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ニューヨークでは定番化のペットテック。犬の散歩版のUber、『Wag!』はなぜみんな使うのか?

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ペットフレンドリーなニューヨーク

世界中の誰もが認めるハードワーカーの多いニューヨーカーは大切な家族の一員である犬や猫のケアのために様々なサービスを利用します。そのため、ニューヨークの街中にはペットケアサービスで溢れています。
例えば、ニューヨークでフルタイムで働くペットシッターさんの月収は平均約$3,500(日本円で約38万円)と言われています。それだけ飼い主はペットケアサービスを当たり前のように利用していて、需要が大きということです。

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ペットケアサービスの中でも最近増えているのが『ドッグウォーカー』関連のサービスです。『ドッグウォーカー』とは『犬の散歩代行サービス』のことです。
今現在、ニューヨーク市だけでも何と1,922のドッグウォーカーサービスが存在すると言われています。
今回はニューヨークでよく使われている犬の散歩代行サービスを紹介します。

ドッグウォーカーの一般的なサービス内容と価格帯

このドッグウォーカーは日中仕事で家を開けることが多い飼い主がお金を支払い、犬の散歩をしてもらうといったシンプルな散歩代行サービスです。

費用はエリアやドッグウォーカーによって様々ですが、
20分 $15~$20
30分 $20~$30
1時間 $50~60
というのがニューヨークでは一般的な相場です。それに加え複数の犬の散歩が必要な場合は1匹につき$5~$10の追加費用が加算されます。
最近では、「犬の散歩代行アプリ」が数多く登場しており、より簡単にドッグウォーカーを見つけることができます。

犬の散歩版のUber、『Wag!』

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Wag!は2015年に創業したドッグケア専用アプリです。
今ではアメリカ国内43州のうち110か所でサービスを展開しています。

アプリを使えば、近くにいるドッグウォーカーと繋がることができ、いつでも散歩代行を依頼することができます。
料金はサービスの内容によって異なりますが、平均30分の散歩で$20程度です。

ドッグウォーカーの他にも、Boarding(ボーディング)というサービスもあります。
このボーディングは夜に家を空けなければいけない飼い主が、スタッフに家に来てもらい、愛犬と一晩過ごしてもらうサービスです。

その他にもWag!ならではの特徴:

ー『Repeat Walk』という定期的に決まった回数のサービスを利用する場合はディスカウントがもらえる
ーWag!に登録しているスタッフはみんなバックグラインドチェック(犯罪履歴の確認)を通過している
ーWag!での全てのサービスは保険に加入しているため、何かトラブルが起こった場合はきちんと保証してもらえる
ー24時間365日のカスタマーサポートが利用可能

ペットの飼い主が毎日の生活をもっとフレキシブルに送れるように色んなサービスが提供されています。

他にもメジャーなドッグウォーカーアプリ3つとその全比較!

ニューヨーク市内ではWag!の他にも以下の3つの主要なドッグウォーカーアプリがたくさんの方に利用されています。全部で4つのアプリをそれぞれのサービス内容とともに比較していました。

Swifto

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Pooch Ventures

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Rover

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各社料金設定

Wag!は1回(20分間)の散歩料金が$20に対して、Swiftoは$25、Pooch Ventureは事前に予約しておいた場合は$20ですが、その時の要求によって$35、Roverは登録しているすべてのドッグウォーカーが料金をそれぞれ決めています。

Pooch Venturesは15年のドックウォーカーアプリの経験を持って、様々な要求にその場で答えることができるサービスを高額の料金で設定しています。

SwiftoはWag!よりも高額で、しかも希望する散歩の5時間前には予約をしなければいけません。ところが、病気や疾患を持つ犬や、老犬に対しての投薬、注射といった医療的な処置は追加料金なしで保証しています。

Roverはユーザーに対しての徹底的な要求に対応するというよりは、登録しているドッグウォーカーが勤務するエリアやスケジュールに主導権を合わせています。その日の、希望する一時間以内にサービス提供が可能とは言っていますが、100%保証はされていません。

Rover、Wag!、Swiftoは全世界規模でドックウォーカーサービスを展開している企業ですが、Pooch Venturesはニューヨークでのみ提供しています。

総合的に見ると今現在、やはりすべてにおいてWag!がユーザの要求を満たしているといえるでしょう。

ドッグウォーカーの平均年収は335万円。

ニューヨークのドッグウォーカーの平均時給は$17弱(約1,700円)、年収で約$32,000(約335万円)とデータでは言われています。
ですが、このドッグウォーカーという職業、収入には大きな格差があるようです。

