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参入するなら今!アメリカで再熱中のPodcast(ポッドキャスト)。マネタイズするには?

みなさん、こんにちは。NY在住MBA学生ライターのユカです。

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突然ですが、読者の皆さん最後にラジオを聞いたのはいつですか?そもそも普段ラジオを聞くことはありますか?最近アメリカでは、衰退したと思われたラジオというメディアの形態が、少し変身してPodcastというかたちで世間で再燃してきています。しかも、Podcastによる米国内での広告収入はなんと2021年までに10億円を超えるとも予想されているのです。一体なぜ、一時は下火を見た聴覚メディアが今になって回帰しているのでしょうか?

今回の記事では、なぜPodcastが新たなメディアとして頭角を表すようになったのかに注目して、アメリカのPodcast事情をお伝えしようと思います。

1. Podcastとは?ラジオやビデオに代わる次世代型コンテンツ配信サービス

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(出典: Apple Podcasts)

iPhoneを使用している人ならきっと見たことがあるであろう上記のPodcastアプリ。日本ではまだあまり普及しておらず、一部の若者が聞くサブカル的なものになっているのかなという印象があります。本記事を執筆するに当たり、筆者も周りに「Podcastを聞いているか?」聞いてみましたが、残念ながらPodcastを積極的に聞いているという人は、主に海外在住の人しかいませんでした...。

Podcastのビジネスモデルについて分析する前に、まずはPodcastがどのようなものなのかを説明したいと思います。Podcastは、”iPod”と”Broadcast” (配信する)という2つの単語が組み合わさった造語で、音声やビデオファイルをインターネット上に公開する手段の1つです。
大体のPodcastはエピソード形式となっており、1つのエピソードは配信テーマにもよりますが、5分-60分程度となっています。視聴者は、自分の好きな配信者や興味のあるテーマに基づき、好みのPodcastをフォローして無料で聞くことができます。また、各エピソードはPodcastアプリだけでなく、Spotifyなどの音楽アプリやYouTube上でも視聴可能。ニュースや宗教、政治、経済といったテーマに始まり、カルチャー・恋愛などエンターテイメント性のあるテーマにセレブが登場するものまでジャンルは多種多様。オフラインでダウンロードして聴ける物も多いので、移動中や電波の届かない飛行機内などで楽しむ人も多いのです。
Podcastはほとんどが無料で楽しめますが、Podcastの人気上昇に伴い一部のサービスでは、月額登録を促し課金をしている場合もあります。詳しくは本記事の後半、Podcastのマネタイズについての節で解説します。

ラジオ・動画配信と違う点

では、ラジオや動画配信とはどう違うのでしょうか?
ラジオはスケジュール配信なのに対し、Podcastはオンデマンド配信なのでPodcastメディアは選択的なメディアといえます。ラジオの場合は聞き逃しても、戻ることができませんが、Podcastは何度でも戻ることができますし何度でも再生ができます。Podcastは、各エピソードの長さや話す内容も自由です。また、ラジオと違いターゲットの幅が狭くニッチです。従来のラジオ番組が1つの番組内でニュース、インタビュー、天気、最新音楽、視聴者からのお便りなどを満遍なくカバーしているとすると、Podcastはより細かくジャンル分けされています。例えば、大手金融メディアのBloomberg社のPodcastは、金融商品や業界人のインタビューが主な配信内容。一方でユーチューバーが配信するPodcastは、撮影秘話やYouTubeでは話せない裏側の事情などを大胆に暴露していたりと、浅く広くカバーするラジオとは形式が違うことが分かります。

そして、YouTubeなどの動画コンテンツと決定的に違う点は、Podcastは聴覚メディアなので長いコンテンツも受け入れられやすいことです。Podcastでは1時間ほどのエピソードでも「ながら聞き」が可能なので飽きずに聞くことができますが、YouTubeで1時間の動画を観るとなると、しっかり時間を取って観入らなくてはいけません。また、そのような長さのコンテンツは視聴者にも好まれません。さらに、Podcastは視覚メディアではないので、照明やバックグラウンドなどのセッティングにこだわらなくてもいいという点でもYouTubeとは異なります。Podcastを録音している様子を撮影し、後からYouTubeにアップロードすることもありますが、基本的に必要なものはマイクのみ。発信者側のメリットとしては、簡単で手軽に始められるのもPodcastの魅力であり、他と違う点でもあります。


2. なぜアメリカでPodcastが伸びたのか分析

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(出典: Unsplash)

Podcastを成功させる上で、まず検討しなくてはいけないのが配信ターゲット。ラジオと違って、Podcastは特定のテーマもしくは配信者に興味のあるファン層しかターゲットにしていません。このような一見マーケティングしづらいコンテンツ形態が、なぜここまでアメリカで人気を博したのでしょうか。

Podcastが浸透した理由は、1つにスマートスピーカーの普及があります。統計によると、現在アメリカでは人口の1/3である約1億人がスマートスピーカーを所有しているそうです。視聴環境が広まれば必然的に視聴者も増加します。
さらには、アメリカの通勤事情にもPodcast人気の理由が隠れています。NYのような大都市では地下鉄で通勤する人が多いです。NYの地下鉄は電波が入らないので、大抵の人はゲームをするか、読書をするか、ダウンロードした映画やドラマを観て過ごします。Podcastは、オフラインでもダウンロードして聴くことができるので、時間を有効活用するという意味でマーケットのギャップを埋めたと言えるのです。ゲームは飽きるし、混んでいる電車ではいつでも読書ができるとは限りません。また、アメリカは文庫本サイズの本が非常に少ないので、本を持ち歩くのも大変です。映画を観るにも画面が見れなくては意味がありませんし、周囲の人から何を観ているのか覗き見されるのが気になる人もいるでしょう。Podcastはスケジュールを問わず、家でも外出先でも通勤中でも手軽に聴けるエンターテイメントなのです。

