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いろいろなスキルの汎用的な鍛え方

創造力の鍛え方を追求しています。

色々調べている内に、創造力を含め企画力や英語力やイラスト力などのスキルは、〇〇力と共通してお尻についているからには共通した鍛え方があるのではないか、と思うようになってきました。

英語力を鍛える本やプレゼン力を鍛えるセミナーなどスキル単品で鍛える方法はあるにはあります。しかし、共通して鍛え続ける仕組みや考え方がないために、スキル本に載ってないところまで広げる場合や、誰も手を出していないスキルを鍛える場合、もしくは本通りにやって停滞した場合、進めるのが困難だったりします。

また、独学の方法についての本は色々あるのですが、内容は試験に向けた勉強だったり、なんかしらの分野の知識の習得という内容で、様々な場面に役立つスキルを独学で鍛えることに関しては記載されていません。

スキルを独学で自ら鍛え方を考えられて向上させていく方法が欲しいのです。しかし、ない。
というわけで、〇〇力が接尾語としてつくことのできそうなスキルを鍛える汎用的な方法を提案します。

進化論のモジュールの考え方を応用

手がかりとして「心のモジュールとは?」で説明した、体と心の進化はモジュール単位で進んでいったというモジュール論を応用します。

モジュールとは、ひとまとまりの機能を指し、ソフトウェアやハードウェアの使われ方では、入力を処理をして出力する構造のことです。

モジュール

同様に、モジュールは組み合わせとして考えることができ、人間をはじめ生き物全てが遺伝子を設計図としたモジュールの組わせでできている、という話でした。(詳しくは「心のモジュールとは?」を参照ください)

人もモジュール

モジュールの中身

モジュールはシュミレーションモデルなので機能の概念として表し、中身はブラックボックスとして見てきました。

スキルを鍛えるということは、人に備わったモジュールを鍛えるということになります。モジュールを鍛えるためには、このブラックスボックスの中身を知らなくて難しいです。

ここで補足ですが、このモジュール論自体、体や脳に具体的に「この部分がこのモジュールだ!」というものではありません。入力と出力が当てはまることから論理付けているシュミレーションモデルなので、ブラックボックスの中身に関しても物理的に存在はしないモデルではあります。人が何かしら思考や行動しているとき、脳のそのモジュール相当の部分だけ活性化しているわけではなく、脳内を信号が駆け巡って「脳のこの辺りがぼんやり活性化している」ということしか観察できません。

さて、ブラックボックスを考えるにあたって、モジュールという考え自体、ソフトウェアやハードウェアの考え方なので、コンピューターの構成から考えてみます。

コンピューターの基本構成は以下の図のように考えることができます。

コンピューターの構成

一般的にはコンピューターの基本構成は、CPUは演算装置と制御装置から成りますが、ここでは演算装置とメモリの主記憶装置を一体として処理装置、それとは別に制御装置としてます。分割しただけで仕組み的には同じです。

コンピュータを使って、キーボードで入力した文字をディスプレイに表示させたとします。この場合、「キーボードを入力として処理してディスプレイに出力する」という1つのモジュールとして考えられます。

このコンピュータのモジュールの考え方を人のスキルのモジュールに当てはめます。「絵を書く」というスキルを例とすると、スキルをモジュールとして考えると以下の構成として考えることがでます。

お絵かき簡略スキル

目で見て視覚として「りんご」を入力とします。それを「絵を書く」モジュールを通すとペンで書かれたりんごの絵が出力される、ということです。

ここで、さきほどのコンピュータの内部構成を利用して、スキルのモジュールのブラックボックスの中身を考えていきます。

コンピューターとは異なり、人体のモジュールは、制御装置はないものとして考えます。例えば手を動かす場合、脳で筋肉を制御しているのであって筋肉が筋肉を制御してるわけではないです。または、心臓や視覚の神経などは意識した制御ではなく自律的です。というわけで、制御装置を外して考えます。

すると、スキルのモジュールの内部構成は以下の図のように、入力ブロック処理ブロック記憶ブロック出力ブロックから成ります。

スキルモジュール簡易

モジュール内部のそれぞれのブロックに関して説明します。

まず、入力ブロックです。入力は感覚器です。つまり、視覚や聴覚や触覚など五感です。入力なくして記憶や出力は困難です。絵を書くスキルの場合は、目で見るやペンの感覚などになります。

続いて処理ブロックです。ここのブロックは情報の作業場になります。入力を記憶へ移す、記憶から想起(ロード)、入力や記憶から解析、または入力や記憶から合成を行うためのブロックです。料理で言えば、まな板の上です。まな板の上で、素材を切ったり、切ったものや素材そのままを冷蔵庫に入れたり、素材を組み合わせたり、といった作業をする場所のイメージです。