ー『会社や企業に登録して雇われている』ドッグウォーカーの場合

ドッグウォーカーサービスを提供する企業に雇われている彼らの報酬は一般的に利用客が支払う金額の約70%が相場と言われています。残りの30%は会社の手数料売上になります。その上、年に一度確定申告をします。ニューヨークは税率がアメリカで一番高い州です。
彼らの場合、月曜から金曜の週に5日、一日6匹以上の犬の散歩を担当して週給約$700(日本円で約76,000円)で年収にすると約$33,600(約360万円、税引前。)が一般的な報酬と言われています。

企業に登録している彼らはドッグウォーキングスクールでクラスを受講し、トレーニングを受けています。そして、散歩に必要なウェアや備品は自費で揃えなければいけません。

ー個人でドッグウォーカーをしている人の場合

個人でドッグウォーカーをしている人は先ほど紹介した同じ時間と日数で働いて、最低でも週給約$800(約87,000円)、年収だと約$41,600(約450万円)の収入があると言われています。

人気のある人だとなんと年収$80,000(日本円で900万円近く)は稼いでいるのが現状です。

その原因は、企業に登録していない分、クライアントに安い料金でサービスを提供でき、現金で料金を支払ってもらうと税金の申告をしないで済んでいるのが現状です。

ドッグウォーカーとはあくまで『散歩代行サービス』ですので、近所に住む親戚にお小遣いをあげて行ってもらうのも、近所で口コミの評判がいいドッグウォーカーに行ってもらうのも、法律的に線引きがありません。

実際、オンライン上やアプリで初めて会う知らない人を自分の留守中に家に呼んでペットの散歩に行ってもらうより、普段から顔見知りで仲良しのご近所さんの犬を毎日笑顔で散歩していて挨拶を交わすドッグウォーカーの方が利用客にとっては安心して愛犬を預けられるということです。
個人のドッグウォーカーはライセンスや、専門の学校でクラスを受講しなければいけないというルールや法律もないですし、地元の人たちに『信頼』という大きな実績があれば大きな収入につながっているのです。
もちろん、中には以前はドッグウォーカーサービスに所属していて独立したという人もいます。そういった場合には専門的なライセンスを所持していたり、トレーニングも受けているでしょう。

筆者の私が以前住んでいたアパート周辺に近所では誰もが知るドッグウォーカーのおばあちゃんがいました。
暑い夏でも寒い冬でも、常に2~3匹の犬を散歩していて、誰にでも声をかけ、とてもフレンドリーで犬のことをこよなく愛していて元気な人でした。
私は自分の犬の散歩する時、本当に毎日そのおばあちゃんと複数の犬たちに出くわし、犬について話をしていました。
暑い夏場の散歩の後、冷たいタオルで犬の体を冷やす方法を丁寧に教えてもらったのを今でも覚えています。
近所で人気のコーヒー専門店のフライヤーが貼ってあるボードにはそのおばあちゃんがドッグウォーカーのフライヤーを出していました。

それだけここニューヨークは大都会にもかかわらず、『口コミや信頼』が圧倒的に影響力があるという現実的な結果がこのドッグウォーカーの収入の格差として映し出されているのです。

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メジャーなドッグウォーカーアプリに共通して言えるのは、ユーザーの要求にそれぞれきちんと対応していくれるということです。
もし飼い主が散歩のプランの変更が必要な時、またはスケジュールを忘れてしまった時は、スマホ一つで解決できます。
追跡情報、ドッグウォーカーの評価、写真、個人的に犬に対してしてあげてほしいこともすべて明確に知ることができるし、伝えることができます。

実際にニューヨークのドッグウォーカーの方が書いた記事によると、ニューヨーク市でドッグウォーカーになっている人たちは厳しいトレーニングの段階で辞退する人はとても少ないといいます。お金のためや生活のために仕方なくしている人ではなくて、犬が本当に好きでその職業を選んでいる人がとても多いそうです。

ただどんなに収入の格差があるとしても、このドッグウォーカーという職業は、フルタイムで働く場合、冬が長くて寒いニューヨークで雨の日でも毎日約6時間以上は犬を連れて歩き続ける職業です。
それに加え、常に犬が道端のものを口に入れてないか確認し、交通渋滞の多いマンハッタンの中で犬たちが安全に信号を渡れているかなど、常にケアが必要で肉体的・精神的にもとてもハードな仕事であることは間違いないはず。
このドッグウォーカーサービスとともに、様々な異なる内容のペットケアサービスが次々と登場し、その都度ものすごいスピードで普及していく。限界知らずのニューヨークのペットケアビジネスはこれからも目が離せません。

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