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札幌たび|僕たちは奇跡を生きている。

2日目。
ホテルまで迎えに来てもらって向かうはモエレ沼公園。
イサム・ノグチが設計した広大で気持ち良い公園です。
広過ぎるので公園を巡るためのレンタサイクルがあります。
美味しくランチをいただくためには、ここで昨日のカロリーを消費して、胃袋にスペースをあける必要があります。

佐藤リーダーの後をついていく俺たちピヨピヨ団。
ガラスのピラミッド。中は温室状態。
公園内にあるモエレ山を登って、カロリーを消費する。
ひーひー。佐藤リーダーは余裕な表情。
モエレ山の山頂から見るモエレ沼。川みたいだけど沼。
ちなみにこの山はゴミを埋め立ててできたもの。

きもちよく公園内を巡り、サイクリングもそろそろ終わりという時になって、突然の豪雨に見舞われました。いったんは木陰に退避してみたものの、4人の大人が雨宿りするにはあまりにも小さすぎる上に、枝葉の間から雨がざんざか降ってきます。

「レンタサイクルの事務所までもうちょっとだから、走り抜けよう!」

佐藤リーダーの号令で、土砂降りのなか再度ペダルを踏み始めました。
ゴールまで約5分。雨は服を通り越して下着までびしょびしょにし、ペダルを漕ぐ靴からは「ぐちょっ、ぐちょっ」と不快な音が。顔面を殴りつける雨粒がコンタクトをずらし、ほとんど前が見えません。

2時間ほど前に意気揚々と自転車を漕ぎだした場所に到着したわたしたちは、これ以上ないほどミジメな姿でその同じ場所に帰還したのでした。

(このまま帰って、お風呂に浸かって、乾いた服に着替えたい…)

きっとみんなそう思っていた筈ですが、今回の旅のメインイベントはこの2日目のランチなのです。めちゃめちゃ予約が取りづらく、車がなければたどり着けない場所。これをキャンセルするわけにはいきません。

仕方なくわたしたちはびしょびしょの服を纏って、レンタカーに乗り込み、暖房で服が渇くのを祈りながらランチを食べるお店に向かいました。

そのランチのお店がコチラ。

車がないとたどり着けないし、道もわかりにくい。ちょっとした秘境感があるアグリスケープさん。

併設の農場で収穫した野菜やハーブと、同じくそこで育てられた動物たちをいただけるという素晴らしいコンセプトのレストランです。
今回の札幌たびは、佐藤さん夫婦がこのレストランに行った時のことを教えてくれて、わたしが「わー!行きたい!!」と言ったのがすべての始まりだったのです。

そんな素晴らしいレストラン。当然他のお客さんはちゃんと乾いた服を着て、メイクも流れていない人ばかり。
わたしたちだけです。椅子に座るたびに濡れて冷えた服がお尻や足にくっついて「ぴやっ!!」と小さく悲鳴をあげ、あげくにお店のスタッフに「ひざ掛けください…」と小さな声でお願いしたのは。

シャツの色が肩から裾へとグラデーションになっている。なぜならシャツはまだ乾いてないから。眉毛もないし、めっちゃ行きたかった場所なわりにテンション低い。
ちょっとでも温まりたくてオーダーした玉ねぎの皮茶。その名のとおり玉ねぎの茶色い皮で出したお茶。玉ねぎのほんのりとした甘さが良き。

とはいえ食事は、どれもこれもめっちゃ美味しかったです。素材の味がしっかりしているので、ほんの少しのドレッシングやソースでも満足感があり、とはいえ食べ終わっても胃にもたれるような重さはありません。
なにより「いのちをいただく」ということを、じっくり味わわせてくれる3時間。歴史上のどんなに贅を尽くした食事より、今わたしが味わっているこのすべての方が贅沢だと胸を張って言えるぐらい満たされた時間でした。

今日の食材を説明してくれる。この野菜とかお花の後ろに、羽根をむしっただけの鶏もいる。
サラダ。お花も甘くて美味しい。
山菜のなにか。上に乗ってる紫のぺらっとしたのがじゃがいもで、こんなにペラペラなのにパリパリと存在感あって美味しかった。
生後10ヶ月の豚さん。ありがとう。

食後は服もだいぶ乾いたので、北海道神宮へ。
神社としては比較的新しいのですが、北海道の気候に恵まれて木々が気持ちよく生い茂り、とても気持ち良い場所でした。

北海道神宮。ひろびろ。
りすがいた。

そこからいったんホテルの部屋に戻って一休み。
ホテルの部屋には、なぜかわたしがずぶ濡れになることがわかっていたかのようにドラム式洗濯乾燥機と靴乾燥機が!
まさか自分が使うとは…と思いながらまだ少し湿っている服も下着も全部脱いで、洗濯乾燥機に放り込み、靴も靴乾燥機にセットしてお風呂で体を温めました。

夜は「もう食べなくてもいいんじゃ…」と言ってみたものの、「まぁまぁ、ちょっとつまむぐらいならいいでしょ」とのことで、最集合してすすきのの居酒屋さんに行きました。

誰だよ?夜は食べなくていいって言ったのは。めちゃめちゃおっきいホッケだけどペロリだったよ。
にしんのお刺身。こういうのも北海道ならでは。

お酒のせいか、案外食べられる自分に気づいてしまったわたしたち、「札幌には締めパフェ文化がある」という噂を検証するためこの後さらに夜パフェのお店に行きました。いったいこの2日間の総カロリーはどれほどでしょう?

まあまあデカめのいちごティラミスパフェ。1600円だったかな?もちろんひとり一個いただきました。
パフェを食べ終わって気づいた、お店の名前「シナー」。そして佐藤さんの奥様は「シナ」さん。

3日目。
この日は朝から車で余市のワイナリーに行きワインを飲み比べたりしました。

「ナイアガラ」というワインがめっちゃ美味しかったので、買って家に送ってもらいました。

旅の最後は、シナさんのご実家。
わたしが「北海道に行ったら、お花が見たい!」と言ったことを覚えていてくれて、お母さんが毎日丁寧にお世話している、色とりどりのお花でいっぱいのお庭に招待してくれたんです。

お庭でパシャリ。ほんとうに素晴らしいお庭と素敵なご両親でした。

2日目の夜に、過去に患った病気の話になりました。佐藤さん夫婦は大病から生還した方たちなのです。そこで佐藤さんが放った
「あの時から僕たちは奇跡を生きている」
という言葉が響きました。

この旅がまさに奇跡の連続でした。
雨でびしょびしょになったと思えば洗濯乾燥機や靴乾燥機が用意されていて、
願ったからといって必ずしも出会えるわけではない人々や料理に出会って、
シナさんと同じ名前のお店があったり、
わたしが軽く発した願いを大切に扱ってもらって。

でも、そんな奇跡をひとつひとつ数えなくても、
何事もない平凡な日々でも、
アクシデント続きの憂鬱な日々であったとしても、
わたしたちは数えきれない奇跡の中で生きている。
すべてが奇跡だと気づけたら、あとはそれを味わい尽くすだけ。

トップ画像は新千歳空港で食べた味噌ラーメン。やっぱりコーンとバターののった味噌ラーメンは絶対食べないとね。

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