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豊津徳【HozuTalk】05「夢とアート」

山本豊津(東京画廊)×角田陽一郎(バラエティプロデューサー)のアートを巡る知のライブトーク第五弾!
テーマは「夢とアート」

 豊津徳も寿司特も週間ICUCも、未熟者の私にとってはノートを用意して聞きたいもの、できれば教科書とか読み物として欲しいもの。文字起こしが趣味になって本当によかったな。
 私の趣味の文字起こし。月イチのお楽しみ【豊津徳05】です。

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角田 じゃあ開始しまーす。──おはようございます皆さま。

豊津 こんにちは!どうも。

角田 どうも。東京画廊の山本豊津さんとやっております豊津トーク、第5弾でございます(笑) 豊津さんよろしくおねがいします。

豊津 はい。よろしくお願いします!

角田 そう意味で言うと新年一発目ですよね。

豊津 はい。そうです。

角田 本当はね、ぼく豊津さんとね、どうせやるんだったら東京画廊に行って、新年一発目の新しい個展があるって言うので、それを豊津さんに案内して頂くみたいな。

豊津 そうなんですよね。

角田 ね。それを計画してたんです。本当はね。ところが非常事態宣言が開始されてしまったんで、結局その展覧会は中止になっちゃったんですか?

豊津 延期。

角田 延期、あぁ、じゃあぜひ今度は紹介して頂きたいなーと思って。

豊津 展示する先生がね、御年76歳なんで、やっぱり京都から来てもらうのはちょっとしのびないなと思って。

角田 へぇ〜!でもね、それを思ったのも年末にぼく1回東京画廊にお邪魔して、昼飯に天丼食べましたけど(笑) そのときにちょうど70周年の展覧会やられてたじゃないですか。

豊津 やってました。

角田 あれ観たときにやっぱりあれだったんですよね。例えば木が置いてあるだけとか、鉄屑が置いてあるだけのやつを豊津さんがいらっしゃる前に僕一人で観てたんですけど、この鉄屑は一体何を意味してるんだ?とか(笑) この木のオブジェと言えばオブジェなんですけど、決して美しくもないオブジェだったような気がしてて。これは何なんだろうな〜?なんて思ってたわけですよ。で、豊津さんがいらっしゃって、ひと作品、ひと作品のことを解説してくれたら、とたんにその鉄屑とかよくわからない木の組まれてるものとか、すーごい価値のあるものというか。これ、説明聞くだけでコロッと変わると言うか。あの感覚ってたぶん美術にそんなに興味がない人だったらむしろ体験したほうがいいんじゃないかなーなんて思って。

豊津 いやもう仰る通りで。だから小学校3年生くらいの子がくるとね、ものすごくわかりやすいんですよ。あそこに飾ってあったものは小学校3年生の子でも頑張れば作れますよね。

角田 (笑) まさにそんな感じの作品ばかりでしたもんね。

豊津 そう。だから小学校5年生、6年生になると意味を感じるようになるんだけど、意味を説明してもあの作品は子供には分からんですよ。ある程度知識がないと、特に美術史がね。だから小学校3年生だと技法だから、技法は歴史を知らなくても自分が出来るか出来ないかっていうのを直感で分かるじゃないですか。すると大体うちのものは出来るから、色んなものを見せていくと、自分が出来るものには関心を示すんですよ。で、今日本の平均的な美術の教養って、小学校3年生以上には行ってないんですよ。

角田 うん!つまり小学校3年生の感覚でしかその作品が良いとか悪いとか、理解できないってことなんですよね。それってなおかつ「燃えよドラゴン」のブルース・リーじゃないんですけど、考えるな!感じろ!みたいなことばっかり言い続けてるから、むしろもっと野性的な感覚で美術は楽しめみたいな論調がすごい多いなーと思ってるんだけど、実は美術の楽しさって、そっちもあるかも知れないけど、そっちじゃない…だから小学校4年生以上というか(笑) 小学校3年生以下でしか分からないことだと、やっぱり美術の面白さの実は深いところとかも伝わってないんじゃないかなーって、僕はずーっと思ってるんですよね。

豊津 だから本当に、大人の遊びとはなにか?って話ですよね。大人の遊びっていうのはやっぱり根拠がないと面白くないじゃないですか。でも子供はコンテクストまだ要らないんですよね。身体を使ってまず世界を認識しようとするから。五体が満足であれば良いわけですよね。だからそこから色んなものを吸収していって、それがたぶん頭の上で構成されて意味が発生すると思うんですよ。それをアウトプットするために言葉の学習をし始めるわけですよね。で、言葉の学習をし始めたところから感覚機能がほぼ、あんまり機能しなくなるんですよ。

角田 そうですよね。むしろ論理的なものを知っちゃっただけに感覚の方が止まっちゃうというのが人間の人間たる所以でもあり、野性性の喪失とも言えるんですよね。

豊津 これね、野性性の喪失をしないと社会の構成ができないからです。みんな野性で動いてると本能が人間にはないから大変なことになるわけですよ。

角田 まさに弱肉強食になっちゃうってことですよね。

豊津 だから言葉を学習するわけですよ。ところが何万人に一人に言葉では表現できないことを感じちゃった人がいるわけよ。それはバイオリンかも知れないし、いわゆる身体の、例えばかけっことかね。それは言葉では100mを9秒9で走るなんて、言葉では意味ないじゃない。

角田 ホントですよね(笑) 逆に言葉で9秒9で走るって言ったって、走れなきゃ走れないんですもんね。

豊津 そう。でもボルトみたいなのは何百万人に一人でしょ。そういう人が世の中にいるわけですよね。それが伊藤なんとか…卓球の。張本くんとか。あれはもう感覚機能しか表現できないジャンルだからね。ということですよね。でも彼らって作戦考えるじゃないですか。

角田 極めてそれって実はロジカルに戦ってるから勝ってるかも知れないし、それこそ9秒レベルの話になっちゃうと、むしろ練習というか、どいういうストロークでこうやればとかも実はすごい論理的なところを突き詰めないと、野性の感だけだと9秒台で走れないですもんね。

豊津 そうなんですよ。それから身体の訓練があるじゃない。それは意味がある訓練ですよね。だから本当はアシスタントプロが傍にいるわけじゃない。ボルトはボルト一人で走ってるわけじゃなくて。

角田 それってシューズメーカーさんとかも入れればすごい人数、たぶん万まで行っちゃうくらいの人数がボルトがあれだけの成績とか記録を残すのに貢献してるってことですもんね。

豊津 そう。そうするとアートもね、アシスタントプロとトーナメントプロに分けたほうが良いんじゃないかと。

角田 なるほどなるほど。ゴルフで言うと。

豊津 ゴルフで言うとね。だからタイガー・ウッズがどんなに天才でも、傍でアシスタントプロがいるわけですよ。錦織くんの傍にマイケル・チャンがいるじゃないですか。アートはそれないでしょ。

角田 本当はあるんですよね?それが画廊だったりとか。なんだけど、なんかそういうものってアート性をむしろ阻害してると思われてる節が多いんじゃないかなと思ってて。そこがすごく嫌なんですよね。

豊津 画廊を役割もあるけど、もっとピュアな意味で言うとね、美術学校の役割だと思うのね。

角田 ああそうか!美大だ!

豊津 そう、美大。でも美大の先生を見るとみんなトーナメントプロを目指しちゃってるじゃない。アシスタントプロがいないんだよね。せいぜい版画の先生が技法を教えるとかね、そういうのはありますよね。だから、ほら!「プレバト」観てるとさ、俳句の先生うまいじゃん!

