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2015年2月の記事一覧

雪名残

雪名残

朝降った雪は 足の下で固まり
茜色のざらめになってしまった

日も暮れて 枯れ葉が星に揺れる頃
家に戻る影はただひとつ

祖国が引き裂いた恋人を 誰が慰めてくれるだろう

若者はだまったまま答えを待ち続けるが
願いもむなしく 馬車は国境を越えてしまった

心を添わせる君との出会いよ
振り返ってももはや姿はなく
水面に映る月のように浮かんでは消える面影が残る

君の心はどんなに僕を求めてくれていたの

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誘惑

誘惑

重ねて 拭って 滲む世界

感情に揺れた跡は

白い空の向こうに 伝わっていく

目に見える景色は私の幻想?

赤く染まった ウソにひたる

醜くて 呼び返す声も聞こえなくて

下へ下へ

頂の門がひらく

赦されるモノならば

このまま

繋がってみたい? なぞってみれば?

痛みの中にある 美しさ 

壊れた心に注ぎ込むと

黒く光る石になる

触れてみたい? 願ってみる?

まだ間に合うから

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ノック

ノック

道を外れた羊にも

やさしい迎えを送り出す

主の慰めと御恵みは

心のドアを叩きます

トントン

あなたは開く?

トントン

今日もまた

優しく叩く音がする

ひなげし

ひなげし

ひなげしの花が咲いたよ

まだ瑞々しい茎葉が摘もうとする指に

チクリと針を刺す

刺された指から滴る赤で

白い花弁が染まると

一斉に風に揺れるよ

美しい彼人を思いだして

双葉

双葉

双葉の碧に雫タレ

文様水面に還り

人知れず、君戻りし時を知らせたまえり

月が巡る日

月が巡る日

ひんやりと夜の闇が月をつつむ日には

遠い国の哀しみが海を渡ってくる

次の満月まで木蓮の下で眠りにつくために

番人は彼らを起こさぬようそっと見守り

月が満ちて彼らを照らすと

濾過された哀しみに しずくが降りて

ひとつひとつ ふんわりと天に昇ってゆく

今宵も幻の様な現実は 月をめぐっている

月読

月読

流れる人波みの中で 突き上げるように去来する想い

過去はいつもずるいです 

昔の思い出は 記憶の中で
美しいまま 時を重ねてゆける

だけど未来は いつでも儚く香るだけ

涙目で見上げる月の心は 
ただ澄んでいました

ばらんす。

ばらんす。

無意識の水底で積っていたものが

溢れだす瞬間

人は

自己矛盾から己を取り戻す。

愛音

愛音

高く高く澄み渡る あの空の向こうに何がある

大きな愛の懐に 飛び込む鳥たち幸せか

広くやさしい君の胸 白き白魚その指で

僕をちょいとつまんでくれないか

幸せの頂があるのなら まっさかさまに身を任せ

空のかなたの幸せに さよならの一つも言えるのに

みちしるべ

みちしるべ

日が昇り沈んでも 変わる事のないものよ

とこしえに 続くものよ

心眼を持てそれらを見 道を選べば苦難あり

生きとし生けるものは 偶然と幸運によって生まれ

宿命に整えられ 運命を乗り越え 

真理の元で眠りにつく

冬の申し子

冬の申し子

白い闇が広がり

僕らを包囲する冬は 寒さを増すばかり

果てなき夜の先で

太陽と月が出逢う日に

君と愛を交わした約束が実ると

新しい命が 冬に打ち勝ち

世界に再び光がもたらされる

Example of four souls

Example of four souls

にぎみたま 
まろびて我を救いたり
あめつち紡ぐ糸ありて 惑いし心揺れ逃げる 
ほどけた五情集う時 省み磨き 恥じ畏れ 
悔いて覚れ四魂よ
時空共にし我らみな 道行く途中の旅人なり

テラ

テラ

パチンと音をたてた原始の混沌が 生まれたばかりのあなたへと還ってゆく

そこは私達の星

吹き飛ばされた金属が染み込んで核となって
あなたとわたしは互いに引き合って命を育み
流れ星や地に眠る珠で指輪を創る

未来にどんな意味があるのかはわからないけれど
体に刻まれた干満の跡が昔を語りはじめたら耳をすましてみて?
灯りと薄闇の狭間で 今とは違う速さの太古の時の流れが
さらさらと音をたてているでしょう

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