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金色に輝いていた道

ある日夜に娘からのLINEが。

「むかえにきて」

迎えに来てほしい場所の地図まで添えて。


やれやれ、また電池切れかな。

何でもかんでもやってみたくなる性格で、体力がついていかない時があって、時々こんなふうに外でもダウンしてしまう娘…。

しょうがない、迎えに行こう。
先ほどの地図の場所をカーナビに入れて、発車〜!

いつも走っている道路をまっすぐに走っているだけなのに、今日は何かが違う。
外は柔らかい雨が休まず降っていて、道路には街の光が反射して金色に光っている。
金色の美しさに惑わされそうになりながら、『左です』の指示に従って左折。

「あ、間違えた」
一本早く曲がってしまったので、カーナビの指示が変更されて元の大通りへの道を提示してきた。
もう一度曲がり直して、無事指示通りの道へ…。

「あれ?なんか道が狭い」
この道は、きっと地元の人しか使わないような道だわ。
「対向車が来たらどうしよう〜」
「神社があるわ」
「え〜?ここをまた曲がるの?」


曲がったところから目的地はあと少し。
先ほどとは違い、川沿いで街灯がまばらで暗い道。
「マンションの来客用駐車場に止めてね」という娘のLINEを思い出して、見つけ出した駐車場に到着。

着いたことを知らせると、しばらくして娘がエントランスから出てきた。

横には、心配そうについてきたTくん。

そう、Tくんは娘のカレ。

学校の近くのこのマンションに下宿している学生さん。

『こんばんは〜。』と話しかけてきたTくんに『いつもありがとう』とお礼を言って、娘を車に乗せた。
春の雨で体が冷え切ってしまいダウンしてしまったという…オシャレして薄着だったから。


暗い路地を抜けて、再び走り出したら、今度は一方通行の川沿いの道路を大通りまで、ひたすら走る、走る。
(やっぱり金色の道だ)


『まま、ごめん』
くたくたになって、力無い声で娘が言った。

『いいよ、Tくんがいてくれたからよかったね』


街灯に照らされた雨に濡れた道路は、どこまでも金色の道。


(少し前の出来事です。あまりにも美しい金色の道を忘れたくなくて、書きました。道中は写真が撮れなかったので…。)



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