記憶ブロックは、そのまま記憶を保管する場所です。料理で言ったら冷蔵庫になります。記憶は大きく2つに分けられます。入力そのままを記憶する具体記憶と、入力を解析して意味や概念として解釈した情報、もしくはそれら情報の入力を記憶する抽象記憶、です。りんごを見た記憶をそのまま記憶することが具体記憶で、りんごを見て処理ブロックで形状の特徴、色や模様を検討して得た情報、もしくは「りんごは上から見ると五角形、りんごの色は上から下に向かうにつれ色が淡くなる」と聞いて耳から入力したり文章として読んだ情報の記憶が抽象記憶です。

最後に出力ブロックは、処理ブロックで合成された情報を手や口によって外部に表現するブロックです。手で描いたり、タイピングしたり、口で話したり、体を動かしてダンスすることによっての表現が出力です。

このように、スキルのモジュールのブラックボックス内部をコンピューターの構成に似たモデルとして表すことができます。先程のスキルのモジュールの内部構成の図に説明にあった記憶ブロックの分割部分を加えると以下のようになります。

スキルモジュールフル

モジュールの鍛え方

さて、スキルのモジュールの内部構成がわかると何ができるのかというと、上達したいスキルをどう鍛えていけばいいかが非常に把握しやすくなることです。

どういうことか?
引き続き、絵を描くスキルを例にして考えていきます。

これまで説明したモジュールの考え方は、新しいものでも独自のものではなく、昔からある脳科学に基づいているものです。絵の上達のためのサイト「Egg a Zyoutatsu」 でも同様なモジュールの考え方が用いられています

このサイトには「お絵かき脳シュミレーター」という素晴らしいツールがあって、内部のブロックをアナログ的に有効か無効かをスライダーで調整でき、どのブロックが出力の絵にどのような影響を与えるかを理解できるようになっています。

このツールを用いてスキルの鍛え方について説明していこうと思うのですが、お互いのモデルがお互いの造語で構成されているため翻訳しての解釈が必要になってます。

以下が用語変換の一覧です。(Egg a Zyoutatsu用語 → このページ用語)
この後の説明ではカッコ付きで用語を補足しながら説明していきます。

現実世界 → 入力
物体形状 → 具体記憶
ディスクリプション → 抽象記憶
想起(ロード) → 記憶から処理へのロード
スケッチ保持 → 処理ブロックの容量
運動系 → 出力

ツールでは「静止しているキリンは見たことがあり、何かの動物が走るということも理解していて、走っているキリンを描く」というシーンのシミュレーションができます。このシーンについて細かく説明していきます。

まず、もし記憶も処理も出力も、どのブロックも完璧だった場合です。

絵が上達ノーマル

その場合、このように正しく「走っているキリン」を描くことができます。

「キリン」を視覚で正しく入力できており、キリンの模様は身体の物体形状の記憶(具体記憶)があり、走る場合にキリンの足はどう動くのかのディスクリプション(抽象記憶)も把握しており、キリンが走っているというイメージを合成処理ができ、手を動かしてその合成処理されたイメージを描くことができた場合に、ちゃんとした「走っているキリン」を出力できる、ということです。

では、物体形状(具体記憶)だけが曖昧な場合を見てみましょう。

絵が上達ノーマル1物体形状

このように、キリンの模様や足の形などちゃんと見て入力ができていないこと、もしくはちゃんと記憶できていないと、処理ブロックにロードされるのは当然、模様や足の形が完全ではないキリンが展開されます。もし「動物が走る」というディスクリプション(抽象記憶)が完璧でも、合成されるのは模様や足の形が完全ではない走ったキリンになってしまいます。出力が完璧なので、イメージそのまま不完全なキリンが出力されます。

このような場合にスキルを改善するには、入力ブロック、具体記憶ブロックを鍛えればいいことがわかると思います。入力ブロックは視覚なので、じっと集中・正しく・早く・広くなど見る力を鍛えることでレベルを上げることができ、具体記憶は記憶なので繰り返し記憶・細かく記憶することで鍛え上げられます。また、ブロックの構成から、具体記憶を鍛えるのにはその前段の入力ブロック、処理ブロックを鍛えることが有用であることも理解できると思います。時間をかけたデッサンによって、じっくり見る力と記憶を鍛えることがトレーニングとして有効でしょう。

次に、想起(ロード)ができない場合です。

絵が上達ノーマル3ロード

ちゃんと物体形状を記憶(具体記憶)ができているのにもかからわらず、ロードがちゃんとできていないことにより、処理ブロックにはキリンの模様がないなどに正しいイメージが展開されません。これにより、「走る」というディスクリプションと合成しても、「模様がない走ったキリン」が生成されます。当然、出力もそのまま正しくない状態になります。

こういった場合を改善するには、処理ブロックへのロードを鍛える必要があります。何度もロード(思い出す)、細かくロードする、「鬼トレ」などのような処理ブロックの作業記憶容量を上げるトレーニングする、などが有効です。

ディスクリプション(抽象記憶)がない場合はどうでしょう?

