仮想通貨バブル崩壊がはじまる第15回海外で高まるNFTは何を売買しているのか?という疑問とNFTは詐欺、GameFi・仮想通貨はポンジ、トークンは証券ではないのかという批判
こんにちは。
NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨に関連するものの情報が業界関係者による、巨額のプロモーションとマーケティングバズワードを多用した誇大広告を問題にする声が海外では広がってきています。
少数の金融の専門家や技術の専門家が中心となっていた仮想通貨やWeb3懐疑論は、バズ動画やNFTや仮想通貨のでの損失報告が増えるなどの影響もあり、今年になってからは著名人や大手メディアも取り上げる機会が増えてきました。
今回noteで取り上げる「NFTと仮想通貨とWeb3は新世代のマルチである」(WSJ)、DAOの実態を取材した「ユートピア的暗号のビジョンに現実が入り込む」(NYT)のような批判的な記事も掲載されています。
キャッシュフローをシンプルにみれば、Web3とはトークンでのマネタイズで、そのお金は新しい資本家(ベンチャーキャピタル、創業者、開発者)に移っているだけであり、Web3は我々社会に、投機しか提供していない、匿名であることを利用した詐欺や不正の温床になっているだけなっている、技術的にも過剰評価である、環境にも悪影響だ、再評価すべきだとする意見が高まりつつあります。
他にも「NFTや仮想通貨はねずみ講や詐欺だから自社では取り扱わない」と表明する企業、勤務先企業のNFT事業に反対を唱える従業員なども話題になっています。
仮想通貨がリスクを知るマニアだけの世界から、日本ではWeb3を国家戦略とするべく国会などでも討論され、多くの人たちが関心を持ち始めています。
しかし、NFTや仮想通貨、Web3業界には、多くの詐欺と不正が蔓延し、NFTは法律的にも何を購入しているのか曖昧であることなど、様々なリスクが高いのに一般にはあまり知られていません。
自民党が発表したNFTホワイトペーパー(案)を読む限り、Web3関係者は政治家にWeb3のリスクとネガティブな面を正しく伝えていないと思われます。
現在、シンガポール金融当局は「NFTなどのデジタルトークンは個人投資家には適さない」、豪では「仮想通貨はリタイヤ年金の運用には向かない」、EU,豪での金融インフルエンサーへの規制など、先進国を中心に仮想通貨をリスクの高い投資として注意喚起が始まっています。
なお、NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨の将来は、金融や証券などの各国の規制、仮想通貨の相場動向やなどに大きく左右されます。
個人ウォレットへの規制(EU、アメリカ)やDeFiの規制でWeb3はたいへん大きな影響を受けると言われています。
これらのWeb3はほぼ終了となるほどの規制のリスクの情報は少数の知る人ぞ知る情報となっていて日本語では一般の方には検索でも出てこない情報になっていますので紹介します。
海外の規制の状況や懐疑論の高まりを考えると、日本でNFTやWeb3が国家戦略になるのかは疑問です。
NFTや仮想通貨は金融、経済、テクノロジー、政治、エネルギー問題、法律、哲学等多くのリスクや課題があるとされています。
しかし日本のSNS等で得られる情報はWeb3関係者による楽観論、世界的カリスマ推進派の個人的意見を正しい情報とするケースが多いのです。
NFTや仮想通貨に関して、リスクやマイナス面も含め統合的に考えることは難しい状況ですので、手掛かりとなる海外の懐疑派の情報を集めたのでご紹介します。
仮想通貨やWeb3関連情報は、新興メディアが中心で仮想通貨業界が出資したり広告を出したり、自社がNFT事業に参画しているなどの関係で各国規制等に関しては中立的な報道が少ないのです。
また、NFTの情報は技術的にも法律的にも正確でない情報が検索上位にあがっています。Web3関係者のSNS等の発信も正確な情報というよりポジショントークが多いという状況を理解しておく必要があります。
それぞれの主張をわかりやすくするためにあえて、Web3仮想通貨推進派とWeb3仮想通貨懐疑派として進めますが、二元論的に対立を煽る目的はありません。
日本ではマイナーな懐疑派の主張する事実や考え方を紹介することで、Web3についてなんか違和感があると思っていた方がしっくりきたり、俯瞰的に考えていただける方が増えることを願っています。
正直に書くと、日本がNFTやWeb3の国家戦略を始める前に規制などの理由でWeb3が終わるか、仮想通貨の暴落などの理由で、Web3に未来はないと思っています。なぜそうなるのかを海外の事例を紹介しつつ予言しておきたいだけのnoteです。
私自身は懐疑論については賛同するところも多いですが、少し違うのではと思うところもありますがそのまま紹介しています。
なお取り上げる内容は米英加豪を中心とした懐疑論者のSNSを中心に集めた情報です。
また私自身、東南アジア在住なこともあり、国内事業者、関係者、ユーザーの事情もはわかりません。日本のWeb3関連コンテンツはウェブで検索できたことのみ引用しています。
ここでは仮想通貨で使われるパブリックチェーンについて取り上げています。プライベートチェーンについては匿名というリスクも少なく、中央管理されているので、パブリックチェーンとは違います。またメタバースについての記述はありません。
CBDCやDCJPYなどのデジタル通貨は仮想通貨とは違うものです。
このnoteはWeb3の否定ではなく、批判です。
サマリー
とにかく長いので要点だけ書きます。
・NFT、仮想通貨に関しては先進国を中心に各国規制が強化されている。
・NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨は不正、詐欺が多すぎる。
・NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨は誇大広告が多く今はバブルだが崩壊する。
・Web3のコミュニティは人脈のマネタイズでありマルチっぽく、持続可能性に疑いがもたれるポンジだという批判がある。
・NFTをはじめWeb3はテクノロジーというより、なんとなくクールだ、儲けることができそうだと思わせるブランドの運営に近い。
・分散化のブロックチェーンはコストがかかる。
・NFTは技術的にはリンクのデータの断片の購入であり、何を売買しているのか不明。所有権、著作権、財産権等の観点から法的権利も未定。
・NFTは唯一無二、永続性、希少性も保証されない。
・NFTでは盗用に困っているクリエイターがたくさんいて問題になっている。
・NFTの実態はトレードである。
・NFTも仮想通貨も相場操縦だらけである。
・GameFiは各国の現在の法律で、賭博、投資関連の規制にひっかっかるおそれがある。
・GameFiのいう、ゲームをプレイして生活できるのは主に新興国の低所得者層であり、早期に参加した、強いNFTを持つ、長時間プレイヤーなどの一部のプレイヤーが儲けることはできるが、参加者全員ではない。
・GameFiの報酬は主に報酬トークンやNFTになるが、数か月分の収入に相当するNFTを購入させることは、投機であるのだがそのリスクを隠している。
・GameFiのスカラーは、新興国にデジタル工場を建設しているのと同様、高所得地域のNFT保有者に利益を渡す労働のアービトラージである。
・NFT、GameFi、Web3、仮想通貨の多くのトークン(ビットコインとイーサリアムを除く)には証券性があると米SEC(証券取引委員会)は表明している。
・DeFiやステーブルコインについての金融的、技術的なリスクは多くの専門家が指摘している。
・DeFiでは匿名の創業者の元に数千億ドルもの資金が集まっている。
・懐疑派の声が大きくなっているのは、昔は技術に詳しい人やリスクを理解している人たちが仮想通貨やDeFiを好きでやってた人が多かったが、今は多くの新規の一般人に損失の被害が及んでいるから。
・個人ウォレットやDeFiに関する規制によりWeb3は終わる可能性がある。
・提言のあった期末課税の問題だが、日本の税制は変えることができない。
次回は、DAO、まったく分散化されていない、ベンチャーキャピタル、仮想通貨の環境問題、CBDCなどについてまとめる予定です。
Web3で何が起きているのか
Web3とはここでは、NFT、GameFi、DeFi、DAO、仮想通貨のトークンにからむ活動と定義します。
Web3は「未来のインターネット」など新しいテクノロジーに基づく、明るいイメージを指すことが多いようです。しかし、Web3では不正、詐欺、ハッキング、無責任運営、相場操縦、誇大広告等が日常的に行われています。
それらの事例を短時間で読めるよう、明るく読みやすくまとめてある人気サイト「Web3はうまくいっている」があります。少し事例を訳しています。
このサイトで取り上げられているのはすべての事件ではありませんが、このサイトの事例を少し読めば、不正、詐欺、ハッキング、無責任運営、相場操縦、誇大広告など、Web3でどんな問題が起きているのかがわかります。右下に被害額のカウンターもあります。ツイッターはこちら。
制作者のMolly氏はソフトウエアエンジニアで、ウィキペディアの編集者です。なぜ彼女がWeb3の懐疑論者になったのかインタビューを紹介します。
まさに昨年アメリカで行われた「パブリックチェーンのリスクが適切に開示されないまま一般素人をターゲットにされる」ことが、日本で行われようとしています。欧米で何が起こったのかお伝えしたいと思います。
NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨は法的セーフティがなく、すべてが個人の責任である
DeFiは魔界と呼ばれていましたし、大きな利益を得るチャンスはあるけれど、詐欺やリスクが日常的にあり、すべてが自己責任というものです。
