見出し画像

禁酒法が生んだアメリカンカルチャー、スピークイージーとは。

スピークイージー、 禁酒法が生み出したアメリカンカルチャー。

スピークイージーとは、アメリカ合衆国で1920年代に成立した禁酒法のさなか、いわゆる「密造酒を提供していたバー」のことを指します。
現在では「隠れ家バー」のような認識で世界各地に存在していますが、その裏にはとても興味深い歴史が隠されていました。そんなロマンあふれる”スピークイージー”の歴史と魅力を紐解いていきます。

(1920年代から今も営業し続ける伝説のスピークイージー『21Club』)

スピークイージーの語源

スピークイージーは「お酒がここにあることを誰にも聞かれないようにひっそり話す」とか、「バレないように短い名前でお酒を注文する」ことから来てるなど、諸説あるようです。

別名「ブラインドピッグ」や「ブラインドタイガー」

当時の酒場の経営者が見世物(動物など)でお金を取り、お酒を無料で提供することで法の網をくぐり抜けていたことから由来するそうです。
なぜ、「ブラインド」なのかというと、「blind」は「見えなくさせる」・「目をくらませる」という意味があります。これらの意味を踏まえると、なぜ「ブラインド○○」と呼ばれたのか想像しやすいですね。

■マリオ店長のこぼれ話

アメリカはニューヨークに『blind barber(ブラインドバーバー)』という小さな床屋があります。何を隠そうこのお店こそ現代のスピークイージーと呼ばれるお店でして、床屋部分は非常にこじんまりとしたお店ですが、裏側は広く本格的なバーになっています!また同じニューヨークにある伝説のスピークイージー『21 Club』は、1920年代から今も営業し続けるまさに歴史の生き証人!有名なアーティストやスポーツ選手、歴代大統領まで足繁く通うという、伝説の名に恥じない隠れ家バー。うちの『ニューヨーク21』という店名は、もともと美容室として創業した約40年前、80年代ポップカルチャーの象徴として、そして来たる21世紀という未来への希望を込めて名付けられました。
そして2000年代に入り、「理美容室は地域コミュニティーの最小単位」というアイデンティティを具現化するため、バーバー部門とカフェバー部門を増設する際に最も参考にしたのが『スピークイージー』という文化でした。
思えば『ニューヨーク21』という店名、『スピークイージー』というアメリカンカルチャー、そしてそれを体現するお店がニューヨークに現に存在している。いつしか運命めいたものまで感じるようになり、やがて僕の足はニューヨークの地を踏むことになるのですが、それはまた別のお話。

アメリカンカルチャーの象徴の1つ、スピークイージー

禁酒法時代、スピークイージーは何軒も存在し、利益が出るという理由から低品質なお酒を売っていたこともあり、それを誤魔化すために新しいカクテルがたくさん生まれたりもしているそう。
潜りの酒場と聞くと隠れ家や薄暗い地下室を想像しますが、実際には洋服店や床屋(!)、そして葬儀屋までもスピークイージーとなっていたようで、そして、禁酒法の終わるまでに全米で約20万件を超えるスピークイージーが存在していたのだとか。そして禁酒が解かれた現在でも、スピークイージーをコンセプトとしたお店が多数存在しています。遊び心とサプライズ好きのアメリカ人にとって、ロマンあふれるスピークイージーはまさにアメリカンカルチャーの象徴の1つと言えるでしょう。

(ニューヨークにあるスピークイージースタイルの草分け的存在の『blind barber』)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?