現代の李徴になりかけてる話
李徴は中島敦の短編小説『山月記』に出てくる主人公の名前である。
李徴は、顔も良いし、頭も良いエリートさんだが、その才気ゆえに折角なった官僚を辞め、詩人としての成功を目指す。だが、詩人として有名になることはなく、ある日、持て余した自尊心が李徴を虎に変えてしまう。虎になって山で暮らす李徴の傍を、学生の頃に友人であった官僚が通りかかる。官僚は李徴に気付き、二人は草むら越しに話し合う。李徴は友人である官僚に今までに作った詩を歌い伝え、虎になっても夢を捨てきれない自分を嘲りながら、山