角田 夏井さん、面白いですよね。

豊津 直し方が抜群じゃん。ああいう人が必要だよね、アートに。

角田 必要ですよね。あの番組見てるとそれまで俳句の良い悪いってのが言語化できてなかったのが、確かにこっちの方が先生のおっしゃってる分、確かに良いよなって思いますもんね。ああいう芸術作品って、そういうのを超越してればいいんだっていうような…なんていうんですか、それって色んなことが問題だと思うんですけど、偏差値教育的に偏差値が高いことが東大の価値だって言われてるのも実は学問の本質じゃないし、一方でそれのアンチテーゼみたいな感じでスポーツとか美術ってなっちゃってるじゃないですか。でもそれって実はそんなアンチでもないし、そんな対立的なものでもないっていうのが。僕、なぁんかそこはすごい伝えたいなーって思ってるんですよね。

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豊津 そうですね。それはすごい大事なことですよね。人によって油絵で描いた方がいい人と、版画で描いた方がいい人と、それから木彫を掘った方がいい人と、それぞれ人間が持ってる個性にそれを意味でちゃんと解説してあげる人がいればね。才能がもっと伸びるんじゃないかと思うんですよね

角田 この解説した方がいいんですよねって話って、これ根が深い問題点だなって思うのって、僕も豊津さんと出会うまでそういうものって、なんか僕のアート性がないから解説を見ないと感動しないんだなと思って。僕ですらと言ったら大げさですけど、比較的アートが好きな僕ですら素人だと解説的なものをアートには要らないんだって思っちゃってました。豊津さんともう何気に出会って7~8年だと思うんですけど、お会いしてから豊津さんのお話を聞いて、いやむしろそっちが、それが面白いんじゃんっていうのを知ったって言うことは、テレビプロデューサー20年くらいやってる僕ですらそうなんだから、これ大部分の人はそこを誤解してるんじゃないかなーなんて。

豊津 いやもう、だから、やっぱりあなたがやってるバラエティ見ててもね、やっぱりバラエティを、この子の才能をどう持ってったらいいかっていうことを見てる人が居るわけじゃないですか。それが先輩だったりするわけでしょ?その先輩達が、例えばたけしさんが軍団作って、それぞれに名前つけてやってるじゃないですか。

角田 はい。井出らっきょとかね。そのまんま東とか。

豊津 それからジャニーさんは若い12~3歳の男の子の才能を引っ張り出してるじゃないですか。

角田 そうですよね。それがSMAPであり、嵐であり。

豊津 そうそう。するとジャニーさんっていうのはさ、育ててるわけよね。だからと言って巷にいる男の子がすぐSMAPになるれわけじゃないじゃない。そこにはジャニーさんがこの子とこの子とこの子を組み合わせたら面白い世界ができるっていう、そういう視点があるわけでしょ。それはジャニーさんの体験がなければできないことだよね。だからそういうような美術の世界でもあるんだってことを皆に知ってもらうとね。絵は好き嫌いで買えばいいなんて、そんな単純な話じゃないからさ。

角田 うん。ホントそうですね。だってこの70周年の個展のときも豊津さんから解説聞くまではそんなに欲しいと…金額でしか分からないですよね。この絵が価値があるかないか、素人の僕は。ところが豊津さんからお話聞くと…欲しくなりますね(笑)

豊津 だから僕の役割はね、その金額の根拠を話してるだけだから。

角田 そこがアートは資本主義だって言うことの原因というかね、根拠ですよね。つまり価値があるから高いんだってことですよね。

豊津 そうです。だから今日のテーマである夢っていうね。夢を最初に言語化した人は誰だろうか?って話よね。

角田 ああ~、誰なんですかね?ほんとに。

豊津 やっぱりフロイトとかユングじゃないの?

角田 そうかも知れないですね。科学の領域にしたのは確かにフロイトでありユングですもんね。

豊津 それまで皆が夢を見てるってことはしてるわけですよね。その夢をなんとか言語に、だから科学にしようと思ったのがフロイトとかユングで、精神分析学っていうのが始まるわけですよね。すると科学っていうのは言語だね。ということだと思うんですよ。

角田 はい。ロゴス、論理ですもんね。

豊津 そうそうそう。そうすると皆がああなるほど、こういう夢を見てるのはこの人にはこういうストレスがあるんだとか、そういうことが理解できる。

角田 こういうトラウマがあったんだとか。

豊津 それか、僕本人が夢見て「あ!そうか。今自分がこういう夢みてるのは自分の中に無意識がどうなってるのか?」って知ることになるじゃないですか。言語がないとね。なんでこんな夢みてるんだろうかな?で終わっちゃうじゃないですか。だからそんなこともね、夢って面白いなと思うんですよね。

角田 思うんですよね。あの、そう、僕だから今回「夢とアート」としたのって、新年あけたから初夢みたいな意味も含めつつ、アーティストが具体化するわけじゃないですか、絵なり、モノとしてというか。あれと夢との関係ってどんな風になってるのかなーなんてちょっと思ったんですよね。つまり、頭の中で無意識か意識かは置いといて、想像されたあるイメージみたいなものが…と言いながらも夢は夢の中で、頭の中で具現化されてるわけじゃないですか。アーティストってのはそれをキャンバスの上なのか立体なのか分かんないですけれども具現化するわけじゃないですか。それってだから、なんか僕、アーティストが絵を作るプロセスって夢が頭のなかに浮かぶのとどこが違うのかな?みたいなことが昔から思ってるんですよね。

豊津 でも僕はね、そこがすごく難しいところでね。夢をみたからと言ってその夢がアートを描くための役割を担ってるかどうか、非常に難しいね。夢って二通りあるじゃないですか。

角田 そうなの!そうなの!この、僕、二通りあることを子供のころから疑問で。つまり寝てみる夢と、起きてみる夢、起きてても見る夢ってことですよね。そういうことですよね。

豊津 起きてみる夢ってなんだっていうとさ、あなたは将来何になりたい?って。でも寝てる夢はさ、僕が見たいものを見てるわけじゃないからね。

角田 僕、寝てみる夢と起きてるときに見る夢って違うものなのに、どっちも夢っていいうじゃないですか。それが僕すーごい不思議なんですよ。で、それって日本語だけなのかなと思ったら、Dreamも両方意味があるわけじゃないですか。英語のDreamも夜見る夢と将来の目標とか憧れみたいなものもDreamっていうじゃないですか。ってことは、人類は寝てみてる夢と起きてる夢を同じ夢という言葉で表してるのって、本当は違うんじゃないかなーて思ったりするんだけど。

豊津 それはだからあれじゃない?僕がなんで睡眠をするかってことと関係するじゃない。僕が睡眠をしててもさ、心臓は動いてるじゃない。自律神経と他律神経っていうのがあって、自律神経は僕が眠ってるからと言って心臓が眠ってるわけないじゃない。

角田 そうですよね。だから無意識でも動いてる器官ってことですもんね。

豊津 だから眠るってことは僕が生きてる内のある一部分だよね。だから脳だけの疲れなのかなんなのか分からないけど、全ての動物も、生きてるものは全部眠るわけだから。眠らないのはサメだっけ?

角田 あ~、なんか寝ない生き物いますよね。

豊津 ずっと泳いでるの?あれ。

角田 ずーっと泳いでるんですかね?

