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日々の壁打ち:GPTsに、2024年1月一ヶ月間の米国市況分析をさせる

2024/03/02更新:2月の予測部分を公開し、以後無料といたします。

ChatGPTで、自分のためにMy GPTsを開発すると、とても面白い体験を味わえる。このnoteは、My GPTsとの付き合い方の記録である。

このnoteのポイント

このポストは、2024年1月の米国市況をChatGPTによるカスタムGPTs、"U.S. Market Summary"で分析した内容を紹介しています。その主な見どころは以下の通りです:

  1. AI技術の応用: ChatGPTをカスタマイズして特定の分析タスクに適用する方法を探求し、AIの活用範囲を拡大しています。

  2. 詳細な市場分析: 米国市況の月次分析を通じて、主要な市場指標の変動、経済イベントの影響、および市場のセンチメントの変化を捉えています。

  3. データ駆動型アプローチ: 実際の市場データと経済指標を基にして分析を行い、具体的な数値を用いて市場の動向を評価しています。

  4. 将来展望の提供: 分析を基にして短期的な市場の展望を提示し、投資家や市場関係者に有用なヒントとなる情報を提供しています。

  5. 教育的価値: AIと市場分析の組み合わせについて、実践的なケーススタディを実例として提供しています。


はじめに

2024年の1月も昨日で終わり、本日は月も改まって2月1日である。
毎年1月は、米国市況にとっては本年の行く末を見るのに重要な月とされる。実際、今朝のBloombergの記事にもこのように書かれている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-31/S84YKMT0AFB400

アメリカ経済は、毎月定期的に発表される経済指標と、これまた定期的にイベントが発生する政治日程に大きな影響を受けやすい。特に今年は民主党バイデン政権にとってもとても重要な大統領選挙の年。その年の始まりである1月の各市況の流れを振りかえることは悪いことではない。

U.S. Market Summaryのスタート画面

使用するGPTsは、自分が日々使っている『U.S. Market Summary』である。これを1月に1回、それまでGPTs自身が分析してきた日々の米国市況まとめを1月分インプットとして与えてやり、全部で5ステップに渡る分析をおこなうのが、『期間分析モード』である。

分析する対象のデータについて

期間分析モードの分析対象になるのは、まずは一ヶ月分の日々の米国市況のまとめである。これは『U.S. Market Summary』自体がアウトプットしたもので、今回の場合なら2024/1/2~2024/1/31までの21日間のデータがある。テキストにして約57.8KBぐらいのサイズになる。この他に、普段から『U.S. Market Summary』に株式、債券、外為、石油、金の5市場に関して主要指数をCSVで出力させたテーブルが別途あるので、これも与えてやる。

もちろん1ヶ月ぶんの市況データにも同様の指数データは入っているが、こちらはどちらかといえば日々のエピソードを見るためのものであり、そこからいちいちデータを抽出するとなると、ファクトチェックもやりにくい。なので、別途扱いやすいCSVデータも用意してあるという次第だ。このCSVファイルの作成も『U.S. Market Summary』が行うタスクのひとつだ。
では早速分析をさせていこう。

STEP 1: 分析期間における米国5市場の主要なトピックの要約

妥当な分析である。今年の1月は、昨年の12月末の株式市場の調整を受けて始まったので、第1週めは弱含みで始まった。その後、中盤にかけて大きく盛り返した後で、最終日のFOMCの発表を受けて、利下げ期待が大きく下がり、各指数の値も下げたという展開である。しかし1月全体としては、主要指数の値も悪くなく、何度か日中高値を更新した。最終的にも、ダウ、S&P500、NASDAQの全てがプラスで終了という結果になったのは、次のSTEP 2での分析でもわかると思う。

いずれにしても、今の米国市況は「いつFRBがFFRの切り下げを開始するか?」が一番の関心で、それを中心に日々経済指標を確認しては、期待が膨らんだりへこんだりしている状況であるのは間違いない。同時に2月以降盛んになる各企業の決算も大きく影響を与えている。

STEP 2: 分析期間における米国5市場の各指数の変化の比較

STEP 2は見やすいように表形式で出させるようにしている。そのほうが確認もしやすいし、扱いも便利だからだ。

参考までにその他の指標もみてみると、同じ期間での変化率%はこんな感じである。

季節的に強い傾向のあるラッセル2000が弱く、DJ Transportationも弱い。NASDAQの中でもさらにハイテク銘柄が強いNASDAQ100はさらに強いという状況。ちなみに最強は日経平均株価であった。

STEP 3: 分析期間における各市場の週単位での変化状況の総評

続いて、同期間の週単位での動きを分析させる。

改めて、原油先物価格が大きく動いたことが指摘されている。これは、紅海でのフーシ派の活動激化の影響だろう。STEP 1で「中東情勢の影響」と指摘されていたのがそれだ。

ここまでのまとめ

『マスターマーケットは躁鬱気性だ』という言葉が株式市場にはある。日々の経済市況の報道には、ミスターマーケット自身の躁鬱気性が色濃くでている傾向があり、それにどうしても人は引っ張られてしまう。そこにGPTsによる定形の分析を入れてやり、その蓄積された結果に対して、さらに全体としての傾向を見るというアプローチは、「予測」とは言わないまでも、「傾向」を見ていくにはとても有効な事だろう。
今後も折々に触れていきたいと考えている。