基本的にNFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨は、どのプロジェクトが詐欺でないのか厳密に判断する基準が主観的なものであり、どの程度持続性があるのかも判断が難しいのです。
後述しますが、NFT、GameFi、DeFi、Web3、仮想通貨は現在の証券等であれば守られるはずの法的セーフティが何もなく、エンジニアでさえ詐欺、不正、フィッシング詐欺等にひっかかり全財産をなくすかもしれないほど巧妙な詐欺などが日常的に起きる可能性が高いものです。
またそのすべての責任が個人に負わされるものであり、多くの日本人にとって誰も望んでいないレベルのハイリスクなものです。つまりこれ以上のマスアダプションになじまないということを強調したいと思います。
これらのリスクを開示しないままWeb3を推進する関係者は、将来的に本来開示すべきリスクを隠したというレピュテーションリスクが出てくると考えられます。
SNSによる投資アドバイス
仮想通貨の市場規模は昨年3兆ドルを超えました。アメリカでのNFTや仮想通貨の宣伝は、TikTokやYoutubeなどを利用して、SNSで芸能人、インフルエンサーや個人が広告塔になっていますが、それに対する批判の動画と再生数が増えています。
アメリカの芸能エージェンシーがOpenSeaに出資していることもあり、有名芸能人がSNSで宣伝していたと言われていましたがこのような動画も。
有名なYouTube配信者では一回あたりの動画で数百万~数千万円の報酬、また、スーパーボールでの巨額の派手な広告でも話題になりました。これらの原資が何であったのかを考える必要があります。
大学での多額の学生ローン、親世代と比べマイホームを持つことが難しくなっていること、ミーム株や草コインで一発当てた同世代もいたことなどの社会的背景もあり、人生を変えたいと、一攫千金を狙う若い世代が多いようです。
SNSや動画を中心に投資情報を集める若い世代が多く、TikTokが特に怪しいファイナンシャルアドバイスの温床となっています。
TikTokInvestors氏がそのような動画をツイッターでシェアしてくれているのですが、そのインタビュー記事を紹介します。
少し実際の動画を紹介します。
上は家を抵当に入れ仮想通貨を買った方と、下は大人の女性が対象のMeta CEOザッカーバーグ氏の妹さんRandi氏。
「詳しい説明はDiscordでする」といって自分のDiscordやTelegramに参加するように宣伝します。そこで全部説明するからと。注目を集めるため過激な表現になっていきます。
海外だけでなく日本でもNFT、GameFiや仮想通貨の情報はSNSやDiscordやテレグラムでシェアされ、いかに早く優良情報をつかむことができるか、スキャム(詐欺)を見抜けるかが重要とされています。
「Apeing」というWeb3のスラングがあります。プロジェクトについてリサーチしないでNFTや仮想通貨のプロジャクトのローンチ直後に速攻で、購入すること(時には全財産)を指します。
およそ従来の投資の情報収集のイメージとはかけ離れたもので、ひどい勧誘の形態になっています。
しかし仮想通貨やNFTで損失を被った個人から、広告塔をしたインフルエンサーや動画配信者への裁判が始まっており、今後も増えるだろうと予想されています。
海外各国のWeb3に関する規制強化
このような状況は海外で問題になっており、先進国を中心に各国規制強化がはじまっています。
シンガポール
シンガポールの金融管理局MASからのNFTを含むデジタルトークンに関する投資への注意喚起。デジタルトークンとあるのでNFTに限らず、仮想通貨やDAOなどのトークンも含まれていると思われます。
シンガポールではNFTを含むデジタルトークンは個人投資家に適していないとしていますが、日本はNFTを国家戦略にして誰に販売するのでしょうか。
また複雑な法律上の問題がありリスクを伴うとシンガポールは指摘しています。後述しますが、NFTはリンクの購入にあたるトークンであり、海外では技術的な面からも法的整備は難しいとされています。
ビットコインATMや仮想通貨の広告を公共の場所から撤去するなどしたシンガポールですが、NFTに関する課税の報道もあります。また、Coinbaseのサイトによると、カナダ、シンガポールでも日本と同様のトラベルルールが始まるようです。
アメリカ
アメリカは仮想通貨に寛容なように考えられていますが、米国労働省のDOLは、暗号通貨に投資するという401(K)アドバイザーからの推奨は、それ自体が受託者義務の違反であると警告する仮想通貨ガイダンスを発行しました。
イギリス
3月11日の記事です。
オーストラリア
オーストラリアでは年金運用投資に関して仮想通貨はやめるように昨年すでに警告されていますが、もう一つ。
EU
先進国ではすでに、仮想通貨は法的保護がなく、投資資金をすべて失うリスクがあることがたびたび警告されており、リスクやマイナス面を伝えていない金融インフルエンサーへの規制が始まっています。
多くのWeb3関係者は政治家にWeb3のあらゆるリスクを正確に伝えたのか疑問です。
話は変わりますが、EUでの個人ウォレットへの規制が検討されているようで3月31日の投票で決まるようです。Patrick氏のスレッドに詳しく書かれています。
上は憶測記事ですが、EUの規制案の少し詳しい背景がわかるかと思います。もし、この規制が可決されればどのような影響がおきるのか、米国が続いたらどうなるのか、はたしてNFTやWeb3が国家戦略になるのか、Web3業界関係者は答える必要があると思います。
FOMOマーケティング
話は変わります。NFTや仮想通貨、Web3では、FOMOマーケティングに対する批判があります。FOMOとは「FOMO」というのは「Fear of Missing Out」の略語で「見逃す不安」を意味します。
NFTや仮想通貨、Web3は自分だけ良い情報やチャンスを逃してしまっているのではないかという感情をうまく利用したマルチではないのか、というものです。
各プロジェクトごとに参加者には様々なインセンティブがあるのですが、インフルエンサー、アーリーバード、アーリーアダプターと言われる早期参加者にインセンティブが働くことが多いとされています。ベンチャーキャピタルについては次回まとめます。
「FOMOマーケティング」については、デジタル社会構想会議のメンバーである伊藤穰一氏とDeFiサービスのスタートアップCegaを立ち上げた豊崎氏のインタビューのスクリプトがありましたので紹介します。
NFTも仮想通貨も、あらゆる新プロジェクト、新サービスが次々に出てきますので、FOMOをいかに次々につくっていくのか、そのプロジェクトにふさわしいインフルエンサーの力を借りることが重要であると言われています。
伊藤氏が「売りに入るとクラッシュしちゃう」と話していますが、ローンチ直後、もしくはしばらくした後最高値をつけ、その後低飛行のチャートのプロジェクトは多くあります。
早期に入るほど良いインセンティブがあるので、実際に良いサービスかを確認する前に入ることが必要になります。Apeingの気合が大事なのです。
また、Discordなどでのメンバーの質問に多く答えるなどコミュニティに貢献するとトークンの優先購入権などを得る等のメリットがあり、コミュニティ活動が活発になるしくみが多くのプロジェクトであります。
大手メディアウォールストリートジャーナル紙が「Web3は新世代のマルチである」と掲載
アメリカではマルチレベルマーケティング(MLM)は合法であり、活発でもあるのですが、友人や知人を勧誘し、人脈をマネタイズすることや、早期にはじめた一部の人だけが圧倒的な利益を得て、後発組は損をすることが多いピラミッドスキームになりがちなことについての批判が以前からありました。
こちらは反マルチレベルマーケティング(MLM)のコミュニティのひとつですが、メンバーが76万人おり、マルチを友人を失うよくないものと定義している人たちが増えているそうです。クリプトの誘い方がマルチと同じであるということで話題になっていたようです。
「早く仲間に入らないと損する、早く入らなかったことを後悔する」などが誘い文句です。
米SECによると、「ポンジとは、新規参加者の報酬が、通常、新規メンバーを勧誘するために既存の参加者に支払うお金に使われる投資詐欺」を指します。
その早期参加者へのインセンティブはどこからくるのかと考えると後から参加した人たちからではないのか、と言われています。
つまりピラミッドスキームに必然的になるのではと。それはポンジ、ねずみ講であり、遅く入ること自体が罠であるポンジ性を証明していると言われています。
仮想通貨をポンジ、ねずみ講、NFTを詐欺と呼ぶ企業
NFTや仮想通貨のトークンについてポンジ、ねずみ講、詐欺であるという批判が広がってきており、NFT, crypto, ponzi, scamなど英語で検索すると多数見つけることができます。
ウェブブラウザ企業であるVivaldiのCEOヨン・フォン・テッツナー氏による意見表明です。
短くわかりやすいのでぜひ全文を読んでいただきたいのですが、なぜ企業として仮想通貨に手を出さないかがまとまっています。あとは環境の面、仮想通貨のエネルギー消費を大きな懸念事項とされています。
実は日本ではエコノミストのエミン氏がビットコインはねずみ講である、と昨年からたびたびツイートされていました。
ポンジ・スキームとねずみ講は違うようなのですが、この仮想通貨に関する状態については、欧米の専門家はねずみ講とポンジ・スキームが混ざり合ったものではないか、という見解が多いようです。
英語圏に合わせてここでは以後ポンジとします。ポンジについての説明はこちら。
インディーゲーム配信プラットフォームitch.ioがツイッターアカウントで「NFTは詐欺」と表明。
ゲーム会社Valve社長Gave氏のインタビュー記事です。仮想通貨とNFTのゲームストアから排除した理由、支払いに仮想通貨を受け入れていたがやめた理由が語られています。