豊津 でも泳いでるけど寝てるかも知れないよね。僕たちだって動かないけど心臓動いてるからさ。

角田 はい。それと同じ感じで流れに乗ってれば泳いでるってことですもんね。つまりね。

豊津 だから生き物は全部、犬も夢見るらしいしさ、ということは夢って言うのは僕たちが生きてるときに、寝てるときと起きてるときの意識の違いっていうのかな。

角田 ああー、そうか。それでしかないってことで、やっぱりなんかビジュアルなのか分かんないけど、浮かんだものは夢ってことを考えれば、起きてるときの夢と寝てるときの夢を同じ夢と言って大丈夫な感じしますね。

豊津 ただ睡眠の話をちょっと調べたら、ノンレム睡眠とレム睡眠ってのがあるらしいんだよね。

角田 深い睡眠と浅い睡眠。

豊津 そう。浅い夢のことしか覚えてないらしいんだよ、僕たち。で、浅い夢ってどういう時?って言ったら、目が覚める直前、そのときに見てることを覚えてる。で、それはね、深い睡眠から一挙に目が覚めると頭がこんがらがっちゃうんだって。ノンレム睡眠をして、レム睡眠の浅い眠りになって意識が戻ってきて、それで僕たちは日常生活ができるらしいんだよ。でね、ノンレム睡眠とレム睡眠の違いを書いてあったんだけど、ノンレム睡眠はいわゆる抽象的で、整合性が取れないものらしいんですよ。

角田 ほおぉぉ!なるほど!だから夢はそういうものなんだってことなんですね。

豊津 レム睡眠は物語性とかちゃんと起承転結があるらしいんだよ。

角田 だけど僕らは覚えてないってことなんですね?

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豊津 それは深い方ね。抽象的なものは覚えてない。

角田 はぁ~。面白いなぁ。

豊津 で、それさ!美術に分けるとさ、具象絵画と抽象絵画に。ね?!これ面白れぇなと思って!

角田 面白いですね!ってことは、抽象絵画はレム睡眠の見る夢で…

豊津 違う、違う。ノンレム睡眠。

角田 ノンレム睡眠。えっと…具象的なものがレム睡眠ってことですね。面白いですね。

豊津 だから印象派まではさ、人類が描いてきた絵は全部レム睡眠。

角田 全部レム睡眠だったと(笑)

豊津 近代に抽象になったから、ノンレム睡眠を描くようになったってことよね。

角田 それは人類が目覚めつつあるってことかも知れないですね。

豊津 うん。そうじゃなきゃ、人類は近代によって半分現実性を失ったってことだよね。都市化で。だからノンレム睡眠がすごく重要になったんで、それまで自然の中で生きてるとバランスが取れてたんじゃないかと思うんだよね。

角田 とも言えるし、レム睡眠とノンレム睡眠って行ったり来たりするんですもんね。で、行ったり来たりして、起きる瞬間がノンレム睡眠で起きるわけですよね。ということは、もしかしたらこの絵画の抽象と具象みたいなものも、実はもしかしたら行ったり来たりしてる…文明の行ったり来たりがあるのかも知れないですね、もしかしたら。

豊津 いや、まさにあるよ!この間まで抽象絵画が全盛だったんだけど、今抽象絵画描く人ほとんどいないもん。

角田 そうですよね!それって良くも悪くもみんなアニメとかと似て来てる絵が多いなーと思ってて。それってやっぱり抽象絵画が衰退してきてるみたいなことなんですか?

豊津 ううん、衰退してるんじゃなくて世界が抽象化したから。

角田 あぁぁ深い。なるほど。世界自体が抽象化したから。

豊津 世界が抽象化すると、できれば抽象化したインフラの上には具象的なものが乗った方が分かりやすいじゃない。具象化している世界は抽象ってことが際立つじゃない。だからそういうバランスで出来てるんじゃないかと思うんだよね。

角田 確かに共産主義とかの頃って抽象絵画が盛んだったのって、どんどん社会を具象化してたからなんですね。きっとね。

豊津 うん。社会が具象化してたからね。で、我々今は社会が抽象化してるから、全部美術は具象化してるんじゃないかと。

角田 だからより、どんどん、どんどん、そういう具体的なものってのが…じゃあ、もしかしたらそのタイミングが変わる可能性はありますね。

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豊津 あると思う。どこかでね。それがもしかしたら人工知能のシンギュラリティかも知れないし、地球温暖化かも知れないし。

角田 このコロナウイルスだってもしかしたら変わるきっかけかも知れないですね。いや、まさに今日、ある大会社の社長さんとミーティングしてたんですけど。色んなビジネスモデルみたいなのが変わってきてるよなーみたいな話になって、元々変わるきっけだったのに、例えば電通が本社売っちゃうみたいな話があるじゃないですか。今までだったら大企業はやっぱり都心の一等地にビルを持たないとダメだったみたいなところが、本当に、どうせみんなリモートで働くんだから要らないじゃんみたくなると、家賃いらないじゃんみたいなところから、まずその都会に一等地のビルを持つ必要がなくなるみたいなのがどんどん出て来てるみたいな話になって。そうすると今度賃貸の家賃もこれだけで維持できないからって話になってくると、なんかもしかしたら、それで良い方に転べば今まで金持ちだった貧乏だったみたいな価値観も、それがコロッと変わる可能性があるよなーなんて。それってなんかちょっと面白いなーと思ってるんですよね。

豊津 それはだって。幸せって言うのはさ、いくら以上のお金があったら幸せだと思う?

角田 ホントですよね。

豊津 たくさん持てば持つほど不幸せになる人がいるじゃない。

角田 はい。僕ね、昔、明石家さんまさんと楽屋で話してたときに、僕の先輩が「さんまさんはお金持ちなんだろうな〜」みたいなこと言ったら、「お金持ってる量は関係ないねん」みたいな。悩みの量はみたいな。「お前らとは違う次元の悩み抱えてんねんこっちは。」みたいなことをさんまさんに言われたことあって(笑) だからお金の多寡と悩みの量は関係ないんだって話をさんまさんは言ってましたね。

豊津 うん。それはだって、さんまさんだったらプレッシャーあると思うよ。あの位置を維持しなきゃいけないとかさ。ね、もうだってさんまさんのお金で言えばさ、もういいじゃない。一生食べていけるお金はあるんだろうと思うよ。でもさ、さんまさんにとって一生食べていけるってこととさ、お笑いやめちゃうことは違うことだからね。

角田 違うことなんでしょうね。だからそれが生きるってことと、その一生、もしかしたら暮らせるだけのお金を持ってるってことは、実はなんのリンクもしてないのかも知れないですよね。

豊津 そう。そうだと思う。そうするとイーロン・マックスがさ、なんだっけ?200兆円?

