漢らしさとカッコつけ

ジェンダーレスが叫ばれる今の時代で、「男らしさ」「女らしさ」みたいなものを語ることの無意味さは重々自覚しているつもりです。

だが、そんな令和の時代でも、僕は「漢気」のある人間でありたいと思っている。

だから、僕にとって「メンツ」はそこそこ大事なのです。少々、前時代的な話ではありますが。

去年8月、僕より先に就職した大学の同期2人が京都に帰ってきて(帰ってきてと言いつつ、この2人は京都の人ではないのですが、、、その話はまたこんど)、僕を含めて同期3人、一つ下の後輩3人の計6人でご飯を食べに行きました。

僕が店を予約し、楽しく飯を食い、お開きの時間となりました。
席を立ち、「お会計しますか」なんて言ったその時。

「いや、ええから」
「え?どこで会計したらいいの?」
「いや、いいから」
「もう済ましてきたから」

僕以外の同期2人が、タバコを吸いに外に出るふりをして、僕の知らぬ間に会計を済ませてきたというのです。

「お前はまだ就職していないから」という気遣いはありがたいけれど、そんなことされたら僕は
「まじで!?よっしゃラッキー!」
と言うほかないじゃないですか。

別に後輩たちはなんとも思っていなくても、少なくとも少し多めに払うくらいはしたい。先輩なんだから。
同期2人がした(やってくれたわけで、実際有難いけど)気遣いのおかげで、僕のメンツはまる潰れになってしまったわけです。

僕はいわゆる体育会系的な上下関係はとても苦手ですが、先輩が後輩に対して勝手にカッコつけるような自分で自分のメンツを立てるような上下関係が粋だと感じるところがあるので、
大学在学中から、「先輩の奢った分は自分の後輩に奢るんやで〜」みたいな関係性がいいなー、と思っていました。

ただ、この一年間を経て、半ば意地を張るようにカッコつけることもなかなか大変なんだと思い始めました。

僕が大学二回生になった年からコロナになったので、飲食店で飲み会をするというのはそこまで多くなかったかもしれません(友達の家で飲み会をすることが多かった)が、この一年は後輩たちとご飯を食べに行くことが増えました。

有難いことにそこそこお誘いいただけるので、
その場に一万円札を叩きつけて堂々退場してみたり、
しれっと席を立ち、お会計を全部払ってみたり、
あるいは、後輩たちと乗ったタクシーで、何も言わずにタクシーアプリであらかじめ決済しておいて先に降りたり。。。
結構頑張ってカッコつけてみました。

ただ、やはりそこはまだフリーターの僕。
正直、大変でした。家に帰っても、やたら長いレシートを捨てられなかったりして。

歳の近い後輩は、
「そんなに払ってもらって悪いんで!」と言って、カンパしてくれたりもします。
一旦、「いや、そんなん大丈夫よ!」とか言いつつも、
「いやいや、もらってください」なんて言われた時には、
「そう?すまんね!」と言って簡単に受け取ってしまったりするあたりは、ちょっとダセェな、と情けなくなったりもします。
ただ、そんなところも半分ニートのような財布事情のご愛嬌ということで。。。

ここ数年、至る所でいわゆる「マッチョな」社会の問題点が浮き彫りになってきました。
直接的な暴力でなくとも、社会のシステムの中で抑圧されてきたケースは数知れずあるのでしょう。「メンツ」とか、そういう言葉はその「マッチョな」社会システムを象徴するような言葉でもあると思います。
下の立場の人が、上の立場の顔を立てるために抑圧されるのではなくて、
上の立場の人が、下の立場の人を喜ばせたいと勝手に思って勝手にカッコつけるような、少なくとも自分はそんな人間になっていたいなぁ、なんて思ったりするのです。
そこを勘違いしないようにしよう、と思うのです。

こんな感じでちょっと社会性のありそうな締め方をしてみました。
これからも、「勝手に」やっていこう。

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