や調査を要約してく ださい。


これらにまともに回答できるステーブルコインの企業はほぼない、とみられています。大きな動きが出てくるかもしれません。調査報告を待ちたいと思います。

テザーが償還できないと何が問題になるのか

テザーが1対1で裏付けられていないのが明らかになると何が問題になるのか。

まず先日のインドのマーケットの様子をご確認ください。


インドは国会で仮想通貨を禁止する法案がでてきそうだ、という噂でこのように下げています。まだ法案が決定されてはいない状況でした。

25ー40%を超えて下落し取引所の大部分はユーザーの取引と引き出しを停止したそうです。

テザーをはじめとするステーブルコインの償還疑義が世界中で明白になった場合、世界の市場はどのように反応するでしょうか。

前回の暴落時とは仮想通貨市場の大きさがまったく違います。もちろんまったく気にせずに上昇を続けていつもと変わりない相場かもしれません。

次に、仮にテザーが1対1でドルで裏付けできることがわかったとします。現在690億個のテザーが出回っていて今年発行したテザーは480億個です。

これがなんらかの事情により、690億ドルの機関投資家や個人がテザーからドルへの換金に一気に殺到したらどうなるのでしょうか。すべてをドルに償還することは無理な状況です。

次に流動性です。ビットコインの約7~8割がテザーから入ってきています。7~8割の流動性がなくなるとどうなるのでしょうか。

「テザーリスクが明らかになれば売って儲ければいい」という意見もあるようですが流動性の問題で無理でしょう。また売り手ばかりで買い手が出なければ利益は出ません。

そして取引所の出金可能額です。

Coinbaseは取引所に2350億ドルの暗号通貨を持っていますが、引き出しのために手元にある現金はわずか40億ドルです。

コインベースの引き出しのためにある現金はわずかです。国内取引所は分別保管となっています。しかし仮に3日で40%もの下落が起きたとき国内取引所もスムーズに引き出しなどできるのでしょうか。

国内海外問わずレンディングを利用されている方はどうなるのでしょうか。仮想通貨を取引所に預ける、つまり所有権が移っているわけです。預けていた仮想通貨が戻ってくる保証はありません。

国内取引所のレンディングにおいてはその契約形態、リスクなどについて十分な告知がされているようです。海外のレンディングはどうでしょうか。

また米銀行では顧客にテザーをデジタル通貨として採用する方向で検討していました。しかしOCCからは上記の厳しい勧告がありました。

銀行は単一の不換通貨に1対1で裏付けられた安定コインを準備金としてのみ保有することができる。この場合銀行は毎日準備金口座の残高が常に発行者の発行済安定コイン数と同等以上であることを確認しなければならない
発行済みコインの数と同等以上であることを少なくとも毎日検証する

テザーの銀行での採用は無理のようです。なお他のステーブルコインについてもこの条件では銀行で採用されるコインはないだろうとみられています。

日本語圏で仮想通貨のリスクを表明しているのが今のところエミン氏と暴落王子ぐらいしかいません。この記事が個人の妄想によるものでないという保証をつける意味でエミン氏のツイートを紹介させていただきます。

仮想通貨は99%ゴミとおっしゃって言ってます。

エミン氏はフォロワー数20万人を超える金融系インフルエンサーです。仮想通貨業界の何が問題で何がこれから起きそうなのかわかっているけれどはっきりとは書けないのでしょうね。

上記の状況を総合的に考えてください。つまり万が一暴落が起きた場合、全世界の取引所はメンテナンスに入る可能性がとても高いといえます。いつ頃再開されるのか、今までのように通常の取引ができるのかは不明です。

もちろん多くの実績ある世界的インフルエンサーのいうようにこのまま上昇を続けていくのかもしれません。今がただの調整で終わる可能性ももちろんあります。

仮に暴落しても今まで十分な利益を上げたし自分の資産をリスク覚悟で投資しているから関係ない、と思われる方も多そうです。また資産を減らすだけではましかもしれません。

すでに利益確定されている方、法人においては今後の相場次第では税金が払えない、税金による借金を負う方が出ると思われます。

そしてもし万が一仮想通貨で暴落があった場合、債券、株、先物、FXなども暴落、大変動が出てくることを予想しています。

もし今回の仮想通貨の暴落が当たった場合の次の展開はこれです。

仮想通貨投資を行わない人たちからは「だから仮想通貨なんかやるもんじゃない。米国株は確実だよ。ファンダメンタルズを勉強すれば」などという声が聞こえてくるでしょう。すぐに逃げることをおすすめします。1~8週間ほど後に世界的株の暴落もくると思います。

投資におかれましてはご自身でご判断をお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。











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