酒を飲む

酒が好き、というのは私はナルシストで、あまり人から褒めてもらえてないので自分で自分を褒めるしかないのです、と告白しているようなもので、何とも恥ずかしい話だが、事実だから仕方がない。
開き直るという程羞恥心があるわけでもなく、さりとて飲まずに過ごせるほど退屈のやり場がないから、今、赤霧島をロックで飲んでいる。美味いわけでもない、が、不味くて飲めないほどでもない。
気が付けば齢四十を過ぎて五年、もう少し知恵がついたり老成したりすれば良いものの、生来の愚鈍故かなかなかに煮えきらぬ。長谷川辰之助君はこの歳に死んだのだぞよと言われても、へえ左様で、とまたちびりちびりやりだす始末。
隣の部屋では幼子が二人、時折歯ぎしりなどして眠っている。数え六つで歯ぎしりを覚えるほど娑婆に苦しんでいるかと思うと哀れでならない。
世間では五輪とやら。自分がやって勝てば嬉しいはじゃんけんやら賽の目の勝負から無論だが他人が球を引っ叩いたのかけくらべがどうのと聞くが、気になるは己の税金が使われていることばかり。努力は報われると言うたとか言わぬとかは小娘が浅知恵、お前に負けた娘の努力は足りなかったとなぜ断じ得るのか、勝てば官軍と言えばいいものを品良く言おうとするが故に際立つ浅ましさ。
世は令和、されど人は一向に賢くならぬ、さてその証拠に、斯様に酔いどれて駄文を書き連ね良い気になっている男子が一人。はよ心朽ちて沈黙するが賢き業なれど。

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