なお、次のSTEP 4以降は、現在の状況を元にGPTsが予測した未来の展開を含んでいるので、注意喚起も兼ねて「有料」とさせていただこうと思う。

元々未来予測なんてヨタ話のひとつにすぎないものだ。そこから何かを学び取るにしても、それは読む人の受け止め方次第だし、だったら「コーヒー一杯程度の投げ銭を払って話を聴くぐらいなら構わないよ」という奇特な方にのみ読んでもらいたいと考えるからだ。以下に書かれていることを読んだ結果については、あくまで読む方自身の自己責任ということでお願いしたい。

有料部分の紹介を兼ねて、このnote全体の総評をChatGPTにやらせてみた。
結果は以下のようなものだ。

・精度の検証については、今後も事例を待たないといけないだろう。少なくとも数年は続けないと、あまり意味のある結論は出ないと思う。
・ブラックスワンに関しては、「おまけ:自分の使い方」として追記をした。AIによる未来分析を『効率的市場仮説』と結びつけて考える、ということである。その場合でも、最終的に判断をするのは人の側であって、AIではないと自分は考える。

STEP 4: 次の週に起こりうる変化の推測

ここからは、現在の状況を元にしての未来の推測ということになる。
GPTを含むLLMに未来の予測をさせることに意味があるか、という意見もあるが、自分としてはこれは『歴史は決して繰り返さないが、韻を踏む』という格言のとおりぐらいに考えている。「過去の歴史の中から韻を探させる」という意味では、LLMは人以上の能力を持っていることだろう。
STEP 4の出力は以下のようなものだ。

1/31に発表された、FRBパウエル議長のメッセージは以下のようなものであった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-31/S84YKMT0AFB400

つまり「利下げは急ぐつもりはなく、金利は今の水準に長い間高止まりする可能性がある」というものだ。これは、直近の「3月にFRBが利下げを開始する可能性は50%以下だろう」という見通しと一致している。

上のSTEP 4の分析結果もそれを支持するもので、今後もFRBがインフレの推移を注意深く見守りつつ、いつ利下げに踏み切るかのタイミングを測る展開が続くとみている。その結果が他の市場にどのように波及する可能性があるかは、よく描かれていると思う。

一方で、本日のBloombergの記事内にあった記事としては、

これは気になるところである。このNYCBとは、昨年の3月に破綻した米地銀シグネチャー・バンクを買収して、勝ち組になったと思われていた地銀である。それが「予想外の赤字決算を出し配当を引き下げた。商業不動産が次の波乱要因となる可能性を示す前兆だとして、投資家の懸念が広がっている」というものである。詳しくはこちらの記事をみるとよいと思う。

5%を越える高金利水準が、ジワジワと米国経済の足元を揺るがしているのは間違いない。この状況がいつまで続くのかが、今年の米国市況のテーマだということだ。

STEP 5: 分析期間を通じて注目すべきトピック

最後に、1月通期の分析から、次の2月期に対してどのような点に注目していけばいいか分析させてみた。その結果が以下である。

これまた妥当な結論である。これを頭に置いて、日々の市況を見ていけば、大体の動きはわかると思う。

最後にプロの分析も含めて、GPTsが導き出した分析結果を考察させる

最後に、以上のSTEP4、STEP5の分析結果を、米国のプロが出した2月市況の予想レポートと比較して評価させてみる。元のプロによるレポートはそれ自体が有料コンテンツなので、ここでは出せないが、そこでの結論とGPTsが出した結論との相互比較である。検証としては申し分ないと思う。

こちらを見るとプロによる予測とも整合性が高いようだ。2月は、1月中の市場の高揚も一旦落ち着き、場合によってはそれが買いタイミングに繋がる可能性もありそうだ。その辺りは注意深く指標を見ていくといいと思う。

GPTsがまとめる2月の米国市況の注目ポイント

最後にこれら全ての分析を踏まえた上で、2月の米国市況について注目ポイントをGPTsにまとめさせてみた。

どうだろうか。少なくとも、世の中に溢れるインフルエンサーよりは、冷静な予測を出しているような印象はある。

とはいえ、あくまでこれらはGPTsによる過去に基いた「韻を踏む」予測に過ぎないので、頭のどこかに置いておき日々注意する、という使い方が適当だろう。

おまけ:自分の使い方

最後におまけ代わりに、GPTsによる予測を自分はどのように活用しているか書いておこう。つまり『あくまでこれらはGPTsによる過去に基いた「韻を踏む」予測に過ぎないので、頭のどこかに置いておき日々注意する』とはどういうことか、ということだ。

自分としては、GPTsの予測範囲は、いわゆる「市場は織り込み済み」の情報に当たると考えている。これはいわゆる効率的市場仮説』に基づく意味で「織り込み済み」ということである。しかし市場が効率的であるかどうかは、あくまで経済学的な動学的調整過程での定常状態における話であり、効率的状態に至るまでにはタイムラグがあると考えるのが、実証系の経済学徒なら考えるべきことだ。

そういう意味では、GPTsが予測する範囲は、今現在の市場参加者が近い将来に起こる事に違いないと考えていることを十分に反映している(可能性が高い)と、自分は考えている。もしこの予測から外れる範囲の出来事が起こったとしたら、それはむしろ『ブラックスワン』の最初の顕れなのかもしれない。十分に注意すべきことである。

今、発生している出来事や事件が定常状態の範囲内で起こることなのか、それとも定常状態に至るパスから大きく外れるような事態なのか、それ自体を見極めるヒントとして、これらのGPTsを含むAIが出す予測を利用することは、十分に意味がある。そのように活用することで、「ポジションを増やしすぎて却って不安になった」り、「不安に駆られて不必要な売り買いを繰り返す」ような愚は避けられるのではないだろうか?

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