日本で中々広まらない背景として考えられる要因は、総じてPodcastの知名度の低さもありますが、種類の少なさも挙げられます。既成観念に囚われない様々なジャンルで人を引きつけるアメリカのPodcastは、人種や文化の多様性をうまく利用しているのです。
マニアックな内容だとコアなファンしかターゲットにできません。しかし、上手にマーケティングができると実はPodcastからも利益をあげることが可能です。

そもそもアメリカでPodcast人気に火がついたのは、音楽ストリーミングサービス大手のSpotify社がPodcast関連社の買収に500億円を講じると発表してからでした。それに伴い、多数のスタートアップ企業も立ち上がり、中にはベンチャーキャピタルからなんと100億円もの資金調達に成功した会社や、立ち上げから3年で月額ユニーク視聴者数1000万人を超えるPodcastも。

さて、そんな次世代のメディアをマネタイズし成功させるにはどうしたらいいのでしょうか。

3. 参入するなら今!Podcastで収益をあげるビジネス戦略

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(出典: Podbay)

Podcastをマネタイズする方法は大きく分けて3つ。

番組内広告 

1つ目は、Podcast内に他のPodcastチャンネルの広告を打つこと。いわゆる、テレビ番組の休憩として入れるようなコマーシャル・他番組の予告。実際にPodcastを聞いていると、1時間のエピソードで最低3回は他のPodcastの広告が流れてくるエピソードもあり、私筆者はそのおかげで新たに聴き始めたPodcastもありました。
また、効果的なのは企業とのタイアップ。最も広まっているマネタイズ方法です。企業とのタイアップの場合、1番重要なのは視聴者の数。Podcast初心者の場合、企業タイアップを見込める可能性はかなり低い上、YouTuberなどタレントが配信しているPodcastの場合でも、一般大衆を対象にしたスポンサーシップは得辛いというデメリットもあります。なので、スポンサーを得る場合、配信内容と広告が関連している方が、企業にとってもメリットとなります。
企業から直接オファーが来る場合もありますが、仲介業者を使うこともできます。その場合、広告収入から更に手数料を取られますが、代理店がバックアップとしてついているという安心感があります。企業とのタイアップに関連して、様々なプラットフォームのアフィリエイトプログラムに登録するという方法も。

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(出典: Audible Creator Program)
例えば、オーディオブックの制作・配信で知られる大企業audible社では、クリエイターがaudible社の割引URLを提供し、実際に登録に繋がればコミッションがもらえるというシンプルなアフィリエイトプログラムを採用しています。
上記の方法は、配信する側で特に何もする必要がないので簡単であるという特徴が挙げられます。既に録音された音源を流すか、自身で宣伝音声を録音して流すだけで済むので気軽にマネタイズできる方法です。エピソードの始めと中間で広告を流すことが可能ですが、中間で配信される広告の方が価値が高いので、より高価な単価で宣伝が可能です。

課金制度の導入

2つ目は、プレミアムエピソードなど、課金制度を導入する方法です。この場合、ある程度視聴者・ファンがいれば一定期間安定収入を見込めるというメリットがあります。課金エピソードは、広告の無いものや、生中継、またスペシャルゲストを呼ぶような「限定・特別」なものを配信することができます。最近では、Luminaryという月額制サブスクリプションで様々なプレミアムPodcastを聴くことのできるサイト・アプリも出現しています。
そして3つ目は、直接Podcastをマネタイズするのではなく、Podcastを録音している様子を撮影しYouTubeにアップロードしてマネタイズする方法。ほとんどのユーチューバーが行っている方法で、うまく行えばYouTubeからの広告収入と、Podcast内の広告収入で一石二鳥にもなります。動画編集に長けている場合、ぜひオススメです。

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(アメリカで人気のPodcast 「Serial」の配信者Sarah氏)

また、Podcastのおかげで一躍有名になった人も。例えば、ジャーナリストであるSarah Koenig氏が2014年に配信を開始した政治系Podcastの”Serial”は、現在なんと月額ユニーク視聴者数560万人を誇り、人気Podcastランキングトップ10に必ずランクインする超有名チャンネルに成長しました。2015年にはアメリカのテレビ・ラジオ・ウェブサイトの優れた放送作品に贈られるピーボディ賞をPodcast部門で受賞し、他の名だたるメディアに匹敵するPodcastチャンネルへと大躍進しました。

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Serial HP

2015年にマーケティング実験の一環としてスタートしたノンフィクションのホラー系Podcast “Lore”も、急成長したPodcastの1つ。隔週配信で、これまで合計2億回も再生されたという驚異的な結果を残しています。iTunesで ”Best of 2015” 及び ”Best of 2016”をダブル受賞し、今なお需要の高いPodcastです。今後はユーチューバーならぬポッドキャスターが更に増えてきてもおかしくないでしょう。

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いかがでしたか?

このように、Podcastはこれから人々にもっと浸透していく可能性のある聴覚メディアなのです。スマホの進化により視覚メディアが普及した2010年代でしたが、視覚メディアの普及に伴い問題視されている情報過多から距離を置くためにも、これからは個人のニーズを満たすような新しい形のメディアが求められそうです。日本では、まだ参入の余地がたくさんあるので、この機会に自社ブランドのPodcastをマーケティング戦略に組み込んでみては?

<ライター:ユカ> 何となく旅行とか、洋画とか、読書とか、瞑想とか、健康的な食事とか、世界情勢とか、環境保護とか、人間のこととか、心理学とか、アートが好きです。いまのところ20代、いまのところNYC在住のトリリンガルの女の子です。

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