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作品解説◇アンダーライン◇後編

 アンダーライン解説後編です。ようやくラストです……!
 言わずもがなネタバレ120%ですので、閲覧の際はよろしくお願いいたします。
 本編→https://kakuyomu.jp/works/16816927860991038088

5.第四話

構成について

 基本に立ち返って、事件を解決していくストーリーかつ、第三話からの流れを汲んだ話にするというところにしたかったので、こういう話を作りました。ところどころで松本が意味深なことを言っているのが、少しあからさますぎるかな?と思いつつ、ある程度出して予想を楽しんでもらいたいなと思ったのでちりばめています。
 ちなみに一番好きな部分は以下です。最初期から櫻井はストッパー役で大変だな……と思いますね。。

 うーん、と考えこんだ松本の目が、ドアに取り付けられた郵便受けで止まった。その視線の先を追った櫻井は慌てて松本に待ったをかける。
「だめですよ! 女性の部屋なんですから! 俺たちがのぞいたらそれこそ通報されます」
「……なんか嫌な予感がする」
 俺はいやですよ、<アンダーライン>の副隊長がのぞきで通報されるなんて! という櫻井の非難を無視して松本は郵便受けを指で部屋の中の方へ少しだけ押した。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860991038088/episodes/16816927862681270684

八条院志々雄について

 基本的にフランクな人ですし、割と楽観視が得意です。
 六条院家とも良好な付き合いがあるようで、差し入れや物の贈りあいなどもあるようです。また、家を出た妹・元岡とも良好な関係です。

米澤について

 本編の核になる人物。彼女が生きていれば松本は自分の身体をどう扱うのか、いつ寿命がくるのかを訊きたかったのだと思います。米澤は自身が高齢になってきたこともあり、若いときの後始末をして死ぬために、治験を受けて不老に近い身体になってしまった人間たちを探していました。生涯独身を貫いた彼女がエンディングノートに残した「わたしの、こどもたち」という言葉の意味は第四話時点では不明でしたが、最終話後には松本を含む残り五人の事だと判明したかと思います。

 なお、作中で不明とされた彼女の死因については、元岡が執念で服用した毒物を突き留めています。

6.最終話

冒頭~中盤について

 最初からクライマックスの事件を起こしたくて書いています。作中で星野が言及していますが、松本は自分以外の生き残りがいることを知らずに事件を知って内心ですごく焦ったはずです。(だからこそ翌日退職届を出していますが)
 そして六条院としても焦ったはずです。(どうにかして松本の不在をごまかしつつ、独自調査をしていましたがだめだったという……)
 結果として松本の過去を知っている星野に、六条院と志登で会いに行ってもらうことにしました。志登はあまり六条院と接点がないので、緊張しているのが可愛いところです(六条院も平静ではないところを手の描写で表しています)。それに加えて松本の口からも補足をしていましたが、彼の願いとしてはいたってシンプルなものです。

ノライヌについて

 彼らも鬱屈とした日々を過ごしていた中、ある現場に出ていた松本を目撃して、今の彼の立場を理解しました。自分たちは陽の下を歩けない生活をしているのに、なぜ、とうらやむ気持ちが彼らを犯行に走らせたようです。彼らは自分たちが人間とは違う生き物だということがわかっていたので、自分たちがやった証拠があればすぐに松本が訪ねてくると思っていました。
 ただ、自分たちがまったく刃が立たないとは予想していなかったようで、四対一ようやっと相打ちでした。
 なお、松本は彼らが収容されてから定期的に会いに行っているようですが、一度も会えたことはないようです。。
 また、彼らの名前は今は使われなくなったギリシア文字から取っています。

松本について

 今回の事件が起きたときから、平静ではありません。自分で解決をする、という選択を本来はしない彼ですが、今回はどうしてもその選択ができませんでした。ただ、自分で解決をするには<アンダーライン>という組織にいてはできないので、退職届を出したというところです。
 文中で言及した通り、松本は一通りの監視カメラの位置を頭にいれていました。いろんなところを回っていたおかげですが、松本自身もこんな形で生かすことになるとは思っていなかったようです。
 事件解決後、進退を自分で決めて復帰することになりましたが、実は当初の予定では<アンダーライン>を辞めて地下街で情報屋をすることになっていました(結局アフターダーク冒頭で描写したとおり、別の事情でやめていますが……)。最終話での結論を出すのにずいぶん悩みましたし、書く直前までどちらにするか決めかねていましたが、ようやくいろいろなしがらみがなくなって、彼らしく働けるようになった松本を受け入れてくれる環境もあり、人もいる。そんな中で松本がやめる選択をするだろうか、と考えたときに答えはNoでした。
 最終話まで読んでくださった方からは好意的な感想をいただきましたので、この選択できっと正解でした。

六条院について

 最終話のなかで、松本の次に無理を押し通しているのが六条院です。退職届を止めて理由をごまかしていますが、六条院の日ごろの勤務態度がなければ確実にクビです(笑)。<アンダーライン>としても若くて優秀かつ様々なところに顔と名前が効く隊長格を解雇するわけにはいかないのですが。

最後について

 大団円!みんなに囲まれる松本が見たかったので、ああいう形にしました。松本は人に囲まれているのが似合うなと私は思っています。
 そして櫻井に叱られるラストは日常が戻ってきたことの現れです。その後やめるまで松本はまた同じ家に住んでいます。

7.終わりに

 作品解説、いかがでしたか?合計約7000字という大ボリュームになってしまいましたが、本文では書いていないことなどを存分に書けて大満足です。また細かい部分で気になることがあれば、回答の記事を上げて行こうかと思っておりますので、お気軽にコメントなどいただけましたら幸いです。
 お付き合いありがとうございました。

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