嫌なことがあってもNVCで率直に伝えると忘れてしまえる不思議

社会というのはいろんなひとがいますので、街で、電車で、仕事場で、どうしても嫌な思いというものをしてしまうことがありますね。

そういうときに「忘れよう」と思っても、なかなか簡単にはいきません。
忘れ方というのは存在しないため、意識すればするほど反対に脳内を記憶が駆け回ります。

NVCを身につけると(もしくは意識していると)副作用的に「嫌なことを忘れやすくなる」面があります。
この記事は、なぜそのような効用を得られるのかというのを考える息抜きのコラムです。

どうしても嫌な記憶に振り回されてしまいがちという方は、ぜひこの記事がお役に立てば幸いです。

どうして嫌な記憶を忘れられないのか

嫌なことがあってもなかなか忘れられないのは、そのことを強く記憶しているため、繰り返し思い出してしまうということでしょう。

一般的に、(感情よりも)ロジックのほうが記憶しやすいため、「あの件は◯◯の理由で相手が悪い」というように考えてしまうと、より深く記憶に刻み込まれます。
道徳的に「正しい」「間違っている」という点で考えたり相手を避難するということはジャッカルの習慣です。

しかしながら、例えば街なかで、通行人にぶつかりながら歩くようなひとと遭遇してしまったら、どうしても嫌な思いは抱くでしょう。
例えば職場で電話をとったら、まったく脈略もなくかかってきた個人に対する営業電話だとしたら、やめてほしいと思うかもしれません。

そんなとき、キリンの耳をつけて相手のニーズに注目するというのは大切ですが、そもそもあまりその相手との関係性を大切にしたいわけでもなく、時間をかけて対話するというのも効率性のニーズを満たしませんし自由が阻害され余裕がなくなってしまうことになる場合もあるでしょう。

強要ではなくリクエストに徹する

こういうときに「電話をかけてこないでください!」というような支配的なコミュニケーションをとってしまうと、相手は(仮に自分自身の否を認めたとしても)非難の言葉に防衛的になるなど、心からの対応となる可能性は著しく低くなります。

相手が不満を抱きつつ事が終了した場合、あなたに残るのはなんだかもやもやとしたやるせない感情になりがちです。
「強要をする(支配的な言い方をする)」→「相手が不満を抱く」→「あなたのニーズが満たされない(ストレスとなる)」→「そのことを思い出す」→「記憶に定着する」という流れでしょうか(専門家ではないので分かりません)

強要とリクエストの違い

強要とリクエストの違いは「相手のNOに対して寛容かどうか」です。
相手がNOと言ったときに少しでもあなたが不満を抱くようであれば、それはリクエストではなく強要だったといえます。同様に相手がいやいや従った場合に、その態度に何かしらの不満を抱く場合も同じです。

もちろんこのケースで純粋なリクエストをしたものの、相手が妥協をして従ったという場合において、「妥協でOKしたこと」に対し満たされないニーズがあるということで対話を続けるというのならまた別の話となります。

あなたのリクエストに対し、相手がそれにこころから承諾するかどうかは相手方の選択です。

たとえそれが社会通念上あきらかに相手方が悪いとされている行為だったとしても、あなたができることは率直に具体的で実行可能なリクエストをすることだけです。

「やめてください」というような Don't 〜〜 となる伝え方ではなく、たとえば「営業行為は電話ではなくメールでしていただけますか」とか「御社のサービスをWebサイトで確認します。必要な場合はこちらからご連絡いたしますので、それまでこちらの電話番号への電話は控えていただけますか」のように期限付きで伝えてみると具体的で実行可能なリクエストになります。

そして重要なことは、これらを心から行い、もしそれが拒絶された場合であっても受け入れる姿勢でいることです。たいていの場合、相手も少なからず悪いと思っていたりしますので、理解してくれることでしょう。
場合によっては、口ではOKしながら、心のなかでは不満を抱かれてしまう可能性は大いにありますが、(それが表面的ではない場合)あなたとしてできることは「率直に伝える」ことですから、それは充分にかなったということになります。

そしてこの「自分にできることは充分にした」「もっとも可能性の高い伝え方をした」という思いが、それでも叶わなかったら仕方ないと(諦めではなく)心からの受容となります。

リクエストができていればストレスにならず、結果として記憶に残りませんので、NVCの効用のひとつといえると思っています。お試しください。

かたきイメージがある場合

一方で、相手に対して何らかのかたきイメージを持ってしまっている場合は、また状況が変わってくるでしょう。

上述の例よりは、もう少し、近しい関係であるときなどですね。

この「かたきイメージ」(漢字では「敵イメージ」と書きます)がある場合は、率直に伝えるよりも効果的なことは、キリンの耳をつけて相手のニーズに注目し続けることです。

自分が「キリンの耳をつけているか」どうかに関心を払い、(非難の言葉ではなく)相手の満たされてないニーズ・大切にしているニーズが何かというのを、過去の言動を一切考慮せずに観察し続けます。

そして心から(純粋に)ニーズについての質問をしていきます。
「あなたが大切にしているのは◯◯ですか?」と(オープンな質問ではなく)質問することで、相手の意識をニーズの方に徐々に向けていきましょう。

これまでの関係性が長ければ長いほど、一筋縄ではいきませんが、少なくともこちらのかたきイメージがある状態のまま継続することは控えましょう。純粋に、いま時点に注目し続ける必要があります。

その際に頭のなかで「この人は何を考えているのだろう」のような「思考」「分析」等をすることを手放せば、これまでのように記憶に残り続けるというのは徐々に無縁になっていくことでしょう。

ぜひ実践してみてください

いやな思いを引きずってしまう2つの代表的なケースを書いてみました。
もしこのような視点がなかったということであれば、ぜひ実践してみてください。

少なくともわたしは、中途半端に我慢をして事を終わらせてしまっていたときとは違い、このようなアプローチに変えてからはストレスから開放されました。

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