絵が上達ノーマル2ディスクリプション

ちゃんと正しい記憶(具体記憶)があって完全にロードされたとしても、「走る」というのは足や姿勢がどうなるものかというディスクリプション(抽象記憶)がないと、合成されるのは「走っているように見えないキリン」という不完全なイメージです。ものすごく正確に脳内イメージを出力できる腕を持っていたとしても、宝の持ち腐れになります。

ディスクリプションを向上するには、例えば「走る」とは「足や姿勢はどうなるのか」「骨や筋肉はどうなっているのか」などの対象となる概念の知識の獲得や、「他の動物の走り」という入力や具体記憶から共通の特徴を解析し推測するなどが有効です。

絵の上達には好きな絵や気になる写真などのスクラップブックが有用と言われます。これは具体記憶にももちろん効果的なのですが、「なぜ好きなのか」「共通する気になる部分」などと解析することで、その答えが抽象記憶になるためです。構図やパースなど絵に関する知識を得ることも抽象記憶として重要ですが、自らの解析によって得る抽象記憶は、個性のある表現のためにはさらに重要になってきます。

また、ささっと全体的なイメージなどを書くスケッチも、抽象記憶の確認手段として有効です。概念の理解が深くできているエキスパートのスケッチを見て、作業量の少ない短時間で書かれたものでも非常に深い洞察から表現されたと感じたこともあるのではないでしょうか。

最後に、運動系(出力)がうまくできない場合です。

絵が上達ノーマル5運動系


入力や正しい記憶によって「走るキリン」というイメージが脳内で正しく合成できたとしても、それを書き出せる技能(運動系)がないとグチャグチャの線や模様からできた「走るキリンっぽいグチャグチャ」が出力となってしまいます。

脳内イメージを正しく出力するには、シンプルに運動系(出力)を鍛えるのが有効です。球技や武道の素振りのように、真っ直ぐな線を引く、真円を書く、複数の点をつなげて思い通りの曲線を引く、握力を鍛えるなどの基礎練習を繰り返し繰り返しすることが有用です。運動系というだけあって筋トレやスポーツの練習と非常に似ています。

これは、プレゼンなどのビジネススキルも同じです。発声は運動系の出力です。「この本を読めばスキルを得られる」ような煽りの帯がついた本がありますが、そんな知識の獲得(抽象記憶)だけでスキルが身につくわけはないことが理解できるかと思います。

まとめ

以上が、モジュール論をベースとした様々なスキルのための汎用的な鍛え方の説明でした。

モジュール論での考え方ですと、何がスキル上達の妨げになっているブロックかが自分で特定しやすく、継続的な成長への手助けになるということが伝わっていれば幸いです。

まったくの初心者の場合まずすべき事は、出力ブロックを鍛えるための素振りや筋トレなどの基礎的なことの反復練習ということ理解しやすいと思います。入力や記憶や合成が正しくできたか把握する手段が出力がベストなためです。次いで、正しく細かく集中して見ることによる入力ブロックが、有用な記憶を増やすためにも重要です。

もちろん、出力が完璧になるまで他を鍛える必要がないわけではありません。ただ、スキルの上達にいくにつれ重要になってくるブロックが変わっていきます。上級者になるほど抽象記憶ブロックとそれを合成する処理ブロックのウェイトが高まるのは、スキルのトッププレイヤーを見れば納得できるのではないかと思います。将棋のトッププレイヤーほど、数万の棋譜を解析することからできた膨大な抽象記憶から何十手も先の手を合成できる、などのイメージからです。

絵というスキルを例に見てきましたが、将棋などの趣味の技能や、プレゼンや企画などのビジネススキル、英語などの語学、野球などのスポーツにも、このモジュール論をベースとしたスキルの考え方は非常に有効と考えています。

今回説明したのは1段のモジュールでしたが、スキルはモジュールどうしの組み合わせ、掛け合わせなど多段なモジュールとして考えることもできます。英語が、リスニング、スピーキング、リード、ライトというモジュールに分けて考えられる、リスニングはリンキングや発音の省略などのスキルから構成される、などです。この考え方によって、さらに具体的な鍛え方を自らで考えられるようになります。

語学を含め、ビジネススキル、スポーツ、趣味など具体的なスキルのモジュール論に関しては後日1つずつ説明できればと思ってます。

自分の目的は、創造力というスキルの鍛え方の追求です。創造力は人によって必要なモジュールが異なるビュッフェだと思っています。ビジネスの創造力と、創作の創造力で必要なモジュールは違うはずです。というわけで、様々なスキルのモジュールを説明していき、創造力というスキルのビュッフェを作っていければ。

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