五月病
頭上を真っ黒な氷の塊で押さえつけられるような冬季鬱は終わった。
雪解け水が流れ、太陽光がきらめく春がやってきたのだ。
もう馬鹿みたいに厚着をしなくていいし、体のあちこちにカイロを貼り付けなくていい。陰鬱な顔で布団にくるまってガタガタ震えなくてもいい。
春だ!やったー!
そして冬季鬱が終わり、次何がやってきたかと言うと、五月病である。
バイトを始めたこと、子供たちが進学して環境が変わったことなどが一気に押し寄せ、私の頭はパンク寸前だった。いや、もうパンクしているのかもしれない。
不眠と不安発作が春の日差しのようにビシバシと効いてきている。
たかだか2時間のバイトに頓服薬を飲むのは情けないことだが、バイト先で倒れたりするよりはなんぼかマシだろう。不眠に関しては今のところ薬でカバーできているが、徐々に徐々に、薬の効きが悪くなっている気がする。これは様子見。
先日、配偶者に諸々の不満を伝えた。
配偶者の言葉遣いが乱暴であること、子供たちへの態度が厳しすぎること、それらを目にすると不安発作が起きてしまうこと、抗不安薬を飲んでいること、など。
口頭では説明しきれないと思ってLINEで送ったところ、よりによって未読スルーされてしまい「あの……LINE読んで欲しいんだけど」と結局口頭で言うことになり、きょとんとした表情で配偶者は私の目の前でLINEを読み始めた。
そして一瞬沈黙したあと、「わかった!」と言ってその話を終わらせた。
わかったのだろう。多分、わかってくれたのだ。
おそらく本人にも言い分があったはずだが、ここは諸々飲み込んで「わかる」ことにしたのだろう、と15年の付き合いから何となく察した。
ともかく「わかった」のだから、我々の間にはあるラインがひかれたことになる。そのラインを越えたら抗議するし、越えていないならオーケー。そういうことだ。そうやってその都度その都度、ラインの位置は確認しなければいけない。夫婦間でこのラインを引き直す行為を怠るとある日突然メチャクチャなことになると経験上なんとなくわかる。
去年うつ病で入院した母は低空飛行のまま元気にやっている。
父は相変わらず元気でマイペース。
子供たちは勉強についていけていない。が、次男はのんびり型の放デイが性に合っているようで楽しそうに過ごしている。長男は登校しぶりを発揮しているがいつものことで、彼にしては珍しく宿題をぼちぼちやっているので百点中二百点ぐらいだろう。
できていないことよりもできたことの数を数える。
タスクは分割してスモールステップで一つずつクリアしていく。
いろんな居場所を作る。
どれも発達障害育児で並んだことばかりである。
役立つな、発達障害育児。