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見えなくてもバレンタイン

気づいたらバレンタインデーだった。

ここ10年、乳製品アレルギーな私にとって、チョコレートは食べ物枠から外れている



アレルギーが発症する以前は毎年新宿伊勢丹の「サロン・ド・ショコラ」というイベ
ントに友達と参戦し、年に一度の贅沢チョコを楽しんでいた。
彼女も私も視覚障碍者なので、その都度伊勢丹のアテンドスタッフにお願いして一緒
に回ってもらっていた。
アテンドの方はさすがプロ、通常とは違う店が並んでいる特設会場にもかかわらず、
事前に調査していてくれて、人気店だの限定商品だのの情報を教えてくれた。友達も
食べ物には命を懸けているタイプなので見えないなりに事前リサーチをしていた。私
は完全におまけな感じだったけれど、3人でああだのこうだの言いながら会場を散策
するのはお祭り気分でとても楽しかった。

えっ?!誰に上げるのかって?!
そんなの誰にもあげません。私が全部食べるのです。(きっぱり)


私がアレルギーで戦線を離脱した後も友達は参戦し続けていたけれど、ある都市に話
を聞いた所、もう伊勢丹の中では収拾がつかなくなり、別のもっと大きな会場で入場
に何時間も並ばなければならないイベントになってしまったと言っていた。


そして今年、何気なくネットを見ていたら、新宿伊勢丹で「サンペダル 旅マルシェ
」というイベントがやっているという情報を見つけた。
どうやら卵や乳を使わないスイーツや食材を売っている店がいくつか出店しているら
しい。高級チョコレートには縁がなくなってしまったけれど、こちらは私向きだ。

最近増えてきたとはいえ、ビーガンの店はあちこちに点在していて一人で行くのは難
しい。デパートでイベントがあるならこれはチャンスとばかり伊勢丹にアテンドを申
し込んだ。

そして当日ついてくれたアテンドスタッフが何と、以前「サロン・ド・ショコラ」で
お世話になった方だった!
10年以上ぶりである。ずっと視覚障碍者のアテンドを続けてくれていたこともうれし
かった。
私はアレルギーが発症してチョコレートが食べられなくなってしまった話をした。彼
女は驚いていたけれど、もともとサンペダルに行くと言ってあったので、別フロアで
やっているチョコレートの催しでもビーガンチョコを売っている店がいくつかあるか
らとそちらも案内してくれた。
他にもビーガンクッキーを売っている常設のお店も紹介してくれた。

デパートの商品を紹介してたくさん買ってもらうのが彼女の仕事と言えば身もふたも
ないだろう。
でも歩きながら話した雑談も含め、とても楽しいショッピングだった。
もちろんケーキやチョコレートなど、戦利品もたくさん持ち帰ったのは言うまでもな
い。。


卵も乳製品も使わないでおいしいスイーツを作るのはとても難しいようだ。
私が昔製菓を習っていた時も、卵とバターがないなんて考えられなかった。
それでも最近はおいしいビーガンスイーツがたくさん出てきている。
これにはニーズもあるようで、近所のおいしいパン屋さんでも、最近は食物アレルギ
ーの子供が増えているという話を聞いた。
まだまだ高いし少ないけれど、確実においしいビーガンスイーツは増えている。


デパートは予約をすれば専門のアテンドの人がついてくれるので、視覚障碍者が一人
で行ってもスムーズに買い物ができる。商品についても知識が豊富なのでプレゼント
を選ぶ時などにもこちらのニーズも踏まえてベストなチョイスをしてくれる。
しかしいかんせん、当たり前だけどデパートは高いのだ。
普段100円ショップとユニクロとカルディーで間に合わせている低所得者にとっては
ハードルが高い。
デパートと言えば、駅弁祭りとかサロン・ド・ショコラのような催し物にしか行かな
い私が今回たまたま伊勢丹のイベントを見つけたのも何かの縁だったのかもしれない


何年か前にも伊勢丹でビーガンスイーツのイベントがあったらしいのだが、私は知ら
ずにスルーしてしまった。
高い服飾品などには手が出ないけれど、またアテンドの彼女に連絡して、ビーガンフ
ェアがあったら教えてもらえるように頼んでみようかな。
年に一度くらいの贅沢なら自分にも許してやろう。


ちなみに聞いたところ、このコロナ禍、サロン・ド・ショコラは事前予約制。ネット
の予約も秒で完売。
午後3時以降は外れてしまった人も入場できるそうだが、そのための行列が朝8時くら
いからできているそうだ。
これはもうアニメのイベントレベルである。アレルギーがあってもなくても視覚障碍
者には踏み込めない遠い存在になってしまったようだ。

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