角田 今、大富豪の一番なんですよね。

豊津 で、みんなはすごいって言うけど、本人はさ、あの位置をキープするのは大変だろうと思うんだよね。

角田 そうですよね。僕あれですね、僕個人はさっきの豊津さんの質問でいくらあると幸せなんだろうなみたいな意味で言うと、死なないくらい、自分が生きられるくらいのお金”だけ”あるのがむしろいいんじゃないかなと思ってます。それ以上あるとむしろ邪魔なんじゃないかなって。ちょっと足りないくらいじゃないと働かなくなりますもんね。

豊津 そう。人間ってさ、意外と高尚なこと言ってるようだけどさ、なんか今日のサンドイッチが80円で買えたんだけど、昨日の100円だったんで得して良かったなとかあるじゃない。ね。でも20円くらいどってことないんだけど(笑) でも、その時には100円が80円で買えると気持ちが嬉しくなるじゃない。そういうことってなんかあると思うんだよね。

角田 だからそれって、別に800万じゃなくていいってことですよね。80円でいいってことなんですよね。

豊津 そうなんです。で、1兆円が8,000億になってもリアリティないじゃん(笑) ね。

角田 だからそれをアートで言えば、高い絵が欲しいというよりは、自分が気に入ったと思って手に入れた絵が根が上がっていくのはたぶん楽しいだろうなとか、ちょっと思うんですよね。そういうとこありますよね、きっと。

豊津 ありますよね。

角田 それって別に、じゃあ自分の絵が1億円になったってのは、1億円持ってるから嬉しいと言うよりは、自分が好きだなと思ってるアーティストなのか作品が、1億円の価値として認められたということが楽しいんだろうな、というか。そういうことなんじゃないかなと思ったりするんですけどね。

豊津 いや、それはね、自分が発見したっていう。自分はもうすでにね、1億円の価値のものを100万円のときに見つけたんだよっていう。ね。値段ってそういうもんだよ。たぶんそれが楽しいって言うか、わくわくするんでしょうね。みんなね、高くなった絵のことしか話さないからね。それまでに0円になっちゃったものも買ってるんだから(笑)

角田 そうですよね(笑) それって、なんて言うんでしょうね、僕で言うと、テレビを生業にしてるから、普通の人がバラエティ番組見るのとちょっと違う目線でみちゃうんだろうなと思ったりすることあるんですよ。豊津さんが自分で自覚してる普通の人がアートを見るのと違う目線みたいなのって、例えばどんなものってありますか?

豊津 僕のアートの見る目だよね?例えば僕だと映画を観るじゃない。するとこの映画はアートに近いものなのか、これはエンターテイメントなのかを見極めていくわけよね。

角田 観る前から?

豊津 そう。観る前というか観た後。これはアートだと思ったものは歴史に残るものだよ。

角田 ああ〜、それ前も仰ってましたよね。つまりアートかアートじゃないかの違いって、歴史に残る…歴史という時間に耐えられるか耐えられないかみたいなところ。

豊津 すると、バラエティの最初ってさ、「夢であいましょう」じゃないの?

角田 そうですね。そう言いますね。

豊津 ね。ザ・ピーナツがいて、ハナ肇がいて。

角田 クレージーキャッツの。

豊津 それからあの「夢であいましょう」ってスタイルがさ、バラエティの最初だと思うとさ、「夢であいましょう」は残るわな。そうやってバラエティの歴史みたいなのをさ、角田君ちょっとさ、書いてみたら面白いんじゃないの?

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角田 あー、僕、修士論文書いたって言いましたけど、そこまで歴史的なことは書いてないんですけど。というのは、むしろそういう黎明期のことを書いてる本は結構あるんですよね、論文とかは。

豊津 いや、黎明期じゃなくて、問題なのは角田君から観たバラエティ史ですよ。

角田 そうそうそう!で、僕はその論文で書いたのは、まさに平成の30年間で結構テレビが変わってるということを、そんなにみんな、色んな人は指摘してないんですけど、僕はやっぱりその30年間働いてたので、僕目線で書いたのは、実はそう言うことを書いたってことなんです。こういう状況の中で「電波少年」ってものが生まれ、こういう状況下で「さんまのからくりテレビ」が生まれということは書きましたけどね。それを突き詰めていきたいから博士に行きたいんですけどね。

豊津 それのもっと前から、バラエティの一番最初から繋げたらどうかなと思うんだよね。

角田 そうですよね。そうすると、日本のバラエティって日本のバラエティしかない特色みたいなものがあったりして。それってちょっと面白いなと思うのと、あとそれって前回か前々回で話したと思うんですけど、言うてもアートって一人が、個人がやることじゃないですか。ところがバラエティ番組ってやっぱり個人じゃ成立してないというか、結局マニュファクチャというか、工場制手工業。マニュファクチャってちょうど資本主義が生まれたときに今までは個人が家庭でやってたものを工場に集まって、ただまだ機械ができてないから手工業で商品を作り始めた資本主義黎明期のマニュファクチャみたいなものがテレビってものはずーっと残ってるんだよなと思って。ちょっとそれが面白いなみたいなことも論文に書いたんですよ。

豊津 まさにテレビが、僕は子供の頃はね、まだ各家に1台テレビがなかったじゃない。だから該当テレビっていうのがあったでしょ?で、テレビを持つって言うのはブルジョアだったわけよね。だからテレビを見れるっていうのもブルジョワでしかない。そうするとテレビが対象としてる世界はまだ国民のレベルで言うと人数が少なかったと思うね。で、その一番たくさんの人がテレビを見た時があったはずだよね。で、今ピークが落ちてるでしょ?

角田 落ちてますね。たぶん2002年の日韓W杯の日本ロシア戦を超える視聴率は現れないんじゃないかって言われてますね。あれって60何%だったんですけど、BSでも見てる人がいたから…NHKでもBSでもやってたんですよね、だから合計すると結構な数行ってて。それ以上は行かないんじゃないかって言われてます。

豊津 そうするとそこがテレビのポピュリズムの分岐点だよね。そこから次に何がポピュリズムに写っていくかってのがさ、もうそれを超えるものはないんじゃないの?メディアとしては。

角田 それが僕の中では…僕の中ではというかみんなが言ってるのはネットのYouTubeとか、まさにコレ(豊津徳)もYouTubeですけど、動画配信みたいなものなのではないかな〜という風には言われてはいますけどね。

豊津 でもさ、このYouTubeはさ、技術としてはみんなに広がるけど、YouTubeで一番見てる人だって日韓W杯の頂点にはなんないでしょ?

角田 あー…!ただ、まあ、全世界的みたいなやつで言うと何億みたいなPV数があると、いってる可能性はあるかも知れないですよね。

豊津 いっっっちばん、見られているのはトランプのあれ、ツイートかなぁ(笑)

角田 どうなんですかねぇ(笑) トランプのも見られてますし、結構、何億みたいなのはあるんで。何億というかもっとあるんじゃないですかね。だって日本の普通のミュージシャンが上げたPVでも何億とかいってるんで。…それも回数なんですよね。だから本当に、もしかしたら豊津さんの仰ってる歴史に残るものなのか、残らないものなのかみたいなときに、テレビだからとか、YouTubeだからとかみたいなことの関係もむしろ邪魔になってきてるのかも知れないですね、もしかしたら。

豊津 うん。そっちの方がなんか…僕は夢の話で一番印象的なのはね、黒澤明さんが「夢」って映画作って。あれ全然人入らないかったらしいやな。

角田 そう、興行よくなかったらしいですね。

豊津 で、それはなぜかというとさ、黒澤さんはわかってやってたと思うんだけど、黒澤さん個人の夢なんか興味ないんだよ、みんな。そうでしょ?で、黒澤さん分かってるからあの「夢」以外は全部脚本家が複数でやってんだって。橋本忍さんの本読んだらさ、黒澤明さんがやった「七人の侍」も3人くらいで書いてるんでしょ?

角田 なんかコンペみたいにしてるんですよね。普通3人くらい脚本家がいると3つに分けるのに、黒澤さんは同じシーンを3人に書かせるんですってね。で、一番いいやつを選んでくっていう、すごい非情なことをやってるっていう。

豊津 エンターテイメントを作る肝になったわけよね。だから黒澤明の「七人の侍」はたぶんアートにはならないと思う。

角田 そうなんですね?!あれはエンターテイメントなんですね。

豊津 そう。でも「夢」はアートとして残るかも知れない。

角田 ああ、逆に。それの差はなんなんですか?豊津さん言わせれば。

豊津 ……そうねぇ。やっぱりね、問題提起だね。そういう点から社会を見たことがないということと、それからその問題提起は面白いなっていう問題提起ね。例えば大友克洋さんの「童夢」って漫画がある。あれは僕アートだと思うのね。あれは何が面白いかっていうと、超能力を持ったお爺ちゃんを、超能力を持った子供たちが成敗するじゃない。普通はさ、大人が子供を成敗するわけでしょ?こんなことしちゃいけませんって。あれは子供がね、お爺さんをこんなことしては行けませんってやってるんだよね。あれはすごい面白い視点だと思う。うん。それは手塚治虫にもない視点ですよ。だから僕が思うにはそういう漫画の中でもね、不思議な視点を持った漫画がすごく興味があるのね。

角田 それってなんなんですかね、ちょっとさっきのノンレム睡眠レム睡眠みたいな話でいくと。レム睡眠、ちょっと抽象的なものの方がアートってことでもないんですか?

豊津 いや、アートっていうのはそのレム睡眠の一番深いところに触れるかどうかだと思おう。

角田 それってすごい具象的だってことですよね?

豊津 違う違う違う、レム睡眠の方が浅いんだよ?

角田 あれ?ノンレム睡眠の方が浅いんですよね?

豊津 違う、ノンレム睡眠の方が深いんじゃないの?

角田 あれ?ごめんなさい(笑) レム睡眠の方が深いんじゃありませんでしたっけ?

豊津 (笑) 違うよ、確か僕が調べたらね、ノンレム睡眠の方が深いのよ。レム睡眠の方が浅いんじゃない?まあ、ノンレムって言うと分からなくなるから深い睡眠の方ね。深い睡眠の方がアート性が高い。で、浅い睡眠の方がエンターテイメント。そういう区分けね。と、僕は簡単には思ってるんだけどね。

角田 そうですね。ああ、そかそか!レム睡眠が浅いんだね。はい。

豊津 レム睡眠の方が浅いでしょ。

角田 はい。で、ノンレム睡眠の方が…えーと、あれ?あれ?さっきのオープニングで話した話がだんだんごっちゃになってきちゃいました。えぇと…?夢を見るのはどっちでしたっけ?両方みるんだけど覚えてる方が…

豊津 覚えてるのがレム睡眠。

角田 そうですね、はい。

豊津 浅い睡眠ね。ノンレム睡眠が深い睡眠で、あんまり覚えてない。

角田 ということですね、はい。で、アートはレム睡眠の…あー!ってことは、これ面白いですね。つまりレム睡眠の一番深いところというか…浅いとこ?それがアートってことですか?

豊津 んん?浅い睡眠がエンターテイメントで、深い睡眠がアート性が高い。

角田 うん。だからレム睡眠はアート性が高いってことですね。違うノンレム睡眠は(笑) ごっちゃになっちゃった(笑) ノンレム睡眠はアート性が高いってことですね。

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豊津 そうそうそう。それでなぜそういうことを言うかっていうとね、浅い睡眠っていうのは一応フロイトの学説によると昼間のストレス、色んな昼間のストレスとかもしくは自信喪失とかっていうものを回復するために浅い状態で夢見るらしいんだよ。だからそこで僕たちは自分の気持ちのバランスを保ってる。で、深い睡眠はそうじゃなくて、もっと存在論的なものかも知れない。

角田 そうかも知れないですね、今の話で言うとね。面白いなぁ。

豊津 ところがもう近代はあまりにも僕たちが自然性を失っちゃったから、深い睡眠が、見ることがなくなってくると、アートによって深い睡眠を学習してるのかも知れない。

角田 ってことは、やっぱりアートって夢なんじゃないですか?そういう意味では。

豊津 そう。なぜかと言うと夢っていうのは実態がないじゃん。ね。不在ではないけど実態はないじゃない。でもこの世の中に夢は形としては、物としてはないからね。意識しかないからね。だと思うんだよね。

角田 だから…そうか、アーティストが作品を作るってことは別に夢をイメージしてるわけではないんだけど、アートという存在自体が夢とも言えるんですね。

豊津 そう。だからアーティストがなぜアートを作るかというと、自分個人を超える何かを見つけることだよね。だから例えば僕も角田君も集団的な、無意識の中に集団がいるわけじゃないですか。これがあの〜あの人、ユングのせつなんだけど、僕たちは集団の中に入ってるから、その集団の中のものが僕という体を通して出てくるっていう説がある。すると、アーティストは一番奥底にある集団の意識を作品に具現化してる可能性があるわけじゃない。それは人類史にとって大事だからね。集団は常に継続はしてるけど変化してるんで。それぞれの時代の集団の意識みたいなものを真相から引っぱりだしてくるのがアーティストの役割。

角田 そっか。だから人類全体というか集団全体の夢とも言えるんですね、アートってね。それ面白いですね。だからその時代その時代のやっぱり傾向というか流れみたいなものが作品に投影されるんですね。

豊津 投影される。でもそれは一人の人間の肉体を通してしか出てこない。

角田 出てこないんですよね!集団の夢なのに、一人の作業でしか出てこないんですよね。面白い!

豊津 それえがエンターテイメントと違うとこだと思う。

角田 面白いっすねぇ!あの、ちょっと話を変えると。これだから夢とアートというタイトルにしたのは、という関係性みたいな話が1個と、単純にアートの将来っていう意味で夢っていう話も議題になるなと思ったんですよ。今度どういう風なアート業界というかアート関係が将来こうなっていくといいという、豊津さんの夢もお聞きしたいなーと思ったんですよね。

豊津 これは、あの、今までね、夢はポジティブだったわけよ。社会は夢のある方向に行くということになるんだけど、これからの夢はネガティブになっていくってことを考えなきゃいけない。

角田 なるほど!ドリームからナイトメアになって行くわけですね。

豊津 そうそう。

角田 それは何故なんですか?

豊津 それは資本主義が終焉に向かってるから。これから金持ちになるとかっていうのがネガティブなことになっていくわけよね。だから単純にさっき言ったお金が儲かれば幸せになるっていう、そういう図式がなくなっちゃったわけよ。むしろお金がある方が不幸せになるんじゃないかと。離婚率が高まるんじゃないかとか。家族が崩壊するんじゃないかとか。お金を儲ければ儲けるほどネガティブなことが起こってくるわけよね。そうすると僕たちはもうポジティブなことをやらない方が幸せなのかも知れないっていうのが今度、地球温暖化の世界の、2030年問題じゃん。僕たちが子供の頃ポジティブに考えてたことを、例えば家電製品を家に全ばう揃えるっていうのはもう無理なんじゃないかとかね。ネガティブな方向に向かってる夢。

角田 それ、ちょっと面白いですね。あの、僕が思うのはコロナの前からそうだったと思うんですけど。インフルエンザでもなんでも良いんですけど、感染してたら陽性で、感染してなきゃ陰性じゃないですか。で、それって子供のときから陰性だ陽性だってことは知ってたけど、英語を習うと陽性っていうのはポジティブで、陰性ってのはネガティブじゃないですか。つまりそういう病原菌以外はポジティブっていうのはポジティブなことだし、ネガティブっていうのはネガティブなことを意味してるのに、ことコロナとかウイルス系になると、ポジティブってことが悪くて、ネガティブってことがいいってことになるじゃないですか。

豊津 ああ、それはいい発見だね!

角田 そうなんですよ!ってことは、今の資本主義の終焉が来たからじゃんって話と、この終焉の、本当の終焉くらいの時にコロナウイルスがこんだけ流行してるのってのは、実はシンクロしてる可能性ありますよね。

豊津 いやぁ!確実にシンクロしてるね。

角田 してますよね!だから今まではポジティブな方がポジティブで良いだったんだけど。「ああ!ネガティブで良かった!」みたいなことをこのコロナウイルスで今僕たちは思ってるってことは、今、豊津さんが仰ったように資本主義もネガティブな方が良かった!みたいな。ね、時代になってるじゃないか?の証かも知れないですよね。そう考えたらすごい面白いですね。

豊津 面白いね。あの、私の世代だとさ。家に帰るとすぐテレビつけるんだよね。テレビが点いてるってことが僕にとって安心なのよね。ところが家内は僕より10歳以上下だから、彼女はテレビを点けないっていう選択をするの。ね、だから僕の10年、10歳の違いで、彼女はネガティブなことを選択してるわけ。これが面白いなと思って(笑) で、僕の娘たちはもっとネガティブかも知れない。

角田 テレビがなくてもいいかも知れないですもんね。

豊津 そう。なくてもいいかも知れない。自動車は要らないとかね。だから若い人たちが今ネガティブになってるってことは、ある意味では人類の未来は明るいかも知れない。

角田 そうかも知れないですね。だからなんか最近の若者は覇気がないとか言ってるけど、違うのかも知れないですよね。

豊津 そう。覇気がないことが必要な時代になっちゃったの。

角田 うわぁ〜!すーごい面白いですね。そうかぁ…そうかも知れないですね、本当に。だから日本が経済が停滞して貧しくなってきたんだよってことは明らかにネガティブなんだけど、ネガティブなものをポジティブに変換しようというよりは、ネガティブだから、もしかしたら地球環境が浄化されるかも知れないですもんね。あぁ〜面白い。

豊津 だから一人一人がネガティブに生きることがね、全体のエネルギーを使わないで済むっていうさ。そのために地球は温存されて、僕たちの生存期間が長引く。そういうことになってんじゃないかなーと思うんだよね。

角田 いや、すーごい面白いです!そうなった時にさっきのアートと資本主義って意味で言うと、一方でアートって資本主義の超具体化されたものだって豊津さんの自著でも書かれてるし、事実そうなわけですよね、値段の付き方とか。そうすると、そういうところが資本主義の終焉に向かってくると、アートってどうなって行くんですかね?値付けみたいなものが無意味になって行くんですかね?

豊津 そうじゃないの?アートは高くなればなるほど社会のネガティブさに沿って行くだよ。ね。今日銀が刷ったお札が山のようにあるわじゃないですか、金融緩和で。この山のように刷ったお札をどうしたらいいか?ってことだよね。すると、設備投資に回すとさ、これ以上歯ブラシ作ってどうすんのか?って話じゃない。ね。で、すでにインターネットオークションを見てると、もうものはこれ以上作らなくてもいいって価格で売られてるよね。

角田 だし、実際メルカリとかがすごいブームになってるのって、もう新しいものじゃなくていいってことなんですよね。

0:50:00

豊津 そう。で、もう僕たちがたぶん生きてる限り使い勝手がいいものは全部揃ってるんじゃないか?と。食料品以外は。ね。だってインターネットオークションでさ、うちも家具買ったんだけどさ。あの〜…ユ、ユ…うん?ユトリだっけな?なんだっけ?

角田 ニトリ。

豊津 ああ(笑) ニトリ!…を、3万円の棚がさ、新品で千円で買えるの(笑)

角田 もうそれでいいんですよね。

豊津 そう。すると当然デパートなんか行かなくなるわな。

角田 だってそれってニトリの3万円だって安いわけだから。デパートだったら、なんだったら30万してたってことですもんね。

豊津 そう。ね、そうするとさ、何が起こるかっていうと、両極端しか残んないんだよ。資産性の高いブランド品ね。例えばエルメスのバッグだったら。

角田 1つ30万ですよね。

豊津 でもユニクロは下取りできないじゃん。ってことは、日本が生き残るためにはものすごくブランド品の高いものを作るか、もしくは今あるものを使い勝手で回すかどっちかだよね。だからそういう社会になるとネガティブになるじゃん。そうすると生産量が減るじゃんな。すると資源を使わなくて済むっていうことになるじゃない。

角田 そっか、ネガティブになれってことなんですね。

豊津 ところがさ、絵画がどんなに高くなってもさ、普通の庶民には関係ないじゃない。ね、不動産が高くなると困るでしょ?だって僕たちの家賃も上がるからさ。絵はいくら高くなっても一般に暮らしてる人には影響あたえないじゃない。

角田 そっか。そうだ!

豊津 だから絵はどんどん高くなって、金持ち同士が売り買いした方がいいんだよ。

角田 ぉお面白いっすね!そうかぁ。はぁ〜。

豊津 これ、画期的でしょう?この発想は。

角田 画期的です。すーごい面白いです。あの、ベーシックインカムって言ってるよりむしろ新しい気がします。で、金持ち同士がすごい高い値段でアートをやりとりしてても、それでいいってことなんですよね。だって庶民の食いっぱぐれには関係ないから。はぁ〜、本当になぁ〜。

豊津 金持ちはリスクヘッジ考えなきゃなんないでしょ?金を持ってるから。でもさ、銀行に預けてるお金はさ、一千万円しか補償してくんないんだよ。100億持ってても。ね。すると株もどうなるかわかんないでしょ?不動産もわからないじゃない。そうすると資産のレンジを広げるってことでしょ。だからそういうような社会を目指すべきだと僕は今思って、色んなことやってんの。

角田 そうか、ということはネガティブな世界にむしろアートは大切ものなんですね。

豊津 そうなんですよ。

角田 面白いですね、だって逆に言えばポジティブな世界でもアートは大切だったんですもんね(笑)

豊津 そう(笑)

角田 そっか。だからむしろ今後、さっきの土地とか株とかみたいな、なんだったらお金が暴落してくとかそうなっていくとすると、本当にアートだけが唯一の価値になる可能性ありますね。

豊津 で、よく考えてみなさいよ。株なんていうのはさ、この世の中に生まれて何年?

角田 ん〜、だから、資本主義が生まれてからだから、200年ってところじゃないですか?

豊津 大したことないでしょ。日本の国内で言うと渋沢栄一が法人作ってからじゃない。

角田 だから150年とかそんなもんですよね。

豊津 そうそう。アートって正倉院の時代からあんじゃないの?(笑)

角田 (笑) だから、えーと、750年とかだから…?もう、1500年くらいあるってことですね(笑)

豊津 そうそう。で、それをよく考えるとさ、アートは資本主義だろうがなんだろうが残ってきたわけでしょ。エジプト時代から。

角田 そりゃそうだ!疫病があろうが飢饉があろうが残ってきてるんですよね。戦争があろうが。当然それ自体で消失しちゃったものとかはあったとはいえ、でも残ってますよね。

豊津 ということは、アートは資本主義がなくてもいいわけよ。所有形態が変わってるわけだから。

角田 アートというものの価値自体は、むしろそういう資本主義なのか、それ以外のイデオロギーみたいなものに変容してるもに、価値は変わってるのかも知れないんだけど、見た目の価値しか変わってなくて、本質的なものは変わってないてってことなんですね、きっと。

豊津 そうなの。

角田 うわぁ。面白いな今日も。はっはっはっはっ!!すーごい考え方が変わりますね。

豊津 そう。だからいつもさ、この5回目だけさ、あなたが提案してくれるたびにさ、考える機会が生まれるじゃない。それがすっごい僕にとって楽しくてさ。今回だって夢っていうテーマを教えて頂かなきゃさ、ネガティブな夢なんてかんがえないよね。

角田 考えたことないですよね。いや、ネガティブな夢って聞くこと自体はネガティブじゃんって今日の今日まで思ってましたよね。ところがネガティブな夢って全然ネガティブじゃないじゃんってことですもんね。これってすーごい面白い価値の転換ですね。

豊津 だからたぶん、今ちょうど端境期に来てるんじゃないかな。

角田 そうですね!いやぁ、だから僕ね、こう言っちゃうとあれなんだけど、この時代、2020年にオリンピックをやろうと言ってた年にコロナが蔓延したのって、何か価値の戦いが挑まれてるんだなってすごく思うんですね。面白いなというか。そう、オリンピックに使おうと思ってた何千億円を何に使うか?っていう判断だけですら、なんか人類に突きつけられてる剣というか、そんな感じするんですよね。

豊津 でも実際にはあれじゃないの?リモートでオリンピックやるでしょう、これ。

角田 どうなんですかね。いろんな説がありますよね。

豊津 だって放映じゃない。

角田 あの、今日はちょっとある社長と話してたのは、ということでやれますけど、それって興行的には失敗じゃないですか。

豊津 どうして?

角田 観客入らないじゃないですか。

豊津 観客入れる必要ないじゃん。

角田 うん、入れないでやるってことが興行としてそれでいいって話になるのかな?って。興行ってのはあれですよ?観客とも言ってますけど、経済効果みたいな意味ですけど。それを全部なくてもやれる効果があると判断するんですかね。

豊津 どっちを選ぶかね。やらないで、オリンピックを無くして、全て無くした方が経済効果あるのか?放映でもやった方が経済効果あるのか?っていうどっちかの選択でしょ、これ。どっちを選ぶだよね、経団連は。政府は。

角田 経団連は、政府は、ってのもあるし、僕自信はやっぱりバイデンに変わったから、急に止めるみたいな話が出てきたりとか。つまり日本政府って早く止めるなら止める、やるならやるをはっきりしろってずっと言われてたけど、単純にアメリカが決めてないから決められないっていうだけのような気がして(笑) まあアメリカがっていうか、アメリカの放送業界とかそういう権利系の、政府がというか、って言うと、究極的にはアメリカがなんて言ってくるかだなーなんてのは思ってるわけですよね。それってトランプだったらこうだとか、バイデンだったらこうだみたいなところが若干あるような気がするんですけど。

豊津 いや、僕ないと思うんだよ。例えば日本がね、もうオリンピックやるって決めちゃうじゃない?するとアメリカは政府あげて見ちゃいけないっていう制作を取れないでしょう?ね。だからやるって決めた方が勝ちなんだよ。そうするとヨーロッパもどっちみちここに来るには観客からすると大した量じゃないから、テレビ見るじゃん。僕たちだってオリンピックって、ほとんど国民はテレビで見てるわけでしょ?映像で。だからやるって決めちゃった方がいいと思うんだよね。で、人入れなくてもいい。

角田 ああー、確かにね。ただそうするとあれじゃないですか?実際選手を派遣しないとかいう国が現れないんですかね?

豊津 いや、やるって決めたら来るよ。

角田 来ますかね?

豊津 うん。だって今度は国がさ、日本がやるって言ってるのにさ、選手は行きたいじゃん。それどうやって止めるの?

角田 あれ、なんでしたっけ、去年の夏とかはカナダとかでしたっけ?カナダは不参加にしますとか表明してましたよね?ちょうど1年延期って決まる前に。

豊津 じゃあもうカナダは絶対でないの?

角田 だから、えーと、いや、1年延期の前に確かカナダとかが選手を派遣しないって言ったから、結構欧米がそれに賛同して、安倍総理が1年延期って言ったんですよね。だから観客って問題もあるんだけど、ヨーロッパとかの市民社会がちゃんとした国は選手を派遣しないって言ってくるんじゃないかなーと思いますけどね。

1:00:00

豊津 それだったらそこでやめればいいじゃない(笑)

角田 そうそう。だから僕は結局、結局僕もやった方がいいか、やらない方がいいかみたいな話って、僕個人としてはニュートラルなんですけど、単純にどっちを人類が取るかって、この資本主義の終焉という話の未来を占う1個のサイコロみたいなイメージだなって僕は思ってますけどね。あともう1個は、個人的には止めた方がいいやって言ってる人が意外に文化人に多いんですけど。なのに、一方でライブとか止めてて、こんなに苦しんでるのなんとかしろって言ってる人が、スポーツ競技だから止めろと言ってるのって、ちょっと矛盾してるなーって個人的には思ってて。じゃあスポーツ競技だから止めろって言ってんだったら、ライブハウスだって止めればいいじゃんって話になっちゃうから。なんか人が関わってて、自分が関係なから政府がやってて何千億も使ってるからとかじゃないくて、基本は止めるって判断ってそんなにしない方がいいんじゃないかなって僕は個人的には思ってます。ただ、実際それで自分がコロナに罹かっちゃったら嫌だなとかっていうすごい小市民的な(笑) ことも思うなーとか思ってますけどね。

豊津 でもさ、僕も角田君もさ、オリンピックやるとしても行かないでしょ。

角田 僕、本当はね…。僕、オリンピック開会式マニアなんですよ。僕2004年のアテネのオリンピック、SMAPの中居正広さんとか大竹しのぶさんとかとギリシャまで行って、開会式、超楽しかたんですよ。それ以来、開会式って結構アーティスティックなんですけど、日本で開会式ってやると実況中継とか入っちゃうじゃないですか。ところがあれショートして本当は楽しいんですよね。エンターテイメントとして。で、ちょうどギリシャでやってた時にはビヨークがいきなり歌い始めたりとか、その後のトリノオリンピックの時はF1のレースカーがギューッて氷の上でスピンして五輪マーク描いてたりしたじゃないですか。だからあれ以来、オリンピックの開会式っていつもブルーレイとかDVDの、売ってるんですよね。北京とかロンドンとかみんな買ってるんですよ。ロンドンもポール・マッカートニーがライブしたりとか、すーごい楽しいから僕個人的にはオリンピックの開会式マニアなんですよ(笑) 言うても開会式ってマスゲームなわけじゃないですか。だから観客いないでやればいいじゃんって一方であるんだけど、僕としてはマスゲームをちゃんとしたものが観たいなっていう、ショーが観たいなっていう、人間の。っていう思いはあります。だから北京オリンピックなんて何百人でカンフーみたいなの一斉にやってたじゃないですか。あれとかアートとしてすごいかっこよかったし。あれですよね?蔡國強さんでしたもんね?あのデザイン。

豊津 そうそう。花火とかね。

角田 あれとかもすごい面白かったなーと思ってるんで。個人的には中途半端に無観客でやるんだったら、やらないでちゃんと盛大なやつやって欲しいなと。個人的には思ってますね。

豊津 それはだから逆、さっき言ったネガティブな開会式やったらどうだろう(笑)

角田 そうなりますよね、観客だれもいなくて、すごい短縮化されたものでとか。

豊津 どう考えても北京のオリンピックより面白いものはできないもん。

角田 (笑) そうですね。

豊津 ね(笑) あれを超えるものはたぶん無理だと思う。オリンピックとしてはね。

角田 ギリシャのオリンピックの会開始式が本当に面白かったのは、ギリシャだから、いきなり、なんかね、アトムが来るんですよ。原子。で、アトムが出てきた箱みたいなものが分かれて行って、それを全部人がやってるんですけど、そこから人類の歴史が始まったみたいなものを、まさに抽象表現から具象が生まれてくるみたいなことをやってて。すぅーごい面白かったんですよ!それってなんかアテネの方じゃないって言ってた…ヨーロッパのどこかの、まだ若い30歳くらいの人が助監督やったって言ってましたけど。それがすごい面白かったんですよね。

豊津 なんか、そういう面白いことがあるんだったらね。創造的だよね。

角田 だからそれがね、今後のコロナでどうなるのか?みたいなことは面白いですし。ただアートいうのはそれはそれでも、人類と共に流れて行くんだなみたいなのは面白いですね、今日の話でいうとね。ネガティブだろうが、ポジティブだろうが。

豊津 そうそう。だってもうグローバルなものを閉じるわけにいかないからね。それからもうグローバルにネガティブになって行く以外、救う方法もないじゃん。この国だけネガティブで、こっちがポジティブってのはもう無理じゃない。

角田 だって石油が足りないわ、やれ原子力だみたいな話になっちゃいますもんね。

角田 だからみんな一帯に全部収縮するっていう方法を取らざるを得ないから。なんかあそこの真ん中に、今の国立競技場の真ん中に吸い込み口があってさ、(笑)そこへ全部吸い込んじゃうようなさ。

角田 ああ、ネガティブなね。シュ〜みたいな(笑)

角田 関根伸夫 さんの「位相 – 大地」のさ、穴みたいな(笑)

角田 穴だけがあって(笑)

角田 そうそう。そういうぐらいのオリンピックやったらさ。

角田 そこまでのアートな開会式だったらそれはそれで面白いですね!本当に。今日はそんな感じでございますかね。また今日もあっという間でございましたが。

豊津 え?もう1時間経っちゃったの?

角田 もう1時間超えちゃってます。本当に話が尽きない。9:05です今。

豊津 ぇぇ…、うそ(笑)

角田 また来月よろしくお願いします。

豊津 はい、また!

角田 今テーマ考えたんですけど、お金とアートにしません?今度は。

豊津 ああ、いいですよ。お金とアート。

角田 お金とアート、がっちり話してないじゃないですか。だから今回は夢とアートだったんで、次回はお金とアートっていう話を。

豊津 で、最後は夢とお金?(笑)

角田 夢とお金(笑) そいういうことでございます!はい。じゃあ一旦配信は切りますので。はい。じゃ一旦配信は止めます。みなさんどうもありがとうございました〜!失礼します〜

豊津 ありがとうございました〜

角田 ちょっとそのままお待ち下さい………


文字起こし後の文字寝かし

 漫画で読んだのかな?多くの人は美術館に行って作品を見るより作品の隣に掲示された説明を見てる時間の方が長い。作品を見ないと意味がないのにって話だったと思うけど。それって半分合ってて半分間違ってるかも知れないな。確かに説明を読んでる時間の方が長いと思うから、もっと作品をよく見ることも大事だと思う。だけど、作品をいくら見てみても、それだけで何か感じられるほどの感性を持ってる人はそうそういないから、美術の歴史と作品の解説を知らないというのは、半分損してるのかも知れない。
 どうして解説がないと感動できない、つまり感覚でアートを捉えられないとダメだって思えるんだろう?やっぱり普通の人はアーティストの独特な感性を無意識にすごいと思ってるからじゃないのかな。その感覚に憧れがあるとか、もしかしたら子供の頃に、小4くらいで感覚を無くした喪失感が残ってて、思い出したいと思うのかも知れない、アートを目の前にしたら。
 次に行く美術展が何になるか分からないけど、説明はちゃんと読んで、もし解説してくれる人の話が聞けるなら聞いて、よーく見よう。

 前回の話にも出てきたアシスタントプロ。いくら感覚が優れていても、それをどう伸ばすかは本人まかせよりアシスタントプロがいた方がいい。早く走るためにはロジカルに考えることも必要だし、シューズメーカーまで入れてるとって話は頭叩かれた感じがした。インタビューで応援してくれた方々にお礼を言う選手のその相手が私には全く見えてなかった。寿司特05で話してた芸人がネタをやることは手段か目的かって話と、うまく言えないけど繋がってるところがある気がする。
 給湯流茶道の半休さんは、なんでもジャニーズか会社に例えて話してくれるけど、これを会社で考えるとトーナメントプロの役割の部署とアシスタントプロの役割の部署がある。稼いでるから、広告塔だから上で、社内の雑務だから下って思うのはやっぱり違うんだ。

 夢といえば、私が思い出すのは攻殻機動隊2巻の最後。夢を見るか聞かれれて夢のことを「実現可能な努力目標」と「ただ待ちすぎる理想」と答えるシーン。そういえばのこの夢はどちらも起きてる時に見る夢の話をしてたんだな。寝てる時に見る夢もいい夢とナイトメアに分けるとするなら、夢って結構多くの意味がある。正夢、逆夢、悪夢、夢幻、夢想、白昼夢。夢現なんてレム睡眠あたりのことかも。

 それから豊津さんの「集団の中のものが僕という体を通して出てくる」と言う話。これは私がお世話になった自由大学の発展途上人学にアカシックレコードを見てくれる人がいて、そのことを思わずにいられない。宇宙にあると言うアカシックレコードには全ての過去から未来までが記録されていて、その話はなんだかICUC#020のお話しのボルヘスの図書館を連想する(夜間飛行を読み終わったと思いつつ買ったのにまだ読んでない…)。電球だったかな?まだ地球の裏側と同時に連絡なんて取れない時代に、複数の人が互いを知り得ない場所で、時を同じく電球を発明する。しかもその構想はどちら様も閃いた的なことだというのは、特定の人がアカシックレコードにアクセスでき、そこからもたらされたからと言う話も聞いたことがある。豊津さんが言うアートというのは歴史に残る転換点だと言う話で、一層肌がチリチリする感じがする。

 法律で権利を認められた集団を法人というけど、集団という人格の過去から未来もアカシックレコードにある?そこへアクセスできて、世に表現出来る人がアーティスト?それってちょっとシャーマン的な雰囲気もある。豊津徳04では一人であることがアートという話もあったけど、集団の夢なのに一人の作業でアートというのも、集団やアカシックレコードにアクセルできる「感覚は他人と共有できない」とも言えるかも。アートのスタートである宗教となんだか話が近くなった。

 ポジティブなことがネガティブになる話は分かるんだけど、言葉の意味が反転してポジティブがネガティブになり、ならそれはネガティブなんじゃない?じゃあネガティブって言うともう一回反転してポジはポジ、ネガはネガになり…、うん?あれ?どっちがどっちで…と混乱する(笑) でも、例えば昔は夜に爪を切るのはネガティブだったけど、今はそんな感覚はないとか、なんでもきっちり意味が反転するというより、意味も睡眠の深さみたいに、上下か左右か分からないけど、ゆらゆら動いていくんだろうな。


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