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見えなくてもホームに転落したくない

最近はホームドアがついているところも増えてきたがまだまだ視覚障碍者の転落事故
のニュースは絶えない。

友達との雑談の中でホームに落ちたという話は結構聞く。
あの人もこの人も落ちた経験あり?!
中にはろっ骨を折ったとかかかとの骨を折ってしばらく車いすだったとかシャレにな
らない話もある。転落時に気を失って気づいたら病院にいたなんて人も!
しかしよくぞ皆生きていてくれた!!!

ちなみに私はまだ落ちたことはない。
いやいや、こんなの何の自慢にもならないし(獏)


一番怖かったのはホームドアがあると思ってなかったケース。
東京だと同じ島に山手線と京浜東北線がくる場合。山手線にはあるけれど京浜東北線
にはない。山手線に乗ろうとして勢いよく歩いて行くとそっちは京浜東北線で、ある
はずのホームドアがなくてヒヤッとしたことがある。。
ホームドアがない前提の駅では全集中で歩くけれど、ホームドアがあると信じ込んで
いればかなり雑にがしがし歩いてしまう。スピードも上がっているので杖の下に何も
なくても急に反応はできない。

また、馴れている駅だと勝手がわかっているので杖をちゃんとつかなかったり考え事
をしながら歩いてしまう。すると微妙に斜めに歩いていたりして、あるはずもない階
段から落ちる。
私が階段から落ちたのも、家の最寄り駅と会社の最寄り駅だ。


先日、視覚障碍者に東京メトロの駅を解説付きで体験してもらうというツアーに参加
してきた。

新木場に東京メトロの研修センターがあり、施設の中にダミーの駅がまるっと入って
いる。ここではメトロの職員研修なども行われているそうだ。

参加者は皆で駅の警備員さんが来ている黄色いテープが貼ってあるベストとヘルメッ
ト、軍手を装着して出発進行。

視覚障碍者15名とそれぞれのヘルパーの総勢30人。

お客さんがいないので券売機にも触り放題。駅のホームにある非常用ボタンを押させ
てもらったり、電車の中の運転手さんと話せるインターホンを使わせてもらったりし
た。

実際はどこにあるのかわからないので、見つけられないが、そういうものがあるとい
う事がわかっただけでもよかった。

そしてメインイベント。実際にホームに降りてみる体験。
ダミーの駅ホームにはちゃんと電車も止まっていた。

ホームの高さは135cm。私は170cmくらいあるのだとずっと思っていたので思ったより
は低かった。それでも職員さんには大きい男性であっても、ホームに落ちた時は自力
で這い上がることはお勧めしないと言われた

レールや枕木にも実際に触れてみた。レールの間隔が、思ったより狭いのにはびっく
り。


それから、「SHIKAI」というアプリを体験した。

駅にあるQRコードをスマホで読み込むと、しゃべる点字ブロックよろしく言葉で行先
をナビゲートしてくれる優れもの。
まだ設置してある駅は少ないけれど、どの駅で使えるかはアプリ内に書いてあるそう
だ。
今後もっと多くの駅で導入してもらえたら一人でも乗り換えが楽になるだろう。
まずは大手町や銀座、飯田橋など、たくさんの路線が乗り入れている駅から使える様
にしてもらえたら助かる人が多いのではないだろうか。

でも肝心のQRコードが駅のどこにあるのかわからないのはどうしたものか。


最後に、ホームに落ちてしまったらどうしたらいいかを質問してみた。

まずはホームの位置を確認する。見えないと自分がどちらを向いて落ちたかがわから
なくなってしまうからだ。

プラットホームの下に逃げられるスペースがない場合は、ホームに沿って電車と平行
になるようにうつぶせになるのが一番助かりやすいそうだ。
電車とホームの間にはわずかにスペースがあるのでそこにうまくはまれれば助かる可
能性がある。

丸ノ内線と銀座線は線路上に電気が通っているらしいが、それはホームとは逆側なの
で方向を見失わなければ大丈夫。しかも上にシリコンがかぶせてあるので横から振れ
ない限り関電はしないらしい。


今回実際に線路を歩けたのは有意義な体験だった。
自身がホームに落ちないように注意するのはもちろんだが、もし駅や道で迷ってそう
な視覚障碍者を見かけたらぜひ声をかけてほしい。たまにやさぐれた失礼な人もいる
が、それはマイノリティー。ほとんどの人はありがたく思っている。

都内でも駅員がいない改札が増えてきている。同じ駅内でも改札が二つあると小さい
方はインターホン対応になっていたりする。見えないとインターホンを探すだけでも
大変なストレスになる。

一方、特に地方の小さい駅で無人駅を減らそうという運動をしている人もいる。
お客も少なく駅員もいなければ事故のリスクは増すが、そのために少ない人員を割く
のも難しいのが現実だろう。

しかし、悲しい事故を起こさないためにも、人を配備するかホームドアを付けるか、
何らかの対応をしていただきたい。そうでなければ今後も同じような事故は必ず起こ
ってしまうだろう。

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