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いつの間にか、時間どろぼうの罠にはまっていた。


幼い頃から本が好きだった。

何で好きなのか考えたこともないが、もし子供ができたら、絶対最初に読んでやるのは「はらぺこあおむし」だと決めている。

そんな小学校低学年の頃の私のバイブルはと言うと、

●ナルニア国物語

●エルマーとりゅう(みかんの皮が好物なんだよね、りゅう)


そして表題でもある「時間どろぼう」が出てくる、ミヒャエル・エンデの「MOMO」。

同作者の「果てしない物語」も大好きな作品のひとつだが(ファルコーーーーーーーーン!!!)、なぜかMOMOの方が記憶に色濃く残っている。

なのに、私はつい先日まで、この作品のことをすっかり忘れていた。


きっかけは、仲良しのカメラマンの女の子が、中田あっちゃんのYouTubeの話をしてくれたことだった。

中田あっちゃんが自身のチャンネルでMOMOを紹介したらしく、「MOMOって知ってます?」と聞かれた私は、「え、大好きな作品です!」と答えた。


けれど、実はその時、具体的に「何が好きだったか」が思い出せなかった。

「時間どろぼう」の存在も、あらすじも覚えている。

主役の「モモ」が、どんな女の子だったかも言える。

でも、幼い頃の私が受けた衝撃や、この作品から何を感じ取ったのかがすとんと抜けているのだ。


記憶力はかなり良い方だと自負している。

数年前の会話を空で言えたり、本人が覚えていないことまで事細かく説明できたりする。

でもやっぱり、8歳やそこらの記憶なんて薄れるものだ。なくなってしまうものだ。

「大好きな作品」と言いつつ、「じゃあ何が?」という問いに答えられないのはまずい。と言うか悲しい。

と言うわけで、私は数十年ぶりに「MOMO」を読むことにした。


ご存知でない方に、ネタバレしない程度にあらすじを書いておく。

主人公のモモは、ひとの話を聞くのがとても上手な女の子。

街の大人から小さな子供まで、みんながモモを訪ねてくる。

でもいつの間にか、みんな「時間どろぼう」の罠にはまって、

効率良く生きるために時間を節約しようとする。

節約するのは、誰かとゆっくり話す時間だったり、公園で想像を膨らませて遊ぶ時間だったり、寝る前に本を読む時間だったり。

それとともに心の余裕がなくなり、みんなせかせか生きるようになる。

それはすべて、「時間どろぼう」の仕業。

モモは大切な友達の時間が奪われていることに気づき、取り戻そうと奮闘するーーというお話。


読み終えて、というより読んでいる途中から、私は気づいてしまった。

「あぁ、私も知らない間に、この大人たちと同じようになってしまっていたんだな」と。


効率良く働くのが好きだ。段取りはちゃんとする。

SNSは程々に。だいすきな人たちと遊んで、よく眠る。

上手くやってるつもりだった。

でもいつの間にか、大好きだった作品の魅力を思い出す時間もなく、日々の生活に埋もれてしまっていたんだな、と。


便利な時代だからこそ、時間は節約できる。

「検索する」時代から、「検索すらしない」時代がくると聞く。

でも、大事なことってそうじゃないよな、と思う。

自分が「無駄」だと思って切り捨ててたこと、ほんとに「無駄」なのかな。

年の瀬に、とても大事な宿題を突き付けられた気がした。


それでも悲しいことに、8歳の私が「MOMO」に感じたトキメキや言い表せない感情は、二度と思い出せることはないんだろう。

と言うわけで、10年後・20年後の私が、「今の私」がどう感じていたかを思い出せるように。

NOTEを始めようと思ったわけだ。(見事な伏線?の回収😈)


駄文長文綴りまくるぞ!!!よろしくお願いします2021。

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