ゲーム開発者などはすでに反対する声もあったのですが、別業種からも。
Salesforceが、NFT関連のビジネスをスタートさせることを発表したところ、「NFT業界には詐欺と不正が多すぎる」という理由で数百人の従業員から反対がありました。
このように海外では、NFTや仮想通貨産業に不正や詐欺が蔓延していることが知られてきており、その産業に個人や企業が参加することは、泥棒や詐欺に加担することであり、環境への影響(次回)も大きいのに、結局投機でしかない、倫理的にも避けるべきであると考えている人たちや企業の声を聞く人たちが増えてきているのです。
ブラウザやゲーム企業がこのような明確な意見表明を早期に出したのは、ブロックチェーン関連の技術を理解している人たちが多いからではないかと言われています。
670万回を超える懐疑派のバズ動画
多くの懐疑派の動画があるのですが、最も有名な動画をご紹介します。
SF作家のCory氏のツイート。
こちらがその動画です。2時間を超えますが丁寧に解説してくれています。日本語字幕はありません。
2008年の金融崩壊の話から始まり、ビットコインの歴史、実際のブロックチェーンの技術、NFTやWeb3は仮想通貨からキャッシュアウトさせないための出口でしかないこと、NFTの盗用で困っているクリエイター、短い特定の言葉(WAGMIやDiamond Handなど)言葉を仲間同士で繰り返すことによる自律的コントロールへの批判等、Web3を経済、文化、技術、人間の集団と個人の心理等様々な角度から検証しています。
動画の感想です。
この動画制作者カナダ人のDan氏のインタビューの記事「NFTは芸術ではない - 暗号カルトの最新詐欺に過ぎない」です。
大馬鹿者理論(Greater Fool Theory)は仮想通貨、Web3関連批判コンテンツでよく見る表現です。割高かどうかにかかわらず、「大馬鹿者」に売ることができるから価格が上昇し、大馬鹿者がいなくなるまで続く、というものです。
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が、仮想通貨の審査の遅れを指摘された後、一定条件を満たした銘柄は協会の審査無しで取り扱いできる「グリーンリスト」制度を導入すると発表しました。
グリーンリストの条件とは①3社以上の会員企業が取り扱う②1社が取り扱いを始めてから6カ月以上経過③協会が付帯条件を設定していない等、株式市場等と比較すると、ふわっとした他での評価を利用している印象を受けます。
仮想通貨に関してはファンダメンタルズ、バリュエーションや業績報告といったものが、株式等の従来の判断の手法では不明で、客観的な評価が難しいと言われています。
カルトという言葉は強いですが、英語でcult crypto nft などのキーワードで検索しますと見つけることができます。
現在アメリカでもカルト被害者はいるようで、コントロールした内部関係者やカルト被害者が、どのようにコントロールをしたりされたりしたかの告白の動画などがあります。
NFTや仮想通貨推進派のカリスマを神格化、前述動画のような単純な独自の言葉を詠唱、同じ種類のアイコンを使うなどの同質性、FUD(不安・疑念・不信)などの異論の排除、インターネットの革命などという理想主義的な言動が、カルトと同じであるという批判があります。
こちらはたいへん興味深かった記事なのでおいておきます。
また、日本の様子はわかりませんが、アメリカでは赤字のNFTアーティストも多くいるようです。
NFTを多く売るためには、デジタルアートの作品の完成度を高めるよりは、トレンドや話題性が重要と言われています。
SNS等でフォロワーを増やし、すべてにリプをしたりといった活動、転売できそうなどの企画力や、おもしろそう話題になりそうといった雰囲気をうまく伝えるストーリーマーケティングと、それらを広めるコネ(コミュニティやSNSフォロワー)が必要のようです。
他の懐疑派の動画
こちら3/20にアップされ、25万回再生されていますがバズりそうな素晴らしい動画です。
NFTや仮想通貨の誇大広告の裏でおきていることがよくわかります。これを見るだけで何が問題になっているか、今後どのような方向に向かうのかが表現されています。
仮想通貨支持者に、できもしないのに国家からの独立を語る人たちが多く謎だったのですが、思想的な裏付けがわかりすっきりしました。
上の動画は登録者数274万人のチャンネルで、NFTに関心がない年齢が高い層も見ているそうです。
YouTubeでは他にも批判的な動画を確認することができます。
アメリカの俳優による仮想通貨と詐欺の本の出版
米芸能界はNFTや仮想通貨を支える一大産業なのですが、俳優のベン・マッケンジー氏は仮想通貨は危険であると反対の立場を表明していました。ジャーナリストJacob氏による仮想通貨と詐欺に関する本「Easy Money」が出版されるそうです。
推進派と懐疑派によるシンポジウム
アメリカでは推進派と懐疑派がPodcastなどでの討論もあったようです。「仮想通貨は未来の波または巨大なポンジースキーム?」というテーマで今月、動画がでていました。ポンジという言葉は浸透しているようです。
出演者は有名なビットコイン支持者、大学教授、元SECのネットセキュリティの専門家、グーグルのプリンシパルエンジニアと著名な専門家ばかりのようです。
この動画の中でもありましたが、アメリカではコロニアル・パイプライン等公共インフラへのランサムウェア攻撃が話題になったのですが、ランサムウェア攻撃の身代金に仮想通貨が使われていることを問題にしている専門家もいます。
仮想通貨のトランザクションは簡単に追跡できるので誰が犯罪者なのかわかる的な話もみかけます。
しかし実際にはミキシングやタンブラー等の利用で多くのランサムウェア犯罪の犯人はわからないままのケース、もしくは解析にとても長い時間がかかることがあまり知られていません。
米大学でのWeb3懐疑論の授業
Nicholas氏はネットワークセキュリティの専門家でカリフォルニア大学バークレー校の講師もされているようですがお辞めになるようです。授業を動画であげてくださってます。以前からWeb3は詐欺であると主張されていました。
https://cs161.org/assets/lectures/lec12.pdf スライドです。
動画のスライドを少し。VCはビジネスとしての証券詐欺と書かれています。下はイーサリアムのブロックチェーンについての非効率性についてのようです。
こちらがニコラス氏の「web3は詐欺」という意見表明です。
Kelsey氏はGoogleのプリンシパルエンジニアで、Web3について様々な問題提起をされていましたが、先日Web3関連活動の引退を表明されました。
次にスタンフォード大学での講義です。環境問題を中心に批判をされている授業です。
とはいえ上記のような懐疑論の授業はほぼありません。学生たちにはあまり人気もないようです。米有名大学ではクリプトのクラスがあり、たいへん人気のようです。
以前から金融の専門家は、ビットコイン、仮想通貨の価格上昇は相場操縦によるものであり、ポンジである的主張はあったのですが、ブロックチェーンやネットワーク、セキュリティの専門家も疑問の声をあげる方が増えています。
日本ではひろゆきさんや、スーパーエンジニアの中島聡さんが、Web3に関してテクノロジーというよりお金系のイノベーションだよね的な記事とツイートがありました。
また、日本でもエンジニアやクリエイター、ビジネスマンなどのツイッターアカウントからも、不正や詐欺の多さ、技術、著作権、盗用、税金等、Web3関連について疑問の声が出てきていることがツイッターで確認できました。ここでは残念ながら紹介しきれませんが見つけることができると思います。
パブリックチェーンの特徴
ブロックチェーンにはパブリック型ブロックチェーン、プライベート型チェーン、コンソーシアム型ブロックチェーンがあります。
このnoteではパブリックチェーンについて書いています。パブリックチェーンにに記録するには上記の理由でコストがかかります。
「Web3は分散化しているのでメガテックに手数料をとられない、中央集権であるメガテックからパワーを取り戻した」などという宣伝を聞いたことがあるかと思いますが、ユーザーはプラットフォームに取られなくてもイーサリアムのマイニング事業者等にガス代という形で手数料がとられています。
またすべての取引がブロックチェーン上に記録されている、というのは誤解で、海外の取引所の中はオフチェーンでプライベート台帳に記録されています。
NFTはリンクがあるデータの断片の購入である
NFTに関しては、唯一無二、永続性、代替不可能、デジタル希少性のあるデジタルアート的な意味合いで使われているようですが、技術的には誤解を招く誇大広告です。
紹介する動画は、Coffeezila氏。登録者数100万人のYouTuberで最近では仮想通貨やWeb3関連の詐欺などの動画が多いです。
対談の相手は方はOpenSeaなどのNFTの画像データを収集して、NFTBayという海賊版サイトを昨年11月につくったGeoffrey氏です。
NFT BayではOpenSeaなどで売られている大量のNFTの画像をダウンロードすることができます。しかし画像があるIPFSは本質的にダークウェブで大変危険なので、NFTの盗み等いかなる理由でもダウンロードしないように注意を呼びかけています。ダウンロードしたら、刑務所に入れられることになる、と警告していますのでご注意ください。つまり実用海賊版ではなく、アートプロジェクトです。
Geoffrey氏は人々に「NFTは何を購入しているのかを知ってもらいたい」ためにNFT Bayをつくったと話しています。私もあらゆる海賊版には反対ですが、技術的な理解を深めるために必要だと判断し、アートとして紹介させていただきます。
NFTは一般的にその画像やデジタルアートをブロックチェーン上に保存しているわけではありません。画像やデジタルアートをブロックチェーン上に記録するにはあまりにもコストがかかるからです。
NFTはメタデータをオンチェーン(ブロックチェーン上に記録する取引)
に画像やデジタルアートを記録する代わりに、メタデータを指すURLを記録します。
メタデータとは、データそのものではなく、データに関する事項を記したデータを指します。つまり、画像やデジタルアートはホストされた先にあります。
ブロックチェーンは、画像やデジタルアートが存在する先のハイパーリンクを指しているので、このリンクはいつでも削除または変更可能であり、リンク切れを起こす可能性もあります。
例えば、マーケットプレイスがオフラインになったりしたら使えないし、ドメインネームの更新をしなかった場合、誰かがそのドメインを得た場合、次のドメイン所有者により画像も変更も可能とのことでした。
Geoffrey氏のいうWeb3が拡大するならそのインフラがあるのか、という問題提起ですが、イーサリアムはスケーラビリティの問題を抱えています。
PoSと呼ばれる電力等をあまり使わない様々なプロジェクトが今もありますし、レイヤー2と呼ばれる今後の計画もありますが、PoWと比較した場合の脆弱性の問題が指摘されています。
あとはWeb3ビジネスが増えれば、不正、詐欺やハッキングも連動し増加することだけは確実ですので、犯罪捜査や裁判にかかるコストも人材も必要になるかと思います。
次に、NFTはブロックチェーン上に永遠に保存されるような感じの言葉も見かけますが、様々な脆弱性があり無理があるようです。NFTの長期的リスクについてはこちら。
次にNFTの規格についてSignal のファウンダーであるMoxis氏はブログから。
そもそもURLにあるデータにはハッシュの約束がないというスキと他にも様々な脆弱性があり、唯一無二、永遠に記憶、代替不可能、希少性があるとは言えない、というのが技術的な現状かと思います。
Moxis氏は実験と称して自らNFT の画像を別のものに改ざんするなどして、NFTのリスクを解説しています。
もうひとつわかりやすい一分ほどの動画もおいておきます。
またNFTのデジタル希少性については、昨年12月にバズったキアヌ・リーヴス氏のインタビューから。
マトリックスのNFTの宣伝インタビューなのに、NFTをコピーできない、デジタル希少性があるものとする茶番に笑いが隠せなかったようです。
NFTは画像やデジタルアートがホストされているリンクのデータの断片を購入することであり、ブロックチェーンにはその保有者の取引が記録されているトークンです。
ブロックチェーン技術は1991年に開発、2008、9年にビットコインで使われ、NFTは2014年に開発、2017年にOpenSeaがローンチされています。
ブロックチェーンやNFTは実は古くからある技術が、人類の未来とか革新的であるのような誇大広告とともに仮想通貨ブームで昨年からリブランドされたものと言われています。
NFTは何の売買をしているのかよくわからない
NFTを所有する、できない、の話は耳にしたことがあるかと思います。日本の弁護士さんが複数回にわたりNFTの法規制について解説してくださっているサイトを紹介します。
億を超えるNFTも取引されていますが、法的な権利等についてもまだ明確ではないのです。
実はアメリカでもNFTの法的な曖昧さは問題になっており、現在多数の裁判が行われています。「NFTs のクリプトの現実。あなたは何も所有していません」というredditの記事です。もちろん、日本とアメリカの法律は違いますが参考になるかと思います。
この著者である匿名の方がどういう人なのか、法的な権利について正しいのかはわかりませんが、有名マーケットプレイスの利用規約を読んでいる方はあまりいないのではと思いますので紹介します。
人気を呼んだNBA TOP SHOTも、NFTの無価値性を強調して販売しています。物質的な価値がある可能性を示唆してはいけないのです。
記事では、次にリスクの想定とあり、お客様はこれを承諾し承認するものとします、とあり、10個ほどのリスクの説明がありますが、長くなるので書きませんが、翻訳ソフト等利用してでもぜひ読んでみてください。
限定的なライセンスを除き、著作権、商標、その他の知的財産権の法的所有権はNFT保有者にはないようです。アメリカではアーティストがアートワークの複製、派生作品の作成、展示、実演、および配布等のすべての独占的著作権をもつようです。限定的なライセンスを除き、NFT保有者はアート作品を商用利用でもできません。
過去にマーケットプレイスによるアカウント停止はあるようです。これについても法的セーフティはありません。
次にNiftyGatewayの利用規約です。
マーケットプレイスはいかなる場合においても責任を負わないことが何度も強調されています。
NFTや仮想通貨トークンの証券性
SECはNFTのクリエイターとマーケットプレイスについて、特定のNFTが従来型証券のように資金調達に利用されているかどうか調査をしています。
実はSECはDAOや仮想通貨の多くのトークンに証券性があると表明しています。これについては後述します。
「NFTはICOの偽装なのか?SECがついに召喚で解明へ」という記事。巨額のNFTはICOと同じじゃないのというような意見もあります。
NFTプラットフォームではロイヤリティの発生も証券性の問題に該当する可能性があるとして、ロイヤリティのあるNFTは自主的に排除しているところもあるようです。
NFTの実態は転売である
実際NFTを体験したことのない方はデジタルアートを購入するようなイメージが大きいと思うのですが、海外でのNFTの実態は転売目的のトレードです。匿名でのやりとりということもあり詐欺や不正が蔓延しています。
この「NFTの実態は転売である」というイギリスとデンマークの大学による共同研究は、過去記事第7回にあります。
また、NFTの実態がトレードではないのか、という見解については、NFTマーケットプレイス「Cent」のCEOヘジャさんのインタビュー記事を紹介します。
Centは元ツイッターCEOジャック氏が初めて投稿したツイートを290万ドルで取引したNFTマーケットプレイスです。
偽造や詐欺や仮想売買などが横行し多くのユーザーが困っているのは「企業の倫理、 法的、そして哲学的に自社の価値観や姿勢として受け入れられない」という理由で今年の2月に一時的に取引を停止していました。
NFT界のカリスマGary氏。字幕付きです。下の動画ではNFTの9割が転売目的と話しています。
Gary氏はみんなが売ったり、買ったり、転売したり、盗んだり、騙したりする。いろんなことが起きて、そしてNFTは崩壊すると予言しています。今の状況に似ていると思います。彼はバブル崩壊後にNFTは復活するといっています。
しかしOpenSeaは、2017年に設立されていますし、NFTは実は目新しいテクノロジーではあまりありません。
いかに話題性のあるストーリーをつくって、インフルエンサーを活用して、コミュニティを利用したナラティブマーケティングをうまくやり、NFT(仮想通貨も同じですが)を販売するかという人気ブランドの運営のような業態になっています。ですので、バブル崩壊後の復活はないと個人的には思います。
また、トレードというのは、誰かの損失が誰かの利益になる、というゼロサムゲームです。「NFTでみんなが儲ける」のは妄想です。
NFTの暴落はいつか
3/11に大手メディアであるフィナンシャルタイムズ紙に、「NFTの大売り出し。デジタルコレクティブブームはピークに達したか?」という見出しの記事が掲載されました。
若い投資家は大丈夫でしょうか…。Apeingですからね。NFTの長期的な展望に疑問が投げかけられると大手メディアは報じています。
暴落王子の占いによると、NFT、仮想通貨のバブル崩壊はもうすでに始まっているのではないかと思います。
しばらく強く戻し、これが最後の売り場になると占っています。すでに弱気相場になっていると思います。
コインベースの株価は3月15日に安値更新しました。一旦、株に合わせて強く戻すと思いますが、長期的に基本下かと思います。
前回も書きましたが、コインベースのインサイダーが保有株をすでに爆売りしています。
企業とかNFTや仮想通貨のプロジェクトのトップの人たちは、トークンや株が下がってくると、自分はトークンとか株を売り払っているのに、「今は株主、コミュニティの期待に応えられていないけどこれから挽回するから皆さん応援してください!」みたいなツイートを普通にします。
NFT monthly volumeです。1月にトップをつけて減少中です。後述しますが、グラフ内赤のLooksRareですが1/10以降の23%はトークン報酬が目当ての2つのウォレット間のartificial trading、人工的取引によるものとされています。
NFTの検索数を見てみます。
どれも新規開拓は無理なようなチャートに思えます。NFTの相場終わってませんかこれ…
NFT daily volume
赤はnumberで、白がドルのSalesです。終わってませんかこれも…
ついでなので、DeFiのマンスリーボリュームも見てみます。DeFiもひと相場終わりではないのでしょうか…
昨年9イーサの人気プロジェクトの大幅下落。
しばらく戻して、ある日突然暴落というよりかは、徐々に下落していく感じでしょうか。NFTはとても流動性がほぼない、恐ろしい市場ということを実感すると思います。
NFTはトークンですので、コレクション目的なら問題ないのですが、転売目的でトークンを持っていたら相場環境に注意する必要があります。
「あたたかい投資」というNFTのマーケティングワードを見かけましたが、NFTの長期投資は技術的な面からも難しいと思います。
万が一、NFTマーケットプレイスが破たんした場合。億を超えるたいへん高額なものも扱われ、資産として高額なものですが法的セーフティはないので、ユーザーには何の保証もありません。
NFTトレードの難しさ
それでも暴落はあるかわからないし、NFTトレードをしてお金が儲かるのならばやってみようと思われるかもしれません。トレードとしての難しさを技術的な観点と情報収集の観点から以下にまとめます。
これは先月のOpenseaのフィッシング詐欺を受けて、エンジニアのツイート。
NFTに参加するには、詐欺などから自分自身の財産を守るためには高度な技術リテラシーが必要であることを指摘し、エンジニアのような高度な技術的知識のあるものでさえ、財産を失う可能性があるとしています。
最近特に、Web3関係者がマスアダプションのため十分なリスクを開示せず、金融の未来として、NFTやDeFiの利用を気軽に勧めている風潮があります。
アメリカではビッグテックに勤務する複数のカリスマエンジニアたちが、一瞬ですべての財産がなくなるリスクの高さと法的セーフティの欠如を投資と呼べるものではないとたびたび問題提起していました。
「メタマスク ハッキング ぬかれた」等で検索してみてください。
メタマスクは、公衆Wi-Fi使ったら危険など様々な注意事項があり、ツイッターをフォローするなどして最新情報を自らアップデートしていく必要があります。
下記のようなハッキングも日常的にあり、すべてが個人の責任になります。
悪意ある詐欺は数多く、ますます巧妙になり増加してきているという下のツイートをご覧ください。
マーケットプレイスは前述のとおり、すべては個人の責任としていますが、マーケットプレイスやプロジェクトの運営を相手にした訴訟はアメリカでは多数起きています。
またNFTで利益を出そうとすると必然的に短期トレードとなり、NFTの情報を追い続けないといけないというツイート。1から8までのスレッドを読むと一般的にイメージする投資とは違うもの、構造的に利益を出しにくいNFTのトレードの難しさがわかるかと思います。
この情報収集は思った以上に大変な環境であることを覚悟してから参加する必要があると思います。
NFTの価格はウォッシュトレードによりつくられている
NFTの価格高騰はSNSを活用したインフルエンサーやサクラによる広報活動の他、主にウォッシュトレードと呼ばれる仮想売買、偽装売買とによるものとされています。
ウォッシュトレードとは、同じ資産を売買して人為的に取引高を増やし、資産価格を操作することです。
以前から問題になっていたウォッシュトレードと呼ばれる仮想売買ですが、英語でNFT Wash tradingと検索するとたくさん出てきます。
有名なCryptoPunkですがウォッシュトレードの疑いがあります。
メラニア夫人もプロジェクトの担当がNFTを落札したとの疑いが。
「ウォッシュトレード詐欺とマネーロンダリング、NFTトレーダーが気をつけるべき理由」という記事ですが、NFTのマネーロンダリングとウォッシュトレードの研究レポートがあります。
https://go.chainalysis.com/rs/503-FAP-074/images/Crypto-Crime-Report-2022.pdf
上のPDFはフォレンジック・ブロックチェーンユニットChainalysisが行ったOpenSeaのような暗号を利用したNFTマーケットプレイスにおいて、マネーロンダリングとウォッシュトレードの事例の証明です。
次は「NFTウォッシュ・トレーディング NFT市場における不審な行動の定量化」と題するコーネル大学による論文。査読とかジャーナルのレベルとかは各自で調査をお願いします。
次は「NFTウォッシュ・トレーディング NFT市場における疑わしい取引の定量化」と題する論文はデンマークのコペンハーゲン大学によるもの。
他のウォッシュトレード。
他にはLooksRareというNFTマーケットプレイスでのウォッシュトレーディングの記事。
LooksRareでは、1/10以降、47億ドルを生み出しましたが、その23%はトークン報酬が目当ての2つのウォレット間のartificial trading、人工的取引によるものとされています。記事はこちら。
NFTにおいては価格の高騰だけでなく、マーケットプレイスの市場規模まで操作までされているのです。
仮想通貨の相場操縦
なお、NFT以外にも仮想通貨の相場操縦は有名です。
コーネル大学による上位取引所の約70%が「ウォッシュトレード」しているという論文と「パンプ・アンド・ダンプ・スキーム」と呼ばれるインサイダーによる協調的な売買についてシドニー工科大学による論文、ビットコインETFの申請がなぜ却下されたのかについてのSECからの報告書から相場操縦の指摘が掲載されていることなどについて過去記事第三回、第七回にまとめています。
こちらはジョージ・メイソン大学による「ビットコインのウォッシュトレードの直接の証拠」という論文です。
また、懐疑派のコンテンツでは頻繁に、取引所の90%の取引は仮想売買である、という話が出てきます。俳優のベン・マッケンジーさんもたしかそういう記事を書いていました。ソースが確認できませんが、どこかにそのようなデータがあるのかもしれません。
盗用によって生活を脅かされるアーティスト
NFTの宣伝で「クリエイターエコノミー」がうたわれます。コンテンツもフォロワーも収益もすべてはプラットフォーマーに運命を握られているから、大手プラットフォーマー主導の経済から脱しクリエイターに主権を、というものです。
しかし一部のアーティストは、既に発表したデジタルアートを勝手にコピーされたり、加工され第三者にNFTにされることにより、生活が脅かされている方々が問題になってきています。
ウェブで見つけた他人のデジタルデータやアートをコピーや反転などしてNFTとして販売してい儲けている人たちが実在します。その盗用のやり方がTikTokなどの動画配信者などによって拡散されています。
このNFT theftさんは、盗用により勝手にNFTにされたアーティストの方のツイートとその対応方法をシェアしています。
上のツイートはNFTの盗用問題についてのWSJPLUS主催のパネルディスカッションの告知でしたが、この問題は知られるようになってきています。
被害にあったアーティストの方のツイート。このような痛ましいツイートがNFT theftさんのツイートには数多くあります。盗用の対応と対策についてもツイートされていましたので紹介させていただきます。
Openseaだけで解決できない場合GoogleへDMCA通報します。トラブルがあった時に最終的に頼りできるのは国の法律と司法制度、しっかりとしたWeb2の超大手プラットフォームです。
アーティストの作品を検索して、自動でDMCA通知を行うサービスが他にもDeviantArtなどあるそうです。今は無料ですが、いずれ有料化とのことです。
しかしこれらのサービスも本来OpenSeaなどのプラットフォームができることではないのか、という批判があります。しかしNFTは主な使われ方がほぼ転売ですので、プラットフォームはアーティストの保護などには関心がない、と言われています。
盗用されたアートをNFTマーケットプレイスにアップロードするのは非常に簡単なのですが、元のアーティストがそのアートを削除するのはとても大変であることがわかる動画です。被害が数千に及び方もいます。
数多くの盗用の被害にあったアーティストはこれ以上の被害を避けるために自分の作品をギャラリーから消すアーティストがいるのです。このことにより収入が減り、生活が脅かされているクリエイターがいます。
NFTtheft氏のインタビュー記事です。
また下記の記事はNFTに蔓延する作品の盗難だけでなく肖像権の侵害についても触れられています。
多くの問題が現状あるようです。
また、Openseaは、無料でミントされたNFTの8割以上が著作権違反などの盗作、スパム、偽物であり、この問題は指数関数的に悪化していると公に認めています。
NFTに参加している人たちは全員がクリエイターを応援したいという善意の人たちばかりではないということです。
悪意をもって、盗用、詐欺、不正に加担している人やボットが多数参加していてそれらを防ぐことが難しいということが明らかになってきています。
不思議なNFTの価格
この上の画像は誰でもスクリーンショットで保存できますが違法ではありませんし、所有権もないのですが6.6億円もします。そして芸術的価値を問われても首をかしげてしまう方が多いのではないでしょうか。
NFTがメディアに取り上げられ話題になるのはほぼその価格の高さです。NFTは簡単に仮想売で値段を吊り上げることができるので実は値段にはあまり意味がないのです。お金があれば誰でも仮想売買で日本一くらいのNFT作品なら作れそうです。
そもそも美術作品は節税やマネーロンダリングの需要が高いこともあり、NFT作品に限ったことではないのですが、不思議な値段設定、価格高騰となじみが深い分野であるということも理解しておいたほうがいいでしょう。
次の動画は美術作品の価格について参考になる動画「美術品市場は詐欺である(そして、金持ちがそれを動かしている)」です。Wendover Productionsはチャンネル登録者数300万人を超える人気YouTubeです。
他の芸術作品にもあるギミックでしょ、という記事。ギミックというのは資本主義社会で物を買わせるちょっとしかけ、のことです。
75億円のNFTで話題になったBeeple、購入した先にBeepleも2%出資しており、トークンの資金調達と絡めたシステムだったようだという記事。
もちろん芸術、人のつくりだしたものには、その分野に詳しくなくても、心を動かされる、とてもパワフルなものでもあります。
しかし一方でこのような感じでも美術作品は利用されやすいことも事実です。ですのでNFTの値段で驚いたり価値があるのかを考えたりはあまり意味はないのです。
また何度も繰り返されてきたバブル同様、雰囲気で価格が上がっているものは雰囲気で価格が下がるものなのです。Gary氏は98%が無価値になると予測しています。
GameFiはポンジ、賭博にあたるのか
Play to earn、ゲームで稼ぐ、ですがゲームとブロックチェーンや仮想通貨を組み合わせることで、対戦やクエストでの報酬だけでなく、NFTのアイテム販売など、これまでになかった稼ぎ方が可能になり話題になりました。Play to earn、P2E、NFTゲームなどとも呼ばれますが以後GameFiとします。
GameFiの問題は、1)ポンジ性、2)賭博性、3)デジタル工場の労働性です。順に説明します。
GameFiとして東南アジアを中心に有名になったAxie Infinity(以降アクシー)ですが、キャッシュフローだけをみるとポンジではないのか、という声が多くあります。
「人生を変える」のか「詐欺」なのか?アクシーインフィニティがフィリピンの貧困層の所得を支援、というタイトルのマレーシアの新聞記事です。
フィリピンでの様子がわかるのでかなり長いのですが後世のために紹介します。
パンデミックの時に、東南アジア新興国では多くの人が仕事を失いました。
当時のゲーム報酬のトークンが高値だったこともあり、アクシーでゲームで生計を立てる人がいたので、人類の未来はゲームで遊びながら生活ができるものとして話題になりました。
Googleで「Axie Ponzi」と英語で検索してみると約964,000件、ツイッターでも結構でてきます。
ですので思った以上に問題にしていそうです。もちろん、ポンジではない、という主張も数多くあります。
下のツイートDare氏が、アクシーの記事を紹介してくれています。Dare氏はWeb3についても様々な観点から問題提起されていてお勧めです。
筆者のPaul氏はソフトウエアエンジニアです。アクシーの実際のお金の流れ、エンタメ性の低さ、単調でつまらない作業を新興国の個人所得の低さを利用し依頼するスカラー制度への批判など複数の視点で論評されています。
アクシーでのレビューの多くがお金を稼ぐ系のもので、ゲームの楽しさを語るものが少ないというのが目立っています。
次は、フィリピンでの「アクシーインフィニティゲームアルティメットレビュー2021。合法または詐欺?」という記事。記事内ではSEC(フィリピン証券取引委員会)による調査の可能性に触れていました。
https://cyberbump.net/axie-infinity/
新興国ではアクシーをポンジだと熱く強く主張する人たちがいますがその理由については後ほど説明します。
フィリピンのSECで検索すると出てきた記事です。
新興国ではNFTが高額なため様々な違法な投資スキームがあります。顧客から投資を募ってアクシーをプレイするグループについての警告ですが、SECはAxie Infinityまたはその開発者Sky Mavisにも二次ライセンスがない、としているようです。だいぶ前の話ですから、今の状況はわかりません。
他にも運動して稼ぐ、寝ながら稼ぐなどのゲームが出てきているようです。
GameFiは革命的なビジネスモデルなのか
GameFi企業のDigital Entertainment Assetの創業者でありCEOである吉田氏はWeb3とは革命的なビジネスモデルである、としています。
単純にお金の流れをみますと、ゲームの原資は新規のゲーム参加者で、参加者が増えることを前提にしているものと想定されます。また、そうなると後発参加者のお金が早期参加者の利益になっていると考えられ、ポンジではないのか、と思ってしまいます。ツイートからは、同じように不思議に思われいる方がいるようです。
また、トークンに市場価値と流動性があり価格変動があるので、配当はないですが証券による資金調達とも似ています。
GameFiの賭博性の問題
GameFiの賭博性についての記事です。
「ブロックチェーンゲームにおける“play-to-earn”の法的検討」というものが創・佐藤法律事務所のサイトで詳しく解説がありました。
上記サイトでは、関係当局の確認を経たものではなく、法令上、合理的に考えられる議論を記載したものとして、アクシーのブリーディングが賭博にあたるかもしれないとのことでした。また勧誘の際には他法律の適用があるかもしれないので注意が必要とのことでした。
スーパーエンジニアの中島氏は賭博性を問題にしていますね。情報弱者が犠牲になると強調されていますが、海外でも同じです。メルマガではアクシーのお金の流れについても解説があったようです。
GameFiは貧困の解決になるのか
GameFiは貧困や格差問題の緩和に役立つ、と宣伝されています。
例えばYGGというDAOでは「奨学金プログラム」により人々はゼロ出資でPlay-to-Earnに参加できるとし、新興国を中心とした多くのスカラーさんと契約しています。
YGGが奨学金プログラムの受取人として選ぶケースは、ゲームプレイ時間が長い、熱意や意欲の高い人が多いと言われ、報酬の一部をコミュニティマネージャーに納めます。
これらのスカラー制度は、NFT保有者から借りたNFTでゲームをして報酬の一部を貸主に納めるのは、単にデジタル工場の労働のアービトラージではないか、ゲームではない、と批判されています。
これらは「遊んで稼ぐ」「ゲームで世界に革命」「ESG」というマーケティングワードとは違うものではないのかという指摘です。
また、一時は低所得の国ではこのゲームをプレイすることにより生活費を稼ぐことができるかもしれません。報酬が良いときにゲームを続けていくと、トークンやNFTを購入するようになります。
そして低所得で生活ができる社会的弱者がトークンを得た頃には、トークンの下落が始まり、結局損失を出す傾向があるそうです。
スカラーという元でゼロで始めるゲーム参加者が新興国にはたくさんいます。一方、新興国にはこれらのゲームに対して強い批判もあります。
リスクが高い投機的なことをゲームという甘い言葉で隠している、ギャンブルの押し売りである、貯金もあまりない低賃金で暮らす社会的弱者が結局すべてを失うリスクにさらしているという批判です。
現在多くのフィリピンのアクシープレイヤーは最低賃金を下回っているようです。
アクシーは、上記の他に、他国では賭博に当たりそう、ポンジかもと意見が分かれる、証券規制の調査の対象かもしれない、勧誘をしたら何かの法律にひっかかるかもしれない、投機性が高い、持続性がないかもしれない、というものです。
ツイッターでポンジについて検索しましたが、NFT、GameFi、仮想通貨のつよつよアカウント(業界関係者含む)までもが、GameFiについてはポンジと指摘している方が多数いました。英語でponziと検索してももちろん多数でてきます。
上からアクシーの報酬トークンとガバナンストークンのチャートです。
仮想通貨全体の市況や何等かのてこいれがあり、トークンの価格は戻すかもしれませんが、下落続けるでしょう。不思議なハッキング事件がありましたね。
よりお金の稼げる魅力的な新しいGameFiが続々と出てきます。そうなるとそちらに参加者がうつり、アクシーの新規参加者も減ります。半年もしたら持続可能性についてはわかるでしょう。
GameFiに関する海外のゲーマーの反意見
GameFiの最後は、海外のゲーマーからのNFT反対の反応がかなり過激だったのですが、その理由がわかる記事を紹介します。後世のために長めに引用します。
こちらもおいておきます。
ゲーム会社はゲーマーの反応を受けてNFTには慎重な姿勢をとりあえず見せているところと、がんがん行く方向のところとわかれているようです。
NFTゲームがんがんいく派のUbisoftは従業員への内部メモでNFTをビデオゲームに導入する計画を倍増させましたが、反対している従業員による何百ものコメントがオンラインでリークされるなど根強い反対意見もあるようです。
NFTゲームを開発キャンセルした企業もあります。
著名なゲーム開発者Chris 'chhopsky' Pollock 死神氏のブログです。NFTがゲーム間のアセット転送を可能にしない理由など書かれています。
まとめますとGameFiは、エンターテイメント性を求められる今までのゲームとは違うものということです。お金を稼ぐためにプレイする仕事のようなものです。
次々に新しいGameFiが出てくれば、早期参加者にインセンティブが多いWeb3の宿命で、金銭的インセンティブ目当てでそちらに移りますのでポンジっぽさに拍車がかかるしくみになっています。
過去のポンジ投資の多くが、途中からこれはポンジかもしれない、と人々が気が付きながら投資を続けていたそうです。
これほど多くの人たちがポンジだと考えているGameFiに持続可能性はないのではないかと思われます。
ただし、持続可能性はないけれどもGameFiは別の理由で増えると思います。それは、ゲーム内で使うユーティリティがあれば、SECによるトークンの証券性の追求から逃れられるのではという説があるようです。
実際のところどうなるのかわかりませんが、上記理由でいろいろなプロジェクトがゲームのNFTの発行に積極的だそうです。
DeFi、ステーブルコインに関するリスク
多くの金融の専門家がDeFiやテザーなどのステーブルコインに関係するリスクを発表しています。American 大学のfinancial regulation教授のHilary氏です。
もしDeFiが規制なしに発展することが許されるなら、大金融危機を引き起こしたレバレッジの高まり、硬直性、暴走といった構造的欠陥を繰り返すことになると論じています。アレン氏は論文の中で、DeFiを既存の金融システムから閉め出すように迅速に動くべきだという主張です。
シャドーバンキングについてはCory氏の長いスレッドで確認してみてください。
2020年7月ですが、イーサリアムの創業者ヴィタリク氏がインタビューでDeFiのリスクについて語っています。
DeFiは2018年からスタートしていますので、下落相場に耐えられるか不明です。また先日、DeFiのゴッドファーザーと呼ばれるアンドレ氏が引退しました。相場の終わりは大物がしれっと退場します。
日銀サイトからFSB。BISからの報告書も。
他にもありますが、長くなるのでここまでとします。
DeFiの技術的なリスク
DeFiには金融的なリスクだけでなく、技術的なリスクもあるという指摘です。St.Mary大学の教授のAngel 氏のツイートです。
技術的なリスクについて、InsureDAOのロードマップから。InsureDAOはイーサリアム上の保険市場プロトコルで、日本人創業者のチームで、CEOは斯波氏です。
さすがに有名大手どころは監査されていると思いますが、監査なしで出されているプロダクトとありますが、これが一般的といわれています。パブリックチェーンは規制もなく、分散型金融と名乗っていても金融の責任もなく自由なのです。
また、昨年のアンケート結果ですが、開発者も経験が一年未満が半数を超えており、監査の必要性がいろいろな方から指摘されています。金融と名乗るには脆弱ではないのという指摘が多数あります。
ステーブルコインに関するリスク
ステーブルコインは法定通貨担保型、アルゴリズム型、仮想通貨型があります。ここではドルの裏付けがあるとテザー社が主張しているテザーについてまとめます。
テザー(USDT)は、1USDT=1米ドルと主張するステーブルコインです。監査も受けておらず、金融不正行為で金融規制当局から罰金を科され、米ドルの裏付けがないことを明らかにしていますが、テザーはまだ1ドル程度で取引されています。
金融庁の「資金決済ワーキンググループ」に資料と議事録があり、DeFiとステーブルコインに関する記載があります。
金融庁の議事録からステーブルコインについてのリスクは過去記事にあります。
米大統領ワーキンググループによると、ステーブルコインは銀行等と同等の規制を課すと報告されています。
現在、アメリカでのロビー活動が活発ですが、ステーブルコインが銀行と同等の規制を課すというの規制だけは変わらないと思います。影響が大きいので。
過去記事にいくつか書いています。SECによると、テザーはステーブルコインではありません。「ステーブルコインと呼ばれている」という表記になっており、ステーブルコインであるとは認められていません。
Bennett氏のブログを読むとテザーの歴史がわかります。テザーは一時期、銀行口座がなく、現金で運んでいたそうです。
大手ヘッジファンドがテザーのショートをして来年の崩壊を予想しているようです。
他にもCircle(USDC)等あるのですが、どれもドルの裏付けがあるとは企業はいうがその裏付けが怪しまれています。仮想通貨事業者のいう監査はブロックチェーン上の監査であり、いわゆる上場企業の監査とは違います。Cicle社も監査が甘いといわれているSPAC上場です。
Terra(LUNA)のUSTについては、相場操縦やポンジの噂が絶えず、ツイッターでも妙な噂の数々が検索できると思います。
アルゴリズム型、仮想通貨型ステーブルコインは、懐疑派は理論的にも安定するわけないという理由でステーブルコインとは認めていません。
各国であったポンジ
過去、アルバニア、ルーマニア、ロシア、アメリカで大規模なポンジが起きています。1997年、アルバニアではポンジをきっかけに経済崩壊し、内戦状態になりました。
規制関係者の中には、多くの人が亡くなるのは戦争だけではない、金融破綻もそうだ、だからポンジや詐欺から弱者を守る規制が必要であり、規制が遅れると弱者の破綻により、かえって社会的コストがより大きくなる、と語る方もいます。
アメリカのポンジで有名なのは、バーニー・マドフ氏です。実はナスダック会長までつとめています。1960年にペニー証券会社を設立しやがてバーナード・L・マドフ・インベストメント・セキュリティーズとして2008年12月11日に逮捕されるまで続きました。
大手銀行や大手企業などもこのポンジに騙されています。ですので、大企業も投資しているからポンジではない、とはいえず、長く続いているからポンジではない、とは言えないということです。
過去記事で、内田教授がDeFiのリスクを語った動画についてまとめています。自転車操業(ポンジは自転車操業になります)の可能性について指摘しています。
話は変わりますが、ネットフレックスで「TRUST NO ONE」というカナダの仮想通貨取引所の若い創業者が急死した後に資金を引き出せなくなった投資家たちが真相を探る動画があります。興味がありましたらぜひご覧ください。
DeFiのポンジ性と匿名の創業者
実は多くのDeFiがポンジではないのか、と疑われています。というのも過去に告発されたポンジよりも高い利回りを得ることができているからです。
DeFi APY APR などと検索してみてください。驚くような数字が出てきます。
オリンパスDAOはDeFiですが、ポンジではないのかと多くの人に疑われています。
アルゴリズムによるステーブルコイン関連のようです。
7,000%の利回り(APY)とはこれは一時的なもので、多くはクジラと呼ばれる大口のbotがやってきます。
DeFiには、7,000%どころか、10,000、30,000、100,000%の数字を確認できます。短期と複雑な計算でその利回りを得られるとは限りませんが。
ですがポンジを疑われています。時価総額のチャートをみてみます。
残念なことになっています。仮想通貨のプロジェクトは時価総額が凄い、と話題になりますが、わりとこういう感じで時価総額がしぼむ時期も早いのです。アクシーのトークンのチャートと似ています。
このように相場が終わったチャートを見ると、トークンのロック解除の時期が終わると相場が終わるのではないか、と考えてしまいますね。実際のロック解除の事情がわかりませんのでなんともいえませんが。
パブリックチェーンはオープンソースなので、似ているものが次々に出てきます。金銭的インセンティブも新規のほうがよいので、持続可能性については構造的にどのプロジェクトも難しいように思えます。
このOlympusDAOの創業者ですが、ZEUS氏という匿名なのです。匿名の創業者が2500億ドルも運用することができるのです。
私は創業者が匿名なことにも、巨額の資金が集まることにもぎょっとしてしまったのですが、匿名がWeb3で普通なのですが、あまり知られていないと思います。
NFT、DeFi、GameFi、Web3はユーザーが匿名なのは一般的なのですが、創業者や開発者までも匿名で問題ない、という文化があります。
いわゆる金融サービスを受けるための本人確認手続きKYCというのですが、KYCなしの活動がユーザーだけでなく、米中堅銀行ほどの規模のお金を集めるDAO創業者をはじめ多くのDeFiでもあります。
この匿名文化が詐欺や不正を大きくしているとの指摘もあります。
個人ウォレットへの規制
この匿名文化がついに影響を受けそうだという記事を紹介します。
関係者の中に、この銀行機密法は、匿名での金融資産の運用はできないはずだから、強制されるとなると、DeFiは厳しいのではないか、という見方もあるそうです。しかし、「促す」ですから、どれくらいの強制力があるのかわかりません。
アンホステッドウォレットとは、個人ウォレットを指します。昨年からこの個人ウォレットへの規制はたびたび話題になっていました。もしこの規制が運用されることになるとWeb3は大きな影響を受けると考えられています。
他のメディアもみてみます。というのも上のProtosは独立メディアで下のCoindeskとはニュアンスは違うことがよくあるからです。
ロシア制裁の流れもあり、米での個人ウォレットという匿名でのDeFiへの送金規制は近い将来あり、Web3は大きな影響を受けそうです。
このnoteのはじめのほうに個人ウォレットのEUでの規制案も書きました。日本をはじめとする各国でも将来的に同じ流れになると思います。
万が一個人ウォレットへの規制がある場合、Web3にどの程度大きな影響があるのかは業界関係者が詳しいかと思います。
DeFiに関する規制
DeFiの規制についてです。1月末にSECが出した提案ルールがDeFiに関する規制になるのではないか、と言われています。こちら。
https://www.sec.gov/rules/proposed/2022/34-94062.pdf
アメリカの弁護士さばCat氏のツイートです。
同じSECの提案が、DeFiだけでなく、中央集権型の仮想通貨取引所にも影響が与えることになるかもしれない、という見解。
もう一つ、新しいDeFiに関する規制案が出てきたようです。
他にもSECからDeFiに関連しそうな規制案が出てきたようです。
他にも、SEC DeFi regulate などで検索すると様々な見解と、いつから始まりそうかなどを見つけることができます。これらを読み、DeFiの規制がそのうち始まると私は判断しましたが、確定情報ではありません。
アメリカでDeFiの規制が始まれば、Web3にも大きな影響を与えると思います。関係者にどのような影響があるのかぜひ聞いてみてください。
トークンの証券性
実はSECは多くのトークン(仮想通貨、DAO等)が証券取引法に準じるべきだとし、仮想通貨取引所などに、SECに登録するよう長い間呼びかけていますが、大手事業者も含めて反対しています。
前述のとおり、ビットコインやイーサリアムを除く仮想通貨のトークンのほとんどが証券であるとし、取引所も証券取引所として登録するべきだと促しています。しかしほとんどの取引所が拒否していているようです。
現在、仮想通貨が既存の証券規制の枠組みなのか、何を証券とするのかの指標、もし規制下に入るとしたらどうなるのかについての記事です。
SECはSEC規制下に入るように促してはいるが、正式決定はまだのようです。現在ロビー活動が活発化していますのでどうなるのかわかりませんが、もし証券として規制されれば、仮想通貨が終わると懐疑派では考えている人たちがほとんどのようです。
相場操縦だらけで、規制がないことで大きくなった業界と言われているからです。財務監査に耐えれるところはないと推測されています。
また、仮想通貨取引所に対して、ユーザーから、トークンは実際にはトークンであり証券取引所としても仲介業者としての登録も拒否しながら、トークンの販売を続けているのは問題だという訴えが起こされています。
証券同様の消費者保護はSECだけでなく、顧客からの要請もあるようです。
元SECのインターネット執行責任者John氏のインタビューがおもしろかったのでおいておきます。規制について詳しく、規制の必要性を熱く語る専門家です。コインベースの話も笑えましたが、米大統領令について独自の見解を述べていました。ツイッターはこちらです。彼のLinkedinも熱いです。
DAOのトークンも証券である
2017年にSECはDAOのトークンを無登録の証券だとしています。これがSECの資料です。DAOについては次回まとめますがひとつだけ。
https://sec.gov/litigation/investreport/34-81207.pdf
簡単に言うと、ワイオミング州ではじめてのDAOとして認められたと報道がありましたが、SECからトークンの証券性に物言いがつき、事実上閉鎖している、というものです。
今のアメリカでのDAOは勝手に乱立状態であり、国や州から歓迎されたり認可されているわけではない、ということです。
将来的にどういうリスクがあるのか不明で、やむを得ず米国内でつくる場合、法務や税務の専門家と相談するのはもちろん、裁判等でDAOの国庫を使えるよう、いつでも議決権の過半数をとれるようアドバイスされているそうです。
DAOは法的にも税的にも高額な費用はかかるが、カリブ海のオフショアで財団をたてて運営するのが望ましいとされています。
Web3関連の日本の税制を変えるべきか
次は、Web3関連の日本の税制について考えてみたいと思います。
政府が動き出したのはAstar Networkのファウンダー渡辺氏の意見表明がきっかけかと思います。
日本の税制を変えれば、はたしてWeb3ネイティブビジナスは日本で始まるのか、海外から起業家がやってくるのか、を考えます。
シンガポール在住のNansenのCEO、Alex氏のツイートからシンガポールが仮想通貨歓迎ではなくなっと嘆いているツイート。
公共の場での暗号広告が日本でどうなっているかは私はわかりませんが、ほぼ日本と同じ規制です。MASの「InvestorAlertList」にトップのDeFiファンドを掲載とあるのは、DeFinance Capitalを指すようです。これがどういう理由でアラートリストに載ったのかわかりませんが、シンガポールがDeFiを歓迎していないのでは、という見解が多いようです。
シンガポールは所得税も低く、事業開始後3年間の最初の収益20万ドルに対して、最大12万5,000ドルの免税の恩恵を受けることができるなど、タックスヘイブンとして知られています。
それでもシンガポールを出ようというWeb3知人が多いとAlex氏のツイートにありました。渡辺氏のnoteに戻ります。
そもそもガバナンストークンに有利な税制を持つ地域は日本以外の国全部ではなく、ケイマン諸島、パナマ、アイルランド、シンガポール、ドバイ、スイスなどのタックスヘイブン地域である一部の国です。
ですのでWeb3は、これらのタックスヘイブンで設立するのが、高額な費用がかかるがよい、とWeb3指南コンテンツに書かれていました。昔読み流して今は検索しても見つけられませんが見つけたら載せておきます。
最も良いのは会計基準が緩いカリブ海の島々とされています。
ですので、日本の税制を変えたとしても、他の税制面で不利なので(タックスヘイブンは日本では無理)、海外からWeb3ネイティブビジネスをはじめにくる起業家はいないと思われます。現在もシンガポールから逃げ出すくらいです。
あとは、前述のとおり、ガバナンストークンの証券性をどう扱うか、という問題です。米SECはビットコイン、イーサリアムを除くほとんどのトークンは証券性がある、と表明しているのです。
日本も証券性について判断を迫られるのならば、ガバナンストークンは売買目的の有価証券に該当する、となると思います。金融庁がどう判断するかはわかりませんが、そのように考えられると思います。
それはアメリカと同様世界的から投資が集まる経済大国で、公正で透明な株式市場があり、他業種との兼ね合いもあるからです。
もちろん税制変更が可能であり、何の問題もない可能性もありますし、どっちでもよいのですが。
また日本の良い点は低金利で事業用のお金を借りることができる、という点で長期的な事業を行う上では有利です。
9割かはわかりませんが、SAFTにすることでトークンが米SECのいう証券取引法の証券に該当しないようにするためです。それもPeirce委員のただの個人的propasalであり、SECの公式見解ではないようです。
現在のNFTやDeFiの取引ボリュームや検索数などをみても、ひと相場終わった感が漂っています。個人ウォレットへの規制が始まる先進国が出てくるかもしれません。
経済特区はWeb3ではなく、国内で発展できる持続可能性のある産業で行われるたほうがよいでしょう。
日本は素材開発など産業の基礎研究や製造業の分野ではとても優れているところもありますが、Web3関係では遅れています。遅れて助かっている部分が大きいと思います…
デジタル系でいえば英語での情報量が違いすぎますし、本場に行かないとわからないことも多いので、海外は行けるのなら、行ったほうがよいと思います。この海外で仕事をする、生活をすることから得られる経験はいろいろな方の発信のとおりメリットが大きいです。
ですので頭脳の海外流出をとめるなど気負わず、必要ならばもっと海外に行くことは気軽にやっていけばよいのではないでしょうか。というかどんどん海外に出ていくべきです。
Web3は日本の国家戦略になるのか
最後に「Web3は日本の国家戦略になるのか」について考えてみたいと思います。
平座長を中心に自民党デジタル推進本部にて様々な検討が進められているようです。
フットワークの軽い、デジタル分野に関心のある与党政治家の登場は心強いですね。
しかし何度も繰り返しますが、シンガポールはNFTをはじめとするデジタルトークンは個人投資家に適さないと注意喚起し、先進国ではDeFiどころか、仮想通貨について投資資金を失う可能性があると告知し公共での広告や金融インフルエンサーへの規制を強めています。
Web3であるパブリックチェーンでのNFTもDeFiも半分どころかすべてのプロジェクトが詐欺でもおかしくないのですが、法的セーフティもなくすべて個人が責任を負わされます。
他国のNFTやWeb3ブームの終了感から考えても、日本のほとんどの人が望まないこのようなハイリスクなものが日本人に継続して受け入れられるのかについては、無理ではないかと思います。
あとは各国の規制、メタマスクそのもののリスク、NFTの法的リスク、トークンの証券性、詐欺や不正の異常な多さなどについてWeb3関係者は、国会議員や地方自治体、報道などの関係者に正確には伝えていないのではないかと思います。
Web3は詐欺や不正が日常的にあるので、一般社会から考えると異常だと思われるリスクもWeb3業界関係者にはたいしたことはないと基準が麻痺しているか、リスクを開示するとマスアダプションできないと考えているのかのどちらかだと思われます。
アメリカでもロビー活動は盛んですので、これらの事情を知りながら推進する議員がいても問題ありません。FTXのCEOサム氏は米大統領の最大の献金者です。
しかし、勘ですが、日本の国会議員の方はなんとなくこの規制とかリスクとかご存じないような気がしました。
ホワイトペーパー案には、Web3の大きな課題である詐欺や不正のリスクについてほぼ書かれていないように感じました。
Web3関係者からNFT業界は一年前と比較して100%の成長率です!とだけプレゼンされたのではないでしょうか。
前述のとおり、もうNFTもDeFiも終わってると考えられるチャートです。あとはGary氏のいう98%が無価値になる暴落がいつになるのかだけです。
欧米の個人ウォレットと米DeFiの規制でWeb3が終わりますし、NFTもDeFiも下げ相場入りですので、この日本の国家戦略が始まる前にWeb3が終了する可能性があります。
実はNFTに関しては、中国が仮想通貨の利用をせずに、国営ブロックチェーンサービスネットワーク(BSN)という組織を中心に、ブロックチェーンの国家プロジェクトが推進されています。前回記事にあります。
NFTは仮想通貨を使わない系、DCJPY等のデジタル通貨を利用したKYCされた個人ID付ブロックチェーンのほうが不正や詐欺等を防ぐことができるので国家戦略として望ましいのではないかと個人的には考えています。
これもスケーラビリティや技術的な問題が出てきますので実現可能かはよくわかりませんが、インドも似たようなことを計画しているようです。
中国のBSNに技術者を派遣してから、国家プロジェクトになるのか、誇大宣伝なのかを考えてみるのはありなのではと思います。
また、今どきのデジタルの有望な技術やビジネスモデルは、ビッグテックが買収していくそうですし、経験豊富なベンチャーキャピタルがつくでしょう。
ですので、デジタル分野でも量子コンピューターの製造などものづくり分野や、セキュリティ、ネットワーク技術、もしくは将来的に不足が予想されるエネルギー分野に関連する研究などスタートアップの応援など、国内で持続可能性と技術の発展もありそうなビジネスに重点をおいたほうがよいのかもしれないと思いました。
NFTやWeb3については大幅な見直しが必要であると考えています。
以上です!
次回は、DAO、まったく分散化されていない、ベンチャーキャピタル、仮想通貨の環境問題、CBDCなどについてまとめる予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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