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栄養疫学課程のカリキュラム
このNoteは私の経験に基づいた私見です(註1)。栄養疫学の専門家として要するためには、次の三つの領域について、大学院レベルの学を系統的に修め、その修練/習熟度を客観的に試験される機会をもち、パスすることが必要条件でしょう(註2)。
① 栄養学
② 疫学
③ 統計学
私が博士号を取得した米国のTufts大学では、博士課程の中間に設けられた口頭試問において、これらの三つの領域について問われました。
そして研究論文を読める者として特に旗を振るのであれば、④研究のプロポーザル相当の文章を仕上げる能力が試験され、それを認められ、さらに一つのテーマに徹した査読付きの学術論文3本相当の実績を残す程度が標準と思います。
①~④について学ぶべきであろうトピックを記します。重複した用語があるのは意図的です。
① 栄養学
生物化学、生理学、各種栄養素に関する生命科学、栄養生態学、食品衛生・化学、食事全体の科学、疾患との関係、食事調査方法、小児・妊婦・特定の患者など特別な集団に関する栄養学、発展途上国の栄養学、栄養疫学、公衆栄養学、栄養・食事摂取基準、栄養政策、ヘルスコミュニケーション
② 疫学
疾患の頻度の指標、曝露と疾患との関係を示す指標、交絡因子、選択バイアス、情報バイアス、研究デザイン、調査・解析・バイアス、各論(特定の曝露・疾患に注目した疫学;栄養疫学、がん疫学等)、時間変動、欠損、因果推論、系統的レビュー・メタ解析、Evidence-based medicine/public health
③ 統計学
確率論、頻度、関連、回帰分析、生存解析、サンプルサイズ、バイアスの補正、欠損、漸近法、仮想/反事実下の推定、反復を伴う解析(e.g. bootstrap)、パターン認識、頻度論、ベイズ理論、プログラミング、データと解析のマネジメント、メタ解析
④ 科学全般
論文の読解・批判的吟味・執筆、仮説・研究の目的・方法の設定、研究の実施と解釈、研究倫理・制度、系統的レビューとエビデンスの評価・生成、科学的・社会的意義の評価、サイエンス/ヘルスコミュニケーション
以上です。詳細を説明せずで申し訳ないですが・・それぞれの内容でひとつの履修単位となることもあれば、複数の講義のみも考えられるかと思います。公衆衛生大学院、あるいは栄養学大学院等で異なるというところでしょう。参考となれば幸いです。
註1)一応、学生代表としてカリキュラムの構成委員に所属していました。
註2)必要条件としたのは、教授の指導の下、プロジェクトを運行する、データを集める、実践向けの研究や教育のアシスタントをする等々の機会も必須と考